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東京2020マスコットを描く「ラッピング水上バス」運航開始。オリンピック・パラリンピックに向けて“水辺のにぎわい”創出も

東武トップツアーズ、アサヒビールと連携

2019年8月28日 お披露目・運航開始

東京都公園協会が運航する「東京水辺ライン」に、東京2020マスコットキャラクターの「ミライトワ」「ソメイティ」を描いたラッピング水上バスが登場

 東京都公園協会は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開幕に向け、大会スポンサーで、発着場のある墨田区に本社を置く東武トップツアーズ、アサヒビールと連携し、東京2020マスコットキャラクターの「ミライトワ」「ソメイティ」を描いたラッピング水上バスの運航を開始した。

 東京都が保有する防災船である水上バスは、平時は東京都公園協会が、隅田川を中心に浅草、お台場、葛西臨海公園など東京の水辺を周遊する「東京水辺ライン」を運航している。

 水上バスは定員140名(船内座席54席)の「さくら」「あじさい」、定員200名(同130席)の「こすもす」の3隻を運航しており、8月28日時点では「さくら」「あじさい」の2隻をラッピング。「こすもす」のラッピングも予定しており、9月3日からラッピングされた状態で運航を開始する予定という。

 ラッピングは「さくら」「あじさい」それぞれに、東京2020マスコットキャラクターのミライトワ・ソメイティ、東京2020大会エンブレムが描かれ、「さくら」には東武トップツアーズ、「あじさい」にはアサヒビールのロゴが添えられる。上面をラッピングしていることから、水上バス乗船者なら上部デッキから、船外なら橋の上から水上バスを見たときに目立つ位置となっている。

 ラッピング水上バスは東京パラリンピック開幕まで1年を切った8月28日に運航を開始。定期運航便に導入した。

水上バス「さくら」
水上バス「あじさい」
水上バス「こすもす」
東武トップツアーズのロゴが入る「さくら」
アサヒビールのロゴが入る「あじさい」(写真:主催者提供)

 このラッピング水上バスの運航にあたり、初日となる8月28日に墨田区役所前発着場でお披露目式が行なわれた。

 冒頭で主催者あいさつをした東京都公園協会 常務理事の五十嵐政郞氏は、競技会場があるまる湾岸エリアの開発の進行や、東京都による浅草・両国エリアのにぎわい創出、水辺の魅力向上の取り組みなどに触れ、「この状況を踏まえ、東京水辺ラインはスポンサー企業と連携し、マスコットデザインのラッピング水上バスを運行する」と紹介。「ラッピング水上バスを活用したさまざまな企画をともに実施することで、東京2020大会に向けてさらなる機運醸成を図り、水辺のにぎわい創生を図りたい」と運航の目的を語った。

公益財団法人東京都公園協会 常務理事 五十嵐政郞氏

 続いて、スポンサー企業の代表者があいさつ。アサヒビール 東京2020オリンピック・パラリンピック本部 担当部長の遠藤琢司氏が、「水上バスをご利用される皆さんはもちろん、素晴らしい隅田川の水辺から水上バスをご覧になる多くの方々にも大会の期待を抱いていただける一助になれば」と期待。

 東武トップツアーズ 執行役員 スポーツ・東京2020事業推進部長の秋月隆志氏は「ここ隅田川から競技会場のあるベイエリアを中心に運航される水上バスを活用し、大会開催に向けた機運醸成に寄与させていただく機会をいただいた。海外をはじめとする多くの来訪者に、ラッピング水上バスを活用したイベントなどを実施していく所存。そして、このエリアの魅力と存在を内外に広くアピールし、東京の水辺空間の魅力向上につなげる」と、この取り組みに参画した目的を語った。

アサヒビール株式会社 東京2020オリンピック・パラリンピック本部 担当部長 遠藤琢司氏
東武トップツアーズ株式会社 執行役員 スポーツ・東京2020事業推進部長 秋月隆志氏

