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「ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA」5月30日開業。京都駅徒歩2分のJRのホテルに泊まってみた

内覧・試泊レポート

2019年5月30日 開業

京都駅前に「ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA」が5月30日に開業する

 ジェイアール西日本ホテル開発は5月30日、新ブランド「ヴィスキオ」の名を冠した「ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA」をJR京都駅前に開業する。

 ホテルヴィスキオ京都は、JR西日本ホテル開発の基幹ブランド「ホテルグランヴィア」の品質を維持しつつ、都会的で現代的な上質感を前面に押し出した宿泊特化型のホテルブランド。

 2018年6月にホテルヴィスキオ大阪、ホテルヴィスキオ尼崎を開業しており、ホテルヴィスキオ京都はこれに続くもの。JR西日本グループのほかのホテルと同様に駅至近に立地しているのも特徴で、ホテルヴィスキオ京都もJR京都駅(八条口、八条東口)から徒歩2分と、観光にもビジネスにも非常に便利だ。エキストラベッドも使用した場合の最大宿泊人数は939名で、京都の中心部に誕生することで旺盛なインバウンド需要にも応えることができる。

 開業に先立ち、5月22日に開業の記念式典と内覧会を実施した。

ホテルヴィスキオ京都は、京都駅(八条口、八条東口)から徒歩2分の好立地。最大宿泊人数939名のホテルが京都の中心部に誕生する

「ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA」概要

開業日: 2019年5月30日
所在地: 京都市南区東九条上殿田町44-1
アクセス: 京都駅 八条口から南へ徒歩2分
延床面積: 約1万7350m 2
チェックイン/チェックアウト: 15時/11時
客室数: 423室(全室禁煙、喫煙室あり)
[モデレートダブル]56室(21.5m 2
[モデレートツイン]184室(21.5m 2
[スーペリアツイン]126室(28.8m 2
[デラックスツイン]2室(38.7m 2
[トリプルルーム]49室(26.2m 2
[ファミリールーム]5室(39.5m 2
[ユニバーサルツイン]1室(43.6m 2
宿泊料:
[モデレートダブル]3万5000円(税別)
[モデレートツイン]3万5000円(税別)
[スーペリアツイン]4万7000円(税別)
[デラックスツイン]5万5000円(税別)
[トリプルルーム]4万5000円(税別)
[ファミリールーム]5万5000円(税別)
[ユニバーサルツイン]4万5000円(税別)
※1泊1室あたりの料金。京都市宿泊税別途
Webサイト: ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA

 ブランド名のヴィスキオ(vischio)とは、イタリア語で「宿り木」の意味。宿り木は北欧神話では幸福・安全・幸運をもたらす聖なる木とされていることから、宿泊者の旅の疲れを癒すとともに幸福を感じてもらえる場となることを願って命名したという。

 内覧会では、1階のロビー・フロント、レストラン、宿泊者専用ラウンジ、9階の客室、2階の大浴場、フィットネスルーム、ランドリールームなどを公開した。

ロビー、フロント(1階)

随所に京都らしさを盛り込んだロビー

 ゲストを迎えるロビーは、床面に御影石を使用、石畳に着想を得たパターンとしている。フロントの正面には京町屋の坪庭をイメージした中庭を配置することで、ロビーに明るい光が差し込むようにした。この庭に隣接するエリアは苔をモチーフとした色彩のカーペット敷きとし、飛び石を模したソファを配置することで京都らしさを演出した。

 フロントのカウンターは錦糸とガラスを用いて鴨川の流れる様子を蒔絵風に表現、フロントの後ろの壁は比叡山の山並みを俯瞰したという立体壁画となっており、シンプルだが気品のある風情にまとめている。

 宿泊者に便利な機能として、専用ロッカールーム、専用ラウンジ(後述)、自動精算機、外貨両替機、喫煙所、豊富な品ぞろえのアメニティバーもロビー周辺に設けられており、快適でストレスのかからない滞在を実現する。

石畳と飛び石のある庭を表現したロビー
中庭からの光が柔らかく注ぎ込む落ち着いた雰囲気だ
グループでの待ち合わせなどに利用できるソファも
フロント自動精算機は英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語に対応。右端は外貨両替機
アメニティバーには男性用と女性用のアメニティ、部屋で楽しめるお茶やコーヒーなどが揃う

客室

客室は全7タイプ423室

 国内レジャー&インバウンドのゲストを想定し、さまざまなニーズに対応して全7タイプの多彩な客室構成としている。客室数は計423室で、エキストラベッド(34台)を含めると最大宿泊収容人数は939名。

