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ヨドバシ梅田の上に1030室の「ホテル阪急レスパイア大阪」開業。全客室タイプを写真で紹介

2019年11月27日 開業

阪急阪神ホテルズは「ホテル阪急レスパイア大阪」を11月27日に開業した

 阪急阪神ホテルズは、新ホテルブランド「Hotel Hankyu RESPIRE」を創設、その1号店となる「Hotel Hankyu RESPIRE OSAKA」(ホテル阪急レスパイア大阪)を11月27日に開業した。先般オープンした複合商業施設「LINKS UMEDA」の上部、9階~35階という立地で、文字どおり梅田の中心に位置する(関連記事「ヨドバシ梅田直結の『LINKS UMEDA』地下1階~7階を紹介。“何でも揃う”200の専門店が集う」)。

 ホテル名にもなった“RESPIRE”には呼吸するという意味があるが、さらに心身を癒す「Rest」と、感性を刺激し活力をもたらす「Inspire」の意味も込めた。宿泊客がほっと一息つける癒しの場であること、そして大きく息を吸い込むように明日へと旅立つ活力が得られる場であること。この2つの価値を備えたホテルを目指し、インバウンドをメインターゲットと位置付けている。

 フロア構成は、9階にフロント・ロビー、レストラン、バンケット、日本庭園などが配置され、12階~35階に1030室の客室、フィットネスルーム(24階)、コインランドリー(24階)を設けた。阪急電車やJRとは2階のデッキで接続されており、関西空港からのバス利用の場合は1階から、それぞれエレベーターを利用して9階フロント・ロビーに移動する。また、LINKS UMEDAの8階ともエスカレーターで接続されている。

エントランス(2階)、フロント・ロビー(9階)

2階エントランス。デッキで「阪急おおさか梅田駅」「JR大阪駅」と直結している
9階ロビーは広大で、フロントの向かいには日本庭園が見渡せる
フロントの奥に自動精算機、喫煙室、エレベーターホールが並ぶ。突き当りの奥はレストラン、バンケット
ゆったりとしたフロントは、最大で8名が同時にチェックイン可能。バスなどで多くの宿泊者が同時に到着する場合でも待ち時間を最小に抑えることが可能
自動精算機と外貨自動両替機。なお、料金の支払いには「Alipay」「WeChat Pay」「新韓カード」なども利用できる
ロビーにはゆったりとしたソファも設置。照明も柔らかく非常に落ち着いた空間だ
エレベーターホール。エレベーターは計8基あり、低層階・高層階別に分かれている
オープンを記念した、花人 赤井勝氏によるフラワーアート(展示は11月30日まで)

 開業を記念して、エントランスには花人 赤井勝氏によるフラワーアートを展示している。赤井氏は和の花を現代的なアートとして表現し、これまでに北海道洞爺湖サミットで政府主催のイベントに参加、またローマ教皇への謁見・ブーケ献上など、国内外で活躍、高く評価されている。自身が大阪出身であること、また海外からの宿泊者を出迎えるホテルとして、和の花を現代的なアートとして表現する点がホテルのコンセプトと重なることから、今回のアート展示を依頼したという。

 なお、この作品は「力強さ、そして融合」をテーマにしたもの。新しいブランドというインパクトの力強さ、「梅田」という街の力強さを、ブランドコンセプトの梅の苔木で表現した。さらに、日本中、世界中の人々がホテル阪急レスパイア大阪に集い、融合していくイメージから、大阪の花とブランドコンセプトである「梅」に、日本津々浦々の枝物、世界の花を加え、“世界からの融合”を表現した。

エントランスとロビー、それぞれに飾られたアート

ジオラマARガイド「MUSUBI」(9階)

ジオラマARガイド「MUSUBI」

 京阪神地域のジオラマと、AR(拡張現実)技術を融合させた観光ガイド「MUSUBI」は、備え付けのタブレットPCのカメラをジオラマに向けると、画面上に阪急・阪神沿線のお勧め観光スポットが現われるというもので、そのスポットの観光情報を表示したり、行きたいスポットをクリップして自分だけのオリジナル観光コースを作ったりできる。また、選択したスポットのQRコードを表示させる機能もあり、それを自分のスマートフォンで読み込むことで観光情報をダウンロード、街へ持ち出すことも可能だ。英語、中国語(簡体/繁体)、韓国語に切り替えることが可能で、リンクしているすべての観光情報がこれらの言語に対応している。

