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モナコ政府観光会議局、ドキュメンタリー映画「Monaco:Back to the Future」上映会。モナコ公国の観光や環境への取り組みを紹介

皇居2つ分の面積に千代田区以上のEV用充電施設

2019年3月14日 開催

モナコ政府観光会議局 日本事務所ディレクター シルベスタ典子氏(左)と、在東京モナコ公国名誉総領事 佐々木望氏(右)

 モナコ政府観光会議局は3月14日、東京・新宿にあるフランス語学校「アンスティチュ・フランセ東京」において、モナコ公国の持続可能な成長を実現する取り組みなどについてのドキュメンタリー映画「Monaco:Back to the Future」の上演会を行なった。

 モナコはフランスの南端にある約2km 2 の面積からなる小国だが、F1世界選手権で最も格式が高いレースとなる「モナコGP」を開催するなど、スポーツの振興や観光業に力を入れている国として知られており、日本人観光客にとっても魅力的な観光地の一つになっている。

 2006年に即位した現大公のアルベール2世大公は、ボブスレーでオリンピックに出場するなどスポーツマンとしても知られているほか、環境への取り組みに力を入れており、「Monaco:Back to the Future」は、そうした大公の経済発展と両立した環境保護の取り組みについて語られる内容となっている。

アルベール2世大公の誕生日を祝うシャンパン

豪華だけど持続的な成長を目指すモナコを象徴するドキュメンタリー映画「Monaco:Back to the Future」

クリスチーヌ・オベルドルフ氏

 モナコ政府観光会議局が上映した「Monaco:Back to the Future」は、モナコ公国が最近アピールしているラグジュアリーな観光などと持続可能な成長を実現していくという取り組みを具体的に説明した内容になっている。劇中ではゼロエミッションの飛行機となる「ソーラー・インパルス(Solar Impulse)」、モナコに本拠地を置く小規模生産高級車メーカー「ヴェンチュリ―(Venturi Automobiles)」の電気自動車、フランス各地を巡りモナコを最終地点とした水素船「エナジー・オブザーバー(Energy Observer)」などのストーリーを紹介している。

 この「Monaco:Back to the Future」の監督を務めた、クリスチーヌ・オベルドルフ氏が登壇し、「このイベントに先駆けて3日間ほど東北の方に行き復興を続けている地方を取材した。あのときに東北は津波で大きな被害を受けたが、それでも海と共生していこうという人々の気持ちに心を打たれた。エコロジーと経済の共生も大きな課題であり、モナコのアルベール2世大公との信頼関係により、4本のフィルムを作った。今日上演するのはそのうちの1つだ」と説明。そして約1時間ほどのドキュメンタリー映画となる「Monaco:Back to the Future」が上映された。

 映画では現実的な課題として、国土が小さなモナコは国策として海の埋め立てを行なって国土を広げる政策をとっており、その埋め立てと環境保全という矛盾との葛藤や、お金持ちが多い国柄を反映して自動車にはフェラーリやマクラーレンといったスーパーカーが多く、なかなか電気自動車やハイブリッドカーの導入が進まない現実などが紹介された。そうした悩みのなかでアルベール2世大公のリーダーシップにより、大公が規範を示すことで持続可能な成長へとつなげていく、そういう取り組みを行なっていることなどが紹介された。

皇居2つ分の面積しかないモナコに500ものEV用充電施設

上演後のレセプションパーティではシャンパンが振る舞われた

 上映後にはシャンパンなどで観客をもてなすレセプションパーティが開かれ、モナコ政府観光会議局 日本事務所ディレクターのシルベスタ典子氏があいさつに立った。イベントが行なわれた3月14日は、日本で言えば天皇誕生日に相当するアルベール2世大公の誕生日で、それを祝う意味もかねて行なわれている。

モナコ政府観光会議局 日本事務所ディレクター シルベスタ典子氏

 シルベスタ典子氏は「モナコ公国は豪華さなどをこれまではアピールしてきたが、今では豪華なのはそのままに持続可能な成長を目指しており、我々はそれを『レスポンシブル・ラグジュアリー』と呼んでいる。

 例えば、モナコは皇居2つ分の面積しかないが、そこに500ものEV用の充電器を用意している。皇居よりも大きい千代田区には数十個しかないといえば、モナコが本気で取り組んでいることがご理解いただけると思う。ぜひ現地に行っていただいてそれを感じてほしい」と述べた。

在東京モナコ公国名誉総領事 佐々木望氏

 その後、乾杯の音頭は在東京モナコ公国名誉総領事 佐々木望氏により行なわれた。佐々木氏は「先ほどのドキュメンタリー映画を見ていて2つの言葉を感じた。1つはチャレンジで、もう1つがフレキシブル。大公もおっしゃっていたが、モナコは小さいながらも世界の規範を作っていく国であり、小国であるが故にそれを柔軟に行なうことができる」と述べ、乾杯してあいさつを終えた。