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新宿駅でパンやおむすびが安く買える。小田急、複合経路検索と電子チケットのアプリ「エモット」発表会

新宿駅・新百合ヶ丘駅で飲食サブスク実施

2019年10月7日 発表

2019年10月末~2020年3月10日 実証実験

小田急はMaaSアプリのサービスと実証実験について発表した

 小田急(小田急電鉄)は10月7日、MaaSアプリのサービス内容と東京/神奈川で行なう実証実験について説明した。同社が中心になって開発を進める共通データ基盤「MaaS Japan」を活用したアプリ「EMot(エモット)」を10月末に配信開始、実証実験を始める。実証実験の期間は10月末から2020年3月10日までで、アプリをダウンロードすれば誰でも参加できる。

 サービス開始時点のEMotの機能は、鉄道、バス、タクシー、カーシェア、シェアサイクルなどを組み合わせた「複合経路検索」と、その結果から連携しているアプリ・Webサイトへ移動して、移動手段の予約・決済を行なう「電子チケットの発行」の2つ。後者は駅売店などで利用できる飲食チケットの展開も予定している。

小田急電鉄株式会社 取締役社長 星野晃司氏
星野氏はEMotのロゴデザインなどについて説明。オープンな基盤として展開するべく、小田急カラーではないイエローをあえて選択し、小田急の名前も入れていない

 EMotのベースになっている「MaaS Japan」は、「駅すぱあと」など経路検索で知られるヴァル研究所の支援を受けて、オープンな共通データ基盤として小田急が整備を進めているもの。これまでに、カーシェアで「タイムズ24」、シェアサイクルで「ドコモ・バイクシェア」、電動車椅子の「WHILL」、タクシー配車で「JapanTaxi」と「ディー・エヌ・エー」などが参画しており、JAL(日本航空)やJR九州(九州旅客鉄道)、遠州鉄道などもこの輪に加わっている。

サービスについて説明する小田急電鉄株式会社 経営企画本部 経営戦略部長 久富雅史氏
10月末の配信時点での機能

 10月末のサービスイン時点では3つの実証実験を予定しており、1つは箱根エリアでの観光型MaaSで、アプリ内で「デジタル箱根フリーパス」を提供する。駅や旅行代理店に行くことなくアプリ内で決済でき、画面を駅係員などに見せることでチケットレスで乗車可能。既存の箱根フリーパスと同様に、2日間有効と3日間有効を選択できる。

 なお、EMotの経路検索はユーザーが保有している定期券、購入済みの電子チケットを加味した結果を表示するため、このデジタル箱根フリーパスを保有した状態でEMotの経路検索を行なうと、フリーパスの区間は「0円」と表示される。

 2つめは新百合ヶ丘エリアでの郊外型MaaSで、駅併設ショッピングセンターの「新百合ヶ丘エルミロード」で2500円以上の買い物を行なうと、新百合ヶ丘駅発着の小田急バスの往復乗車券を付与するというもの(空港連絡バスは除く)。規定の金額以上の買い物後にインフォメーションカウンターなどで2次元コードを受け取り、アプリでスキャンすると電子チケットが発行される。有効期限は付与から2週間。

 3つめは新宿駅と新百合ヶ丘駅で実施する生活サービスの実証実験で、対象店舗で利用できる飲食チケットをアプリ内で販売するもの。対象は新宿駅が「箱根そば本陣」「おだむすび 本店」「HOKUO the Garden 新宿西口店」、新百合ヶ丘駅が「名代 箱根そば マルシェ新百合ヶ丘店」「名代 箱根そば 新百合ヶ丘店」「おだむすび 新百合ヶ丘店」「HAKUO 新百合ヶ丘店」。

 実証実験の期間中は、「かき揚げ天そば/うどん」や「おむすび2個」「パン2個(またはパン1個とコーヒー1杯)」など500円相当の商品と引き換えられる飲食サブスクリプション券をアプリ内で販売。10日券が3500円、30日券が7800円なので、30日券を利用すれば1か月間毎日ほぼ半額でいずれかの店舗を利用できることになる。有効期限は30日で、10日券の場合は連続する10日ではなく、30日のうち任意の10日分となっている。

 なお、担当者によると、サービス利用者が殺到した場合でも、店舗側の1日あたりのサブスク券引き換え数に上限は設けないとのこと。

複合経路検索の例。「早い」「安い」「らくらく」の3パターンで結果を表示できる
経路詳細
経路詳細からタクシー配車アプリを連携
アプリ内で電子チケットを発行できる
デジタル箱根フリーパスを購入する様子
チケットを保有した状態
画面を見せてチケットレス乗車できる
経路検索にもチケット保有状態が反映される
箱根エリアでの観光型MaaS
新百合ヶ丘エリアでの郊外型MaaS
新宿駅、新百合ヶ丘駅での飲食サブスクリプション
小田急の事業エリアに限らずサービスの展開を図る