立体模型と観光情報がリンクしているため、方角や距離感などが直感で掴みやすい
モノトーンのジオラマを撮影しているが、画面上にはカラーCGが表示される
近畿2府4県から、「大阪」をタップ。続いて「大阪梅田」エリアをタップ。すると周辺の観光名所がリスト表示された
「大阪城」を選択し、情報のリンクをQR表示。自分のスマートフォンに情報をダウンロードできる
京阪神の地図が刻まれたテーブルにもギミックが隠されている
サイネージにさまざまな情報が表示されるとともに、地図上ではリンクした場所が光るようになっている。例えば「手塚治虫記念館」の情報表示(写真)の際、施設がある宝塚駅のランプが光る

客室(12階~35階)

客室フロアの廊下。厚めのカーペットで靴音も響かず、また心地よい音楽が静かに流れていた

 客室は、1名~5名までのさまざまな人数に対応したバリエーションを揃える。

 室内は、インバウンドの宿泊客をメインターゲットに、「OSAKA Japanese Style」をデザインテーマとした。これは日本的な質感と大阪らしい空気感を表現するもので、「梅」「田園」「大阪城」3つのカラースキームを採用して部屋をまとめている。

 全室で49型のミラーリング機能付きテレビを設置しており、ホテル内の案内やコインランドリーなどの混雑状況などが直感で操作できるほか、YouTubeなど動画の閲覧も可能。またスマートフォンをミラーリングして自分だけのエンタテイメントを大画面で楽しめるのも魅力だ。

 バス・トイレは全室セパレート。洗面台も独立しており、朝の忙しい時間帯でも快適に使用できる。またバスアメニティには、日本茶をイメージしてブレンドした「グリーンティー」アロマを使用し、和のテイストの癒しの香りとしている。バスには水量を抑制しながらもたっぷりの量感が感じられるオーバーヘッドシャワーもある。

 さらにキッズアイテムとして、子供用食器(レストランに用意)や、生後5か月未満の赤ちゃんを対象にしたベビーマットレスの用意もある。ベッドの上に乗せて使用するもので、就寝時も赤ちゃんと同じベッドで休めるようにという気づかいだ。

左から、大阪の府花である「梅」、阪急・阪神沿線の「田園」、雅な大阪と城の石垣をイメージした「大阪城」のカラースキームでまとめられた室内
49型のミラーリング機能付きテレビ
バス、トイレ、洗面台は独立。オーバーヘッドシャワーも全室に設置
ベッドには赤ちゃん用のベビーマットレス。小さな子供連れでも楽しく快適に過ごせる工夫だ

スタンダードダブル

スタンダードダブル(19m2、ベッドサイズ160×196cm)
スタンダードダブルの客室内(カラーは「田園」)

スタンダードツイン

スタンダードツイン(25m2、ベッドサイズ98×196cm、2ベッド)
スタンダードツインの客室内(カラーは「大阪城」)
バス(「梅」)と洗面・トイレ(「田園」)

エグゼクティヴツイン

エグゼクティヴツイン(60m2、ベッドサイズ140×196cm、2ベッド)
窓際にはテーブルとチェア、スツールとミニテーブルもある
荷物を整理したりお茶を用意したりするのに便利なスペース。ベッドルームとは独立している
洗面、バス。バスルームと独立したシャワールームもある
宿泊室のグレードによりトイレの広さは異なるが、全室にTOTOのウォシュレットを導入

スタンダードトリプル

スタンダードトリプル(25m2、ベッドサイズ98×196cm、3ベッド)
スタンダードトリプルの室内

デラックストリプル

デラックストリプル(33m2、ベッドサイズ98×196cm、3ベッド)、「大阪城」カラー
デラックストリプル(「大阪城」カラー)
デラックストリプル(「田園」カラー)。赤ちゃん連れの家族にうれしいグッズ(写真)もあるとのこと。※予約時応相談