 客室の面積は21.5m 2 ~43.6m 2 で宿泊特化型ホテルホテルとしては広く、全室禁煙(喫煙ブースは1階ロビーと2階に設置)で、バス・トイレは独立している。ベッドは国内シェア・ナンバーワンのシモンズ製ホテルオリジナルモデルを導入。マットレスにはコイルとソフトウレタンのピロートップを採用、柔らかくも安定感のあるしっかりとした寝心地を確保した。また軽量で保温性の高いダウン90%の掛布団も導入している。

モデレートツイン

 客室数が最も多いのがモデレートツイン。暖色系のスポット照明と落ち着いた自然をイメージさせる色使いの室内で、ベッドルームには宿り木のイメージの模様のカーペットを敷いた。壁面には京都の木材である「みやこ杣木」を使用した和柄のアートワークをあしらった。

モデレートツイン
モデレートツインの室内

スーペリアツイン

 モデレートツインと並ぶ主力の客室が、スーペリアツイン。備品や調度品はモデレートツインと同等だが、こちらの方が約7m 2 広く室内がゆったりしており、旅行中の荷物の整理などに便利だ。また、客室幅が広くなったことに合わせて洗面台のシンクも手水鉢のような形状の幅広のものを採用している。

スーペリアツイン
スーペリアツインの室内

デラックスツイン

 デラックスツインは、ハンディキャップのある人向けのユニバーサルツイン、ベッドが4台設置されているファミリールームに次いで広い。窓際にロングソファがあり、ベッドとテレビとの間にはほかの部屋タイプとは異なるラウンドフォルムのチェアと広めのテーブルが置かれている。自宅のリビングのように快適に滞在できそうだ。

デラックスツイン
デラックスツインの室内

トリプルルーム

 3名グループや家族といった利用シーンが考えられるトリプルルーム。スーペリアツインと同様に室内スペースをゆったりとってあり、チェアは使用しないときに壁際に寄せて片付けられるスツールとすることでさらにスペースを有効に使える。また、洗面台と鏡も広く、複数人が同時に使用できるよう配慮している。

トリプルルーム
トリプルルームの室内

 また、客室フロアの廊下は最低限の照明として静かなたたずまいとなっている。カーペットの模様は枯山水をイメージしたもので、静寂で奥ゆかしい空間を演出。エレベーターホールには紋様柄のパネルアートも設置している。

宿泊フロアの廊下(4階)

大浴場・コインランドリー・フィットネスジム

2階大浴場前に設けられたくつろげる空間

 2階宿泊フロアには、男女別の大浴場、フィットネスルーム、コインランドリー、ドリンクコーナー(ジュース、酒類、アイスクリームの自動販売機)を設けた。また、大浴場に隣接して女性専用客室ゾーン(レディースエリア)があり、セキュリティゲートも設置。レディースエリア内部は公開されなかったが、ヘアサロン専売ブランド「ハホニコ」のヴィスキオ京都オリジナルアメニティやナノイードライヤーを用意している。2019年夏には「ウルトラファインミスト」のシャワーも設置予定。

 大浴場は時間による男女の入れ換えがないもので、基本的な仕様は同じだが、男性用大浴場にはドライサウナと水風呂、女性用大浴場には体に優しいミストサウナを完備。脱衣所の面積や洗面台の数は女性用の方が多く作られているが、これは男性は1人での利用が多いのに対し、女性はグループでの利用が多いという統計に基づいたもの。その分一般的な大浴場と比べるとゆったりと過ごすことができそうだ。

女性用大浴場
女性用大浴場
男性用大浴場
男性用大浴場

 フィットネスルームはランニングマシン2台、バイク2台、ダンベル、ヨガマットが設置され、これらフィットネスマシンを無料で利用できる。またウォーターサーバーもある。

フィットネスルームには最新のマシンが並ぶ

 長期旅行にはうれしいコインランドリー。海外のホテルでは英語表記などがなく外国人が扱いにくいものも多いなか、ホテルヴィスキオ京都が設置する5台はシンプルな操作で分かりやすいものとなっている。

 特筆すべきは、客室のモニターで使用状況がリアルタイムで分かること。洗濯物を持って部屋とランドリーを何往復もするという状況を回避できるため、宿泊客にとってはうれしいサービスといえるだろう。また、コインランドリーに隣接して牛乳やジュース、ビールやカクテルなどの種類、アイスクリームの自動販売機とアイスディスペンサーも完備した。

