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「第1回 航空専門学校 グランドハンドリング・コンテスト」、優勝は中日本航空専門学校。日本航空技術協会、ANA、JAL、スカイマークが協力
学生たちが高度なテクニックを披露
2019年9月14日 08:00
- 2019年9月11日 実施
JAEA(日本航空技術協会)は9月11日、羽田空港において「第1回 航空専門学校 グランドハンドリング・コンテスト」を開催した。グランドハンドリング・コンテストは、すでに実務に携わっている人を対象とした社内向けのものや各社が合同で開催したものは過去に実施されているが、学生が参加する競技会は初めての試みとなる。
コンテストは航空系の専門学校である「大阪航空専門学校」「国際航空専門学校」「中日本航空専門学校」「日本航空専門学校」に通う学生を対象としたもので、他校との交流、知識と技量をより深めることを目的に企画された。
開催に先立ち、JAEAの会長である佐藤信博氏が出場者を前にあいさつした。大きな被害をもたらした台風15号に触れ、「私は35年間整備士をやってきましたが、私の仕事を一番買っていてくれていたのがグランドハンドリングの皆さんです。一昨日、台風がやってきました。飛行機を格納庫の中に入れなければいけない。普段は3機しか入らない場所でも工夫すれば7機入ります。その工夫をやってくれているのが皆さんの先輩です」と、重要な仕事であることを紹介した。
また、香港で開催されたグランドハンドリングの世界大会においても日本のエアラインからの出場者が優秀な成績を収めたことを紹介し、「先輩に続いて、世界大会で優秀な成績を残せるグランドハンドリングの担い手になってもらいたいと思います」と激励した。
グランドハンドリングに含まれる業務は非常に多様で、PBB(Passenger Boarding Bridge:旅客搭乗橋)、ハイリフト・ローダー、給水車、汚水車、ベルト・ローダーなど、使用機材も多岐にわたる。
コンテストでは、それらのなかでもとくに使用頻度の高い、フォークリフトとトーイング・トラクターを使用。競技は「フォークリフトおよびトーイング・トラクターによる搭降載」と「トーイング・トラクターによる前進およびバックによる8の字走行」の2種目が行なわれた。
それぞれ、操作の正確さと時間を競うものだが、安全確認も非常に重要な要素になる。例えば、8の字走行ではコースに立てられたコーンを倒すと大幅な減点になる。競技前には教官による模範演技も行なわれ、出場者たちは真剣な眼差しでポイントを頭に入れていた。
なお、コンテストには、ANA(全日本空輸)とグループのANAエアポートサービス、JAL(日本航空)グループのJALグランドサービス、スカイマークが協力会社として参加。それぞれ開催準備と運営を担い、競技会場や使用機材を用意した。
競技が開始されると、出場者たちは普段学校で学んでいることを最大限に発揮し、スムーズにこなしていく姿が見られた。各校から選抜された精鋭とはいえ、その技量の高さに関係者も驚きの声を上げていた。それと同時に安全確認に対する教育も徹底されていることが見受けられ、一つのミスが大きな事故につながることを各校でしっかりと教え込んでいることも感じられた。
各校のパフォーマンスは甲乙つけがたい内容で結果発表まで時間がかかったが、優勝校は中日本航空専門学校に決定した。準優勝は日本航空専門学校で、敢闘賞に大阪航空専門学校と国際航空専門学校が選ばれた。優勝した中日本航空専門学校は学内でも同様のコンテストを開催しており、そのような経験が今回も活かされたのが勝因であったようだ。
コンテストのあとに、審査員として運営に携わっていたANAエアポートサービスの塩入康夫氏に話を聞くと、「各校とも相当練習してきているので、かなりの技量があります。今後は卒業されて各エアラインに就職されて社内訓練を受けますが、即戦力になりうる逸材になってくれるはずです」と期待を口にした。
また、今回のコンテストの開催は成功だったとし、就労人口が減少していくなかで、もっともっとグランドハンドリングの重要性や仕事のやりがいを大会を通じてアピールしていきたいと語った。
コンテスト会場にはANAが訓練機として使っているボーイング 737-500型機が用意されており、終了後に見学できるというのも学生にとっては楽しみの一つだった。退役したとはいえ、実際に間近で実機を見れるというだけに誰もが興味深く説明を聞き、興奮の表情で機体の感触を体験していた。