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MRJ 10号機は第2四半期に完成。三菱航空機、水谷社長がMRJの進捗を説明

10号機は完成次第、飛行試験に投入

2019年4月16日 実施

会見する三菱航空機株式会社 代表取締役社長 水谷久和氏

 三菱航空機は4月16日、「Quarterly Update(四半期アップデート)」と題した会見を開き、代表取締役社長の水谷久和氏が進捗を報告した。今後は四半期に1回、同様の発表の場を設けるという。

 同社が開発を進める国産ジェット旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」は、3月3日に米モーゼスレイクの拠点で型式証明(Type Certificate)取得のための飛行試験を開始したばかり(関連記事「MRJが型式証明取得に向けて飛行試験を開始。設計変更した4号機『Shinobi』を使用」)。

 2018年からの流れを振り返った水谷氏は、12月に国土交通省 航空局(JCAB)から飛行試験開始確認書(TIA:Type Inspection Authorization)を受領、年が明けて3月3日にJCABのパイロットによる飛行試験(TCフライト)を開始していると説明し、「当初想定したとおりの結果を得られている」と順調な進捗を表現した。TCフライトは1回で終わるものではなく、今後順次試験項目をJCABが確認を進め、「JCABがトータルに判断して型式証明を出す」とのこと。

 また、3月19日と20日にはFAA(Federal Aviation Administration:米国連邦航空局)のパイロットによる慣熟飛行を2回実施、3月27日にLOA(Letter of Authorization)を受領している。これにより、FAAのパイロットによるTCフライトも可能になっている。そのパイロットの個人的な感想では「いい機体だ」とのコメントも得られたという。

 さらに同社は並行して、3月24日からフロリダ州エグリンの「マッキンリー極限気候研究所」で極寒酷暑試験を実施したり、3月から4月にかけて社内試験として横風試験を実施したりしているという。

3月3日(現地時間)からTCフライトが始まっている
フロリダ州エグリンで極寒酷暑試験を実施中
FAAによる慣熟飛行や、社内試験の横風試験などを行なっている

 製造関連では、完成次第TCフライトに供する新しい機体(10号機)の製造が最終段階に来ており、第2四半期中にできあがる見込みだという。第2四半期のいつか、という問いに対して広報担当からは「6月までに」との回答にとどまっており、前倒されるかどうかは明らかになっていない。

10号機は第2四半期に完成見込み

 6月17日から23日に開催される「パリ航空ショー2019(International Paris Air Show 2019)」については、「出展はするが、何を出すかはまだ検討中」という。

 MRJにはより席数の少ない短胴型の派生機「MRJ70」も存在するが(現在TCフライトを行なっているのは90席クラスの「MRJ90」)、MRJ70については仕様などを詰めている最中で、水谷氏は「より市場にマッチするもの。単に胴体を短くするのではなく、技術的にMRJ90より踏み込んだものをと考えているが、踏み込んだことで市場に待ってもらえないのでは意味がない。それに例えば、今後ストレッチ(長胴化)みたいな話もあるかもしれない」として、仕様検討が大詰めであることを明かした。そのうえで、MRJ70に関する展示がパリ航空ショーに間に合うかどうかは「まだ分からない」という。

 水谷氏は12月の会見で「新設計機を会場に持ち込みたいが、TCフライトと重なったらそちらを優先する」と述べており、この日も会場へ実機を持ち込まない可能性があることを示唆した。

広報、営業、カスタマーサポートなどでグローバル体制を強化
米国本社をワシントン州レントンへ移転
2020年半ばの初号機納入に向けて着実に取り組んでいく