コインランドリー
ドリンクコーナーの自動販売機

宿泊者専用ラウンジ

歓談やビジネスにも利用できる宿泊者専用ラウンジ

 1階ロビーには宿泊者がゆったりとくつろげるラウンジもあり、滞在中の宿泊者同士のミーティングや歓談などに自由に使える。4名掛けのテーブル席やグループで使える長机のほか、電源が設置されワークスペースとして便利な席があり、PC、iPad、プリンタも各1台を用意。また客室と同様にIEEE801.11acの高速無料Wi-Fiも備えており、インターネットも快適だ。コーヒーや紅茶、水などのドリンクもセルフサービスで利用できる。

思い思いの時間が過ごせるラウンジ
ラウンジは仕切りで区切ることで約半分のスペースを切り離し、パーティスペースなどにも転用できる
セルフサービスのドリンクも充実

レストラン「ヴィスキオガーデン」

中庭を含む3面採光で明るく、光と緑、美味しい香りに包まれていた店内

 ホテルの評価を決める重要な要素の一つが、朝食。トテルヴィスキオ京都で食事を提供するのが、レストラン「ヴィスキオガーデン」だ。店名の「ガーデン」の語源は「guard」「eden」であり、安心して楽しく食事ができる場所を表現したもの。食事を提供するバイキングコーナーと、全184席の細長いホールからなり、ホールは必要に応じて21から40名、41~60名の貸し切り個室としても使用できる。

ロゴは頭文字の「V」と「G」を組み合わせ、若葉が芽吹く様子をイメージ
カウンター。通常はここで空いている席をアサインされるようだ

 提供する料理は「心地よい1日のはじまり」をコンセプトに京都とフレンチのエッセンスを随所に取り入れた“ここでしか味わえない”もので、そのバラエティは約100種類にもおよぶ。料理へのこだわりは内覧会でも強く感じたので、写真とともにそれらを紹介しよう。

サラダコーナー
「フォワグラバーガー 京都水尾の柚子ジャム」
お茶、フレッシュジュース、スープ
バイキングコーナーの中央にはスタジオキッチン
肉を焼く音と香りは食欲を刺激する
スタジオキッチンで調理された熱々の料理の例。中央は「牛肉ステーキ オリジナルオニオンソース」
温かい料理が並ぶ。カウンターはトレイが置けるだけのスペースも確保
きのこのクリーム煮をサクサクのパイ生地に流し込む「ヴォローヴァン」
パンはクロワッサンやベーグル、パンケーキやワッフルなど14種類
京都の食材を使ったこだわりの料理が並ぶ和食コーナー
白ごはん、玄米ごはんを自動でよそう機械。清潔で正確な量のごはんが食べられる
茶碗をセットし、「120g」のボタンを押すと、ご飯が「123g」盛られた
みそ汁もワンタッチ。お椀にそそぐ時間も短縮され、こぼすこともない
鯛味噌やちりめん山椒など8種類の出汁茶漬け
彩りも鮮やかな海鮮ちらし寿司
京卵のだし巻き、筑前煮、伏見唐辛子の炊いたんなど、京都のおばんざいも
デザートコーナーにはケーキやおはぎ、みたらしなど和洋のスイーツ
フルールカクテルやフレッシュな果物。ヨーグルトとオリジナルソース

ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA 開業記念式典

 内覧会を行なった22日の午前11時30分からは、京都府副知事や京都市長らを来賓に招き、1階ロビーで「ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA 開業記念式典」を開催した。

開業記念式典は1階ロビーで行なわれた

 式典の冒頭、主催者としてジェイアール西日本ホテル開発 代表取締役社長の湊和則氏があいさつした。湊氏は、国際観光都市である京都の玄関口に、ホテルグランヴィアが開業して22年を迎えたことに触れ、京都府や京都市の関係者、そして多くの顧客の支援と愛顧の賜物だと感謝の気持ちを表わした。

 そして、そのホテルグランヴィアが運営するホテルヴィスキオ京都は、「あなたと、この街、今をつなぐ」をブランドビジョンとして掲げ、グランヴィアのブランド、クオリティ、安心感、先進性を冠していることや、ホテルヴィスキオが京都にオープンすることで、観光やビジネスなどで訪れる多くの宿泊者に多彩なバリエーションの居室、サウナ付きの大浴場、フィットネスジムやラウンジ、地元の食材を使用したレストランを楽しんでもらえると話した。結びに「平成から令和へと時代は変わり、時代の流れも加速しているのを感じますが、変化を恐れず今後もチャレンジしてまいります」と述べた。

