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インバウンド消費を掴め!! 沖縄県と沖縄観光コンベンションビューローが「キャッシュレスセミナー」

2018年11月28日 開催

沖縄観光コンベンションビューローは、那覇市のノボテル沖縄那覇において「キャッシュレスセミナー」を開催した

 増加を続けるインバウンドへの対応、また消費増税を機にキャッシュレス化を促進しようという動きへの対応を見込み、沖縄県とOCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は、那覇市のノボテル沖縄那覇において県内観光関連事業者、各市町村、各観光協会などを対象にした「キャッシュレスセミナー」を開催した。

 開会にあたり沖