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バニラエア、ラストフライトの台北行きを井上社長やスタッフが盛大にお見送り
2019年10月27日 14:14
- 2019年10月26日 最終運航
バニラエアは10月26日、就航から約5年10か月をもってラストフライトを迎えた。運航終了後は関西を拠点とするピーチ(Peach Aviation)に統合される。
成田国際空港~台湾台北・桃園国際空港線の日本発の最終便となるJW103便(成田13時00分発)の出発前にはラストフライトセレモニーが行なわれた。機体は前日の「きらきらプロジェクト」で磨き上げられた、エアバス A320型機(登録記号:JA12VA)を使用した(関連記事「バニラエア、ラストフライトに向け機体を清掃する『きらきらプロジェクト』。井上社長自らモップを手に外装を磨く」)。
この日のJW103便はほぼ満席で、チェックインカウンターの前には多くの利用客が並んだ。受付前にはスタッフ一同が整列し、ラストフライトである旨と今までの利用に感謝を述べ、深々と一礼をして始まった。カウンター前にはメッセージボードが設けられ、利用客もスタッフも思い思いに筆をを走らせ、5年10か月の記憶をつづっていた。
搭乗に使われた154番ゲート前ではセレモニーを実施。代表取締役社長の井上慎一氏がマイクを持ちあいさつをした。冒頭では、25日の大雨での被災者へのお見舞いを述べ、続いて、2013年12月20日にバニラエアの就航と同時に初めての国際線として運航を開始した路線である台湾線を紹介し、230万人の利用実績について改めて感謝を示した。
また、自身が20代のころに台北に留学していた経験から台湾は第二の故郷であるとし、非常に魅力のある人々と場所であることを紹介。ところどころで通訳を介さず中国語で話しかける姿もあった。バニラエアの今後については「ピーチと合併いたしまして、日本最大のLCCになります。また、日本3位の航空会社になり飛躍的な成長を遂げます。アジアのリーディングLCCを目指して、日本とアジアの架け橋、日本と台湾の架け橋として、ますます翼を広げてまいります。引き続き安全運航を最優先に、ますます皆さまに愛される航空会社を目指してまいりますので、これからもより一層のご愛顧をよろしくお願いいたします」と話した。
ラストフライトのJW103便については、自身と森副社長、社員が25日に磨き上げたことと、座席には社員が記したメッセージがあることを紹介。最後に「本日のご搭乗、誠にありがとうございます。そして、5年10か月に渡るご愛顧、誠にありがとうございました。今度はピーチでお会いしましょう」と結んだ。
井上社長に続いて社員を代表して、グランドスタッフ、CA(客室乗務員)、機長の3名があいさつした。
グランドスタッフの船津氏は「思い出はたくさんありますが、一番の思い出は搭乗口で一緒に写真を撮りましょうと声をかけてくれた外国籍のお客さまでした。数か月後、再来日したお客さまが訪ねてこられた際は、また1人、バニラエアのファンが増えた瞬間は本当にうれしいものでした。黄色い機体とバニラエアという社名がなくなっても、私たちが過ごしてきたたくさんの仲間たちと、たくさんのお客さまとの思いでは私たちの背中を押し、力となります。これからはピーチとして思い出を共有しましょう」と、声を震わせながらもバニラエアと利用客へ謝意を述べた。
CAの稲山氏は「安全は当たり前ではない。私たちが努力して誠実な行動で作り、守って行くものだと厳しく教えられましたが、楽しいときやうれしいときは一緒になって笑って喜びあえる、そんなバニラエアで働けたことをとても幸せに思います。そして、お客さまと過ごした時間も大切な宝物です。優しい声や、ときには厳しい声もすべて、私たちの力になりました。今度はピーチの機内で会えることを楽しみにしおります」と、こちらもこみ上げる感情を抑えながらピーチで再会できることを伝えた。
機長の仲村氏は2014年にLCCとして初めて成田~奄美線を運航した際に操縦したエピソードを披露。その際、同乗していた副操縦士は現在は機長となり、ピーチとして成田~奄美線の就航の際に初便の大役を務めたことを紹介した。仲村氏はパイロットの教官を務めており、前述の機長を含め、これまで数多くのパイロットを養成してきたそうだ。「LCCといえ、非常に高い運航品質と安全レベルを維持するため、一切の妥協をすることなく乗員育成に努めてきました。そういった養成の環境も含めて、社員が一丸となって安全のために尽くすという社風がこの会社にはあり、それが自慢といえます。安全に対するスピリットは当然引き継がれて行きますので、この場を借りてお約束させていただきます。今後はバニラエア、ピーチ、それぞれのよいところ取りをして、さらに魅力のある会社にして行きたいと思います。皆様、ぜひともピーチをよろしくお願いいたします」と、安全に対する意識の高さを約束した。
スタッフのあいさつが終わると、バニラエアならではのイベント「バニラアイスで乾杯」が行なわれた。搭乗口前で待つ乗客に対してバニラアイスが配られ、スタッフと笑顔でラストフライトを祝った。JW103便への搭乗はタラップを使って行なわれたが、その前にはスタッフが並び、人間アーチを形成。盛大に送り出していた。搭乗が完了すると、井上氏を含め、大勢の社員が手を振る中、JW103便は13時02分に出発。乗客168名(乳幼児1名)を乗せ、台北に向けて飛び立った。
成田空港において最後の出発便であるJW103便を見送ったあとは再度、カウンター前で井上氏のあいさつと記念撮影を行なった。その際、カウンター業務などを委託されているエコーパートナーズのスタッフが寄せ書きを持ってサプライズ登場。5年10か月の活動を労い、手渡される感動のシーンも見られた。