ユニバーサルトリプル

ユニバーサルトリプル(36m2、ベッドサイズ98×196cm、3ベッド)
現代のホテルにふさわしく、ユニバーサルデザインを取り入れたトリプルルームも用意。ほかの客室と変わらない快適性を確保しつつ、さまざまな個人差に対応している。なお、取材時にはホテル内のほぼすべての施設を見学したが、ホテル利用者が移動する範囲では段差は一切なかった

フォース

フォース(47m2、ベッドサイズ110×196cm、4ベッド)
フォースルームの室内。グループでの旅行も乗り上がりそうだ
最近のトレンドでもある、2つ並んだ洗面台。アメニティは引き出しの中にありスッキリとしている

コネクトツイン・トリプル

コネクトツイン・トリプル(25m2、ベッドサイズ98×196cm、2ベッド/3ベッド)。それぞれの部屋に廊下とつながるドアとは別に、互いの室内を行き来できるドアもある
スタンダードツイン/スタンダードトリプルの部屋に分かれている(「梅」カラー)
各部屋の設備はスタンダードツイン/スタンダードトリプルと同じ

館内設備(宿泊者専用)

フィットネスルーム(24階、24時間営業、無料)

「お客さまのライフスタイルに活力を」をコンセプトに、宿泊者が自由に使えるフィットネスルームも完備。アクティブなホテルライフが楽しめる。マシンは、バイク・リクラインバイク・ヴァリオ・シンクロ・ウレタンダンベル・クロームダンベル・アジャスタブルベンチ・DAP・マット。また、ウォーターサーバーやタオルも用意しているほか、万一に備えたAEDも設置している。なお、利用規則により16歳未満は利用できないとのこと。

最新のフォットネスマシンを設置。またウォーターサーバーやAED、緊急連絡用の内線電話も分かりやすい位置に用意した
ドリンクの自動販売機、アイスディスペンサー、コインランドリー(24階)
7台あるランドリーマシンは100円硬貨専用で、説明には外国語も記載。マシンの稼働状況は部屋のテレビでリアルタイムで把握できる

レストラン「グリリアート クオッカ(Grigliato CUOCA)」(9階)

レストラン「グリリアート クオッカ」

 9階、レストラン「グリリアート クオッカ」は、オープンキッチンと薪窯で仕上げるグリル料理とこだわりのイタリアンをメインとしたレストラン。全222席で、朝食・ランチ・ディナーに対応し、10時~23時まではラウンジ営業も行なう。

 朝食は、約60種類の料理が並ぶ和洋ビュッフェ。サラダやパン、イタリアンデリなどの洋食から、いなり寿司やきつねうどん、筑前煮などの和食も充実。中華粥などもあるという。ランチ/ディナーはグリル料理をベースにしたイタリアンがメインで、ワインも豊富にラインアップしている。

クオッカのエントランス。天井高は約5mで非常にゆったりとしている。色づかいや照明も豪華で、食への期待が高まる
エントランス部にあるバーカウンター。ドリンクやランチ、アラカルトメニューはタブレット端末で注文可能
テーブルの間隔も広くプライベート感が高いホール
店名の「クオッカ」は関西弁の「食おっか」に由来する
料理とともに楽しみたいワイン。ラインアップも実に豊富だ
クオッカのライブキッチンの目玉はこの薪窯だという
ライブキッチンで調理していたのは「ブラックアンガス牛の薪窯グリル」
内覧会展示メニュー「前菜ビュッフェ付きディナーコース」(3800円)
「前菜」はビュッフェスタイルで、好みのものを選べる(内覧会は盛り合わせで展示)
選べるパスタ(ハーフ)は5種類から選べる。写真は「ズワイ蟹のトマトクリームソース タリオリーニ」
選べるグリル料理も5種類から選べる。いずれも薪窯で焼いた肉料理。写真は「ブラックアンガス牛の薪窯グリル」
イタリアンドルチェのパフェスタイルは2種類から写真は「栗のモンテビアンコ風 キャラメルアイスを添えて」