株式会社ジェイアール西日本ホテル開発 代表取締役社長 湊和則氏

 次にあいさつしたのは、JR西日本(西日本旅客鉄道)代表取締役副社長の長谷川一明氏。長谷川氏は今回のホテルヴィスキオ京都のオープンはJR西日本グループとしても大変うれしいことだと語った。また、鉄道事業を中心にグループすべての事業で安全、安心、快適なサービスを提供していきたいと述べ、「地域の皆さまとともに歩むことが事業の根幹です。このホテルを起点に、地域の皆さまに新しい価値を提供し、地域とともに発展していけることを願っています」と結んだ。

西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役副社長 長谷川一明氏

 続いて来賓による祝辞が述べられた。京都府副知事の山下晃正氏は冒頭でホテルを内覧した感想を披露。「お風呂なども見せていただいたが、女性用の方が(パウダールームが)広くできていました。説明を聞くと、男性は1人で来られるが、女性はグループでいらっしゃる方が多いそうで。よく考えられているなと思いました」などと話した。

 また、京都ではまだまだ宿泊施設が不足していると話し、玄関である京都駅にホテルができるのは京都府としてもありがたいことだと述べた。しかし、街ではキャッシュレスで買い物がしたいなどという外国人観光客の要望に応えきれないでいることなど反省点もあると述べ、おもてなしの地域にふさわしい水準にするためには、行政だけでも一企業だけでもかなわず、地域をあげて京都を訪れる人へのホスピタリティを上げていきたいと語った。

京都府副知事 山下晃正氏

 京都市長 門川大作氏は「素敵なホテルができました。うれしい限りです」と切り出した。門川氏によると、5年ほど前まで、京都の観光産業の最大の弱点は客室数が少な過ぎることだったという。その後ホテルの開業が相次ぎ、現在では客室数の不足は緩和されてきたものの、次なる課題として質の高いホテルがまだ少ないことが挙げられるそうだ。また、訪日外国人のうち京都に宿泊している人の割合は約12%程度であることについても触れ、まだまだ宿泊者を増やせる可能性があるとの見解を示した。京都市では現在、おもてなしの品質を下げる違法民泊の撲滅に向けて取り組んでおり、満足度の高い観光都市を目指し、今後もさまざまな取り組みを行なっていきたいと締めくくった。

和装で登場した京都市長 門川大作氏
セレモニーの締めくくりにテープカットが行なわれた

「モデレートダブル」に試泊してみた

ホテルヴィスキオ京都にいち早く宿泊

 セレモニーの終了後から翌朝まで、ホテルヴィスキオ京都に滞在する機会を得たので、ここからは実際に宿泊した様子をレポートしたい。

 宿泊したのは56室(計112名収容)ある「モデレートダブル」の部屋。部屋面積は21.5m 2 で料金は3万5000円と、主力のモデレートツインと同等の設定となる。ベッドが1つのためモデレートツインより部屋は広く感じるかもしれない。

 ルームキーはカードタイプ。セキュリティのため部屋番号などは印字されていない。エレベーターで移動する際は、このルームキーをセンサーにタッチしなければ目的階のボタンが押せないようなっている。ドアノブのセンサーにキーをタッチして開錠したり、部屋に入ったところでカードホルダーにキーをセットすると照明などが点灯する仕様はオーソドックスなもので迷うことがない。

宿泊したモデレートダブル
ハンガーは6つでクリップ付きは2つ。消臭スプレーもある

 床面は、通路、洗面、トイレはフローリングでベッドルームがカーペット敷き。バスルームは撥水性があり滑りにくい素材になっているが、これら一切に段差はない。バスルームと洗面スペースの境はゴムのシールがあり、ドアを閉めていれば水は一切漏れ出さないように工夫されていた。

床面は、バスルームへの入口を含めて一切段差がない

 ベッドルームはアースカラーの落ち着いた色合いでまとめてあり、最低限の調度品を機能的に配置していて見た目もスッキリしている。ベッドは195×180cmのキングサイズ。実物は数字で見るよりインパクトが大きく、大人の男性がどんな方向に寝転がっても体がはみ出さない。壁面のモニターは4K対応の43インチのもの。チェックイン時はメッセージが表示されており、ホテル内外の情報や地上波・衛星のテレビ放送、ビデオオンデマンドの放送も表示できる。窓に面してテーブルとチェア2脚があり、チェアは座面がやや硬めでリラックスするというよりちょっとした作業に向いている感じだ。

