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竹芝の海沿いに建つ複合施設「WATERS takeshiba」の共同発表会で建設途中の現場公開。予想以上の眺めに立地の高ポテンシャル
2019年9月10日 13:29
- 2019年9月9日 発表
JR東日本(東日本旅客鉄道)と四季は9月9日、「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」 プロジェクトの共同発表会を開催した。WATERS takeshibaは、ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線の汐留駅から竹芝駅の間に位置する新しい複合施設。浜離宮恩賜庭園が目の前に位置する、自然豊かなウォーターフロントでもある。
施設は地上26階建てのタワー棟、劇団四季専用のシアター棟、10階建てのパーキング、既存の自由劇場と施設の間の広場で構成される。第1期開業は2020年4月13日の予定だ。
まず始めに事業主体として開発を進めているJR東日本の代表取締役社長である深澤祐二氏がWATERS takeshibaの概要について説明した。
JR東日本は2018年にグループ中期経営計画「変革2027」を発表しており、そのなかで「鉄道のインフラ等を起点としたサービス提供」から「ヒト(すべての人)の生活における『豊かさ』を起点とした社会への新たな価値の提供」へと「価値創造ストーリー」を転換していくことを発表している。そこで、浜離宮恩賜庭園といった自然豊かな水辺の施設がある竹芝エリアにおいて、文化・芸術を活かした街作りを進めることを決定。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会でなお注目されている知名度も活かし、浜松町地区を始めとし、東京エリア、東日本エリアの価値向上に取り組んでいくとしている。
また、水辺を活用した施設を提供することによって、体験できる新しい豊かさを感じてもらえるよう目指していることも話し、「劇場については、劇団四季のフラグシップ専用劇場を2館新設いたします。これはこのプロジェクトのなかで非常に象徴的なキーコンテンツです。訪れた人に豊かな時間を提供してくれることでしょう」とオープンへの期待を語った。
次にJR東日本 首都圏えきまち創造センター所長である大澤実紀氏から、WATERS takeshibaを知るうえで重要なポイントが説明された。深澤氏の話にもあった水辺を活かした街作りについては、東京海洋大学や都立芝商業高校と連携して目の前を流れる汐留川の水生生物や環境調査を行ない、その結果、クロダイ、スズキ、ハゼをはじめ、ミミズハゼなど、東京都の絶滅危惧種を含む、貝類や甲殻類なども生息する多様な生物環境が存在することが判明した。それらを踏まえ、水辺環境の保全やかつての東京湾の再生を目指し、教育機関や研究機関と連携して環境再生と学習の場作りに注力していく。
また、地域とともに街作りを推進するため、8月1日には「一般社団法人竹芝タウンデザイン」を設立。竹芝のほか、浜松町、芝浦といった周辺エリアも含めて、体験型イベントを開催するなど、にぎわいのある街を目指すという。
WATERS takeshibaの目玉でもある劇場は、劇団四季の専用劇場である「JR東日本四季劇場[春]」と「JR東日本四季劇場[秋]」の2館を設置する。どちらも2階建ての客席構造で、春が1500席、秋が1200席を備えている。洗練された劇団四季の舞台は、より多くの人を魅了してくれるはずである、とアピールした。
商業施設としてはシアター棟の1~3階、高層タワーの1階~3階を「アトレ竹芝」が運営する。芸術やファッション、文化に焦点を当てた上品なショップが用意される予定であり、水辺を臨む開放的なテラスで食事を楽しめるカフェやレストランなども楽しみなポイントであると説明した。
高層タワーの16階~26階はラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」が入居する。こちらはJR東日本グループである日本ホテルとマリオット・インターナショナルが初めて提携したホテルであり、上質な滞在空間が約束される。開業は2020年4月27日で、予約は10月8日の10時から開始され、ダイニングクレジットが付属する開業記念宿泊プランも用意される。
5階~14階はオフィスフロアになっており、こちらはヤクルト本社と関連グループの入居が決まっているとのことだ。
開業の詳細については、2020年4月1日にオフィスフロアが開業、4月13日にアトレ1期開業、4月27日にメズム東京が予定されている。続いて、7月14日にアトレ2期、JR東日本四季劇場[秋]の開館をもってグランドオープンとなる。ちなみにJR東日本四季劇場[春]は9月10日にオープンする予定だ。
最後に四季 代表取締役社長である吉田氏が登壇して劇場について解説した。劇団四季はJR東日本四季劇場[秋]がオープンする2020年7月14日に創立67周年を迎える。「1953年に創立し、舞台芸術を通して人生の感動、生きる喜びを届けることを理念に掲げて活動を続けてきました。この理念は、昨年に他界した浅利慶太から我々に受け継がれているものです。このWATERS takeshibaには、既存の自由劇場と合わせて3つの劇場が集まり、日本の演劇文化の発信拠点となります」と劇団について語った。
JR東日本四季劇場[春]、JR東日本四季劇場[秋]ともに従来の客席キャパシティから300席ほど増やしている。近年では完売御礼も多く、数カ月先の公演を予約してもらう状況になっており、見やすさはそのままにより多くの人に観てもらえるように設計を見直したとのことだ。
こけら落としの演目については、JR東日本四季劇場[秋]は未定とし、JR東日本四季劇場[春]については「アナと雪の女王」になったことが発表された。新しい劇場では最新のプロジェクションマッピングを用いた演出も可能で、リアルな雪と氷の世界は今まで体験したことのない感動を呼び起こすとしている。