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梅田の中心に“森のなかのコーヒー空間”。スタバ「LINKS UMEDA 2階店」内部を紹介

スターバックスはLINKS UMEDAに3店舗

2019年11月27日 開業

大阪の地域材をふんだんに使用した、木の香りが漂う店内(3階)

 スターバックス コーヒー ジャパンは、同社の想いを込めた“スターバックスの森”を「LINKS UMEDA」(大阪府大阪市北区大深町1-1)のアネックス棟にオープンした。家具や内装に地元大阪産の木材をふんだんに使用した店内は、高層ビルに囲まれたエリアであるにもかかわらず、まるで森のなかでコーヒーを飲んでいるかのような木とコーヒーの香りが漂う空間となっている。

 LINKS UMEDAアネックス棟は、LINKS UMEDA本館とは独立した建物で、鉄とガラスの現代風な外観。この2階~3階が「スターバックスコーヒー LINKS UMEDA 2階店」だ。座席数は2階にカウンター席13、屋外のテラス席12、3階にカウンター席とテーブル席計73席の計98席。

 ちなみにLINKS UMEDAには、ほかに11月16日オープンのテイクアウト専門「LINKS UMEDA 地下1階店(4席)」、11月27日オープンの「LINKS UMEDA 8階店(76席)」がある(関連記事「ヨドバシ梅田直結の『LINKS UMEDA』地下1階~7階を紹介。“何でも揃う”200の専門店が集う」)。

LINKS UMEDAアネックス棟は本館とは別棟
北面はフラワーアーティスト東信氏監修の壁面緑化となっている

 現代風のアネックス棟の2階から店内に入ると、一面に木が使われた見た目にも柔らかく温かい空間が飛び込んでくる。店内のデザインコンセプトは「SHINRIN-YOKU-TREE」。大阪の自然を積極的に取り入れたスターバックスならではの森を作るというもので、忙しい日常のなかで多くの人に一瞬でも活力を届けられるように、木々の香りとコーヒーの香りを吸い込んで体がホッとする優しい時間を提供するというものだ。

 このコンセプトに基づき、カウンターには大阪の木材を使用しており、なかでもバーカウンターやチェアは大阪産の栗の木、3階のベンチなどはおおさか河内材(河内長野産)の杉材で作った。これは、スターバックスとワイス・ワイスが取り組んでいる“JIMOTO table プロジェクト”によるもので、「JIMOTO table が地域と森をつなぎ、地元の身近な森を知り、豊かな自然と私たちの暮らしを知るきっかけとなる」という想いが込められたもの。つまり、地域の木材を使うことで、地域の人々に山や森への愛着も感じてもらうとともに、その大切さや直面している課題にも思いをはせるフックとなって、持続可能な未来につながってほしいというメッセージだ。

2階。大阪の木材で作った明るい色のカウンターが温かい雰囲気をつくる。天井は廃木材とコンクリートで作ったボード
こちらも地域材。さりげなくコーヒーの木がデザインされている
テーブルの天板とチェアには大阪産の栗材を使用
インバウンドに人気の大阪限定商品。この棚ももちろん大阪産の栗材
2階に掲げられたスターバックスからのメッセージ

 2階と3階をつなぐ階段の大きな壁には、淀川の河川敷で収集したゴミや漂流物と、家具の制作時にできた端材を使った、アーティスト・淀川テクニックが手掛けた世界に一つだけのオリジナルアート「梅田みらみらの木」を掲示。

 木材の端材や枝、木の実などを材料に自由に工作した作品がピースとして散りばめられているが、これは河内長野市立林業総合センター 木根館(きんこんかん)と梅田周辺のスターバックス店舗が共同で呼びかけ、それに応じて参加した大阪府内の子供たちと梅田地区のバリスタが一緒に作ったものだという。

 なお、「梅田みらみらの木」の名前の由来は、「みんな」の「未来」に向けて森や川や海など地域の自然環境を考えるきっかけになるという想いが込められたもの。文字どおり、未来へつなぐアートだ。