シンプルなベッドルーム
窓際にはテーブルとチェア。テーブルはA4サイズのノートPCとドリンクやマウスを置いて作業できるサイズだ

 室内の備品は、ベッドサイドにフロント直通の内線電話機やメモ帳、目覚まし時計などが置いてあり、ペットボトルのミネラルウォーター、湯沸かしポット、グラスやコーヒーカップ、冷蔵庫などもキャビネットにまとめてある。部屋にはプラズマクラスターの空気清浄機がある。

ベッドサイドの什器類も色を揃えてあり統一感がある。フェルト敷きのアクセサリートレーは便利
ベッドの反対側にも照明のコントローラとスマートフォンなどを置くのに便利な台がある
照明や読書灯のコントローラ。充電用のUSBポートとコンセント(100V)は非常に便利だ
機能を集約したキャビネット
ペルチェ式で動作音のない冷蔵庫
ミネラルウォーターのボトル。AC電源も2個口あるため、カメラやタブレットなど旅行中に充電したい機器を置くのにも便利
空気清浄機も全室に設置

 洗面、バス、トイレが独立した造りになっていることは、宿泊のストレスをなくすうえでも重要だ。トイレとバスが一体となったユニットバスの場合、2名以上の滞在ではトイレとバス、洗面の同時使用ができなくなるし、1名での宿泊でも入浴後に床が濡れているとトイレの利用に躊躇する。またトイレットペーパーが湿気たり、洗顔時に鏡が曇っていたりするのも小さなストレスにつながる。

 ホテルヴィスキオ京都では、洗面、バス、トイレが独立しており、こうしたストレスとは無縁になる。バスルームには鏡もないほどで、徹底した機能の切り分けを感じた。部屋に備え付けているアメニティは、浴室にシャンプー、コンディショナー、ボディソープ、洗面台に歯磨きセットとボディウィッシュタオル、洗面台の下にバスタオルとフェイスタオル、ドライヤー、そして入口ドア付近にスリッパなどがあるのみ。カミソリや綿棒、コットンやメイク落とし、化粧水や乳液などが必要な場合は1階のアメニティバーで手に入れる。

 大浴場も利用した。洗い場は16か所あり、隣とは衝立で仕切られているため、シャワーなどの湯が隣に飛ばないように気遣う必要もなかった。ホテルの大浴場としてはかなり湯舟が大きく、スーパー銭湯のような居心地だった。

洗面台とバスルーム
トイレは全室、TOTOの最新のウォシュレット
洗面台とアメニティ

 ホテルに宿泊する際、コンセントの口数が気になるという方も多いだろう。筆者の場合は仕事に携行するガジェットが多く、多いときはカメラのバッテリ数本、ビデオカメラのバッテリ数本、ストロボの電池、タブレット、スマートフォン、ポケットWi-Fi端末、スマートウォッチ、モバイルバッテリに充電しながらノートPCとモバイルモニターでマルチモニターを構成して作業することもある。その際に使用しやすい場所にコンセントがあるかどうか、その口数が多いか少ないかは非常に重要だ。

 ホテルヴィスキオ京都では、AC100Vのコンセントがベッドサイドに4個口、キャビネット上に2個口、ベッドルーム手前の通路に2個口、洗面台に2個口と計10か所もあり(空気清浄機用のコンセントは含まず)、ベッドサイドには充電用のUSBポートもあって非常に潤沢。欲をいえばベッドサイドはユニバーサルAC電源だと、外国人の宿泊者には便利だろう。

ベッドサイドのソケット。AC100V×3、DC5V(USB)、RJ45のLANコネクタもある
キャビネット、通路、洗面台の電源ソケット
テーブルでノートPCを使用する場合、電源コードは全体で2m程度あるとよさそうだ

 今回の試泊で感動したポイントの一つが、部屋の43インチ4K対応モニター。薄型・大画面のテレビはもはやめずらしくはないが、ホテルヴィスキオ京都のものはその機能性と使い勝手が大幅に進化したもので、まるで大きなタブレット端末のように使用できる。

 メイン画面にはホテルや周辺の飲食店、雑貨店などの情報、観光案内にアクセスできる。これらの観光案内を表示させるとQRコードも表示されるため、例えばモニターを使って行先を決め、出かける際にはスマートフォンでルートなどを参照するといった使い方が可能だ。