 最後にマイクの前に立った墨田区長の山本亨氏は、「今日はたいへんうれしい日」と話を切り出し、「魅力あるラッピング水上バスのお披露目ができることに感謝を申し上げると同時に、墨田区としても、墨田区としてもしっかりPRして、皆さんと一緒に水辺のよさ、にぎわい、そしてオリンピック・パラリンピックのPRにしっかり努めていきたい」との意気込みを示すとともに、「(墨田区は)国技館がボクシング会場となっており、オリンピックの成功と、そのレガシーをしっかりと子供たちにも伝え、そして街作りにも活かしたいと思っている。ラッピングバスは聞いたことがあるが、ラッピング水上バスという新たな試みが隅田川を運航していただけることは、隅田川の魅力、水都・墨田の魅力をさらに大きくしていただけると思うし、大会の機運醸成にもつながっていく」と期待を述べた。

墨田区長 山本亨氏
フォトセッションにはミライトワ・ソメイティも登場。式典参加者は左から順に墨田区議会 議長 田中邦友氏、東京都建設局 河川部長 小林一浩氏、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 マーケティング局長 坂牧政彦氏、墨田区長 山本亨氏、東武トップツアーズ株式会社 執行役員 スポーツ・東京2020事業推進部長 秋月隆志氏、公益財団法人東京都公園協会 常務理事 五十嵐政郞氏、アサヒビール株式会社 東京2020オリンピック・パラリンピック本部 担当部長 遠藤琢司氏、都議会議員 加藤雅之氏、都議会議員 川松真一朗氏、都議会議員 成清梨沙子氏
お披露目クルーズに出発する「あじさい」を式典列席者やミライトワ・ソメイティがお見送り

人気の観戦ツアーは10倍以上の申し込み。大会前までに水上バスでのイベントなどを計画

 式典後、旅行会社として本取り組みに参画する東武トップツアーズ 執行役員 スポーツ・東京2020事業推進部長の秋月隆志氏に話を聞いた。同社は東京オリンピック・パラリンピックの招致活動に協力するとともに、開催決定後はオフィシャル旅行サポーターとしてスポンサー契約。東京2020組織委員会にも社員が出向して運営業務に協力している。

 そのようななかで運航が始まった水上バスについて秋月氏は「元々機運醸成はミッションの一つだったので、お手伝いさせていただけるのは我々の目指していたところ。本社のある墨田区からベイエリアにかけて、水上バスという動くもので機運醸成を図れることをうれしく思う」とコメント。

 ラッピング水上バスのツアーなどへの活用については、式典でのあいさつにもあったとおり、オリンピック・パラリンピック開催期間前までにイベントを実施する予定。周囲の施設とのタイアップなども検討したいとした。

 また、昨今の修学旅行では施設の見学希望が多いといい、来春に東京を訪れる修学旅行客に向けて、水上バスを使って会場を水上、海上から見るといったことも検討。「オリンピック会場を見に行くのに我々のロゴが入った船で行くのは、我々にとっても意義があり、海上から見る機会というのは修学旅行の生徒の皆さんにも意義があると思う」との考えを示している。

 ちなみに、観戦チケットの人気ついては各種報道で伝えられるとおりであるが、宿泊や交通手段をセットにした観戦ツアーについても人気のツアーは10倍以上の申し込みがあるという。8月23日に締め切ったソフトボール決勝、サッカー、野球を見る大阪/名古屋限定のツアーは特に人気が高いとのこと。

 今後もツアー商品の提供は予定されており、出場選手が決定した翌日に申し込みが増えるなど選手の動向に連動している傾向もあるとのことで、そうした話題性のある商品を「タイムリーに提供していきたい」とした。

東武トップツアーズ株式会社 執行役員 スポーツ・東京2020事業推進部長 秋月隆志氏。ラッピングが施された「さくら」船上で
地元の招待客などが乗船して、通常とは異なる短距離のお披露目ツアーが行なわれた