階段の壁にあるアート「梅田みらみらの木」
間伐材の枝で「木」を形取り、淀川河川敷のゴミなどを散りばめている
子供たちとバリスタが端材で作ったピースもにぎやかさを演出
ボールやバケツ、スプレー缶のキャップなど。プラスチックごみの多さに驚かされる
南国の野鳥のような美しい鳥。ライターなどのゴミで表現

 3階は天井の高さも利用して、広大な森にいるようなイメージの空間作りを行なった。中央にはおおさか河内材の杉を使った柱が並び、天井の板には切れ込みを入れて照明の位置を工夫するなどして、木漏れ日のような柔らかな光が差すように工夫した。柱を挟むように配置されたベンチは同じおおさか河内材を使用し、丸太を輪切りにしたテーブルもある。

 窓際のバーカウンターとチェア、店内の丸テーブルは大阪の栗材を使用した。広葉樹である栗の木は、クセがなく加工しやすい素材で、反りや割れが発生しにくいという特徴がある。また、戦前から身を食用とするために里山に多く植えられたことなどから全国に分布しており、日本人にとってはなじみの深い樹木だ。ただ、流通量もそれほど多くなく、貴重な広葉樹として店内の家具に使用した。

3階フロア。木材を多用した空間は、都心の真ん中とは思えない
テーブル、チェア、ベンチ、床や天井まで木材あるいは木質の素材を多用している
柱は「おおさか河内材」の杉を使用
ベンチには「河内材」の焼き印プレートも貼り付けられていた
天井の切り欠きは、自然光や照明を適度に遮って木漏れ日が差し込むような雰囲気をつくるため
カウンターテーブル、丸テーブルは2階と同様に大阪産の栗を使用したもの
一部の丸テーブルは木を輪切りにしたものをそのまま使用
年輪を数えてみるのもおもしろい
一面だけある壁には大きな写真。ここだけがスターバックスの店内の雰囲気だ
3階に置いてあったメッセージボード。興味を持った人はぜひQRコードからアクセスしてほしい

「LINKS UMEDAに出店が決まった段階から、既存店とは異なる雰囲気にしようと考えました」。店舗のコンセプト作りをこう振り返るのは、店舗開発本部 店舗設計部 リージョンデザイングループ 西日本デザインチームの中川拓真氏。

 単にスターバックスの店舗が一つ増えるのではなく、都会でインパクトのあるまったく新しいお店を作るイメージだったという。中川氏は、梅田の高層ビルに囲まれた立地であることから、大阪の自然を取り入れ、都会のなかのオアシスのような空間で、森林浴を楽しみながら活力につなげていけるような店にしたいと考えた。しかし、コンセプトを表現するための店舗に必要な地域材、特に家具作りのための広葉樹の木材が集まるかという不安があったそうだ。JIMOTO table プロジェクトを協業している「ワイス・ワイスさんとも協力して、大阪府の森林組合や材木店まで足を運んで木材を探しました。また、地域の人々とつながるアクションがどういった方向性で実現できるかというのも悩みどころでした」と中川氏は語る。

 最後に、来店する人々にどう感じてもらいたいか尋ねた。中川氏は「スターバックスは全国に約1500店舗ありますが、森のなかにある店舗はあっても、店内にこれほどふんだんに木を、しかも地域の材を使用しているところはほかにはありません。お客さまには、『木をたくさん使っているな』とか『ほかのスターバックスの店と違っていいな』と感じて、そんな新しい空間でコーヒーを飲んでリラックスしてもらえればと思います。そんななかで、当店のコンセプトに気づき、興味を持たれたお客さまがいらっしゃれば、それに増したる喜びはないですね」と話した。

スターバックス コーヒー ジャパン株式会社 店舗開発本部 店舗設計部 リージョンデザイングループ 西日本デザインチーム 中川拓真氏

 地域材(大阪府内産木材)にフォーカスし、木のぬくもりを感じるリラックスした空間の「LINKS UMEDA 2階店」。新しいスタイルのカフェで自然を身近に感じつつ、ゆっくりとコーヒーを飲みたい店が誕生した。