 日本では非常にめずらしいというこの“薪窯グリル”。ホテルのレストランへの導入事例はほかにないとのことで、統括シェフの渡邊直樹氏に話を聞いた。渡邊氏は、グリル料理をコンセプトにしたイタリアンレストランを出すにあたり、日本にはないこの窯が目玉にならないかと考え、「イタリア料理はシンプルな調理法を用います。その特徴を出すため、薪の窯を導入できないかと考えて、実際にテストをしてみました。それで、香りも味もよかったのでレストランに導入しようということになりました」という。

 左側で薪を、右側では備長炭を使って肉を焼く。「薪の強い炎で表面を炙って肉の水分を閉じ込め、備長炭でなかまで火を入れます。食べるときには、肉汁が口のなかに広がります」とのこと。また、この窯の壁にはフランスの白土が使われており、これが効率よく熱を反射するため、その輻射熱でもかなり強い火を入れることができると渡邊氏は話す。「熱の効率がよく、旨味が逃げません。肉も野菜も水分を逃がしませんので、口のなかでふっくらとした噛み心地が楽しめます」と渡邊氏。

ホテル阪急レスパイア大阪 営業部 統括シェフ 渡邊直樹氏

日本庭園(9階)

9階ロビー前に広がる日本庭園

 ロビー・フロントから見渡せる日本庭園には多種の木が植えられ、四季折々の表情を見せてくれる。外に出て散策することも可能で、背の高い防音壁のために都心部の雑踏が見えず、また喧騒もほとんど聞こえないため、上質な癒しの空間になっている。通路には灯りも置かれており、夜間にちょっと外の空気を吸うということも可能。

庭園の面積自体は広くないが、散策路が細長く奥行きがあるため意外と広く感じる
インバウンドの宿泊客にとっては、日本の植生を身近に感じる機会となるはずだ
バンケット(宴会場)に面した部分。この庭園がバンケットに光と緑を届ける

ホテル概要説明

 内覧会の当日、バンケットにおいてプレス向けの概要説明を行なった。

 はじめに阪急阪神ホテルズ 代表取締役社長の藤本和秀氏が登壇し、ブランド展開の現状と宿泊需要の変化、今後の見通しなどを説明。阪急阪神ホテルグループは、「ホテル阪急レスパイア大阪」などの開業により、2019年12月時点で総客室数約1万2300室のホテルグループとなる。

 これまでに展開してきたメインブランドは「レム」で、こちらは国内のビジネス需要をターゲットにしてきたという。しかし、2011年以降は急速にインバウンドが増加しており、今後も伸びることが予想されることや、大阪は東京に次ぐ規模で外国人の宿泊者数が増えていることから、藤本氏は「このような環境の変化に対応するうえで、はたして今後もレムブランドだけでよいのかと社内で議論しました。レムはビジネス需要をターゲットにしていることから、大きな荷物のある海外のお客さまには窮屈ではないのかなど、海外からの観光のお客さまをメインターゲットとした場合、どのようなホテルがよいのか検討を重ねた結果、レスパイアというブランドが誕生しました」と説明した。

 また、ホテル阪急レスパイアのシンボルマークについては、「扇形のシンボルは、お客さまの幅広いニーズに柔軟に対応するホテルであることを意味しており、またシンボルマークの左側には、レスパイアの頭文字「R」を隠し文字によって表現しています。シンボルの内側は穏やかで落ち着きのある癒しを表わす「レストグレー」、外側は湧き上がるような活力を表わす「インスパイアイエロー」の色彩を用いて、癒しと活力の両立を表現しました」と述べた。

 藤本氏は最後に、「今後、弊社が展開していく宿泊主体型ホテルのなかでも、特にビジネスのお客さまがターゲットとなる立地においてはレムを、そして観光需要やインバウンド需要が見込まれる立地においてはレスパイアブランドを積極的に展開します」と話を締めくくった。

株式会社阪急阪神ホテルズ 代表取締役社長 藤本和秀氏
藤本氏によるホテルの概要説明
ホテルの設備について紹介する、ホテル阪急レスパイア大阪 総支配人 小川清尚氏
左から、ホテル阪急レスパイア大阪 総支配人 小川清尚氏、株式会社阪急阪神ホテルズ 代表取締役社長 藤本和秀氏、取締役常務執行役員 近畿圏事業本部長 葉英福氏

【お詫びと訂正】初出時、藤本和秀氏のお名前に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。