 また、ホテル内の施設情報も表示されており、営業時間や場所が分かるほか、コインランドリーや大浴場、レストランの混雑状況もリアルタイムで表示される。これは非常に便利な機能で、例えばコインランドリーで洗濯しようとする際に、現在のランドリーマシンの使用状況が部屋に居ながら確認できるのだ。

 さらにこのモニターはHDMIケーブルを通じてPCなどの情報が表示でき、ミラーリングにも対応しているのでスマートフォンやタブレットの画面も大きく映すことができる。ミラーリングの設定方法なども表示されるため、初めて使用する人でも問題なく設定できるだろう。

43インチモニター。モニター下のスタンドに入っているのは手鏡など
HDMI入力コネクタ
メイン画面。館内の情報やWi-Fiのパスワードなども表示されている
ランドリー、大浴場、レストランの状況をリアルタイムで把握
ミラーリング設定画面。AndroidとiOSに対応
スマートフォンの画面をワイヤレスでモニターに表示

 試泊では、夕方ごろに雑貨店とコンビニに買い物に出かけ、その後部屋に戻って部屋とラウンジで仕事をし、夜には混雑状況を調べて大浴場を利用、さらに深夜まで仕事をしていた。

 買い物にでかけた雑貨店はドン・キホーテ京都アバンティ店で、ホテルを出て正面の道路を挟んだ向かいの建物にあり、歩いて2分以内。またコンビニは徒歩圏内に複数があるが、最寄りはホテル南側のファミリーマート烏丸八条口店で1分以内だ。近隣は飲食店も豊富で、京都駅八条口付近のASTY京都はもちろん、自由通路を歩いて北側の烏丸中央口地下やジェイアール京都伊勢丹などに有名店も多く出店している。

 部屋では資料を広げて原稿を書いてみたが、ビジネスホテルにあるようなデスクはないもののチェアの座面がやや硬めでしっかりしており、テーブルも低過ぎないため長時間の作業にも問題がなく、またスポット照明がテーブルを照らし資料が暗くて見づらいということもなかった。暖色系の照明だがよく考えられた配置だと思う。また、キャビネットトップも広めで、お茶やコーヒーの用意やガジェットの充電はそちらを利用できるため、テーブルは作業のみに使えるのもありがたかった。

 Wi-FiはIEEE801.11acを採用している。そのためミラーリングの動作もきびきびしている。また電波強度も強くネット接続速度も速い。試泊では宿泊者が少ないためあくまで参考レベルだが、約500MBのデータのアップロードは約40秒程度で完了した。通常のネットサーフィンやSNSの利用にストレスを感じることはないだろう。

 また、外から漏れてくる音やエアコンや冷蔵庫の作動音、廊下や隣の部屋からの音がないか注意して聞いてみたが、最も大きな音はエアコンの送風口から風が流れてくる音で注意していないと聞こえないレベルであり、そのほかのノイズはなく非常に快適だったことも添えておきたい。

朝7時55分のモニター画面

 朝8時、部屋のモニターでレストランの状況を確認して1階へ。廊下に出るとほかの試泊者と一緒になり、初めてこのフロアで他人の気配に触れた。レストランに着いて朝食券を渡すと、カウンターで人数の確認がありテーブルまで案内される。「食事中」の札が置かれて食事開始だ。さっそくバイキングコーナーへ向かい、まずは洋食を、次に和食をとってみた。

充実したメニューが並ぶバイキングコーナー
洋食の一例。サラダとデザート、ジュース以外はいずれも温かい
和食の一例。特に左上の「具たっぷり豆乳かす汁+ラーメン」は絶品
ホットコーヒーはホールにも置かれており、バイキングコーナーまで行かずとも飲める。フタ付きの紙コップもあるため部屋に持ち帰ることも可能

 ホテルヴィスキオ京都は、清潔で機能的な宿泊特化型ホテルのなかでも上質のホテルとして誕生する。内覧会では、「Bed」「Bath」「Breakfast」の“3つのB”に力を入れているとの説明があったが、実際に試泊してみると、しっかりと疲れを癒してリフレッシュし、翌日の活力につなげるという考えをベースに、設備やサービスを整えていることが実感できた。

 旺盛なインバウンド需要を背景に、京都駅付近には今後も大規模なホテルの誕生が続く。その一方で、京都市は“おもてなしの品質”を下げる原因となっている違法民泊の撲滅に注力するなどしており、ホテルに期待されるサービス水準は地元でも利用者側でも高まりつつあることを感じる。5月30日の ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA の誕生を機にこの流れがさらに加速され、上級な京都の宿泊が体験できる施設が増えていくことに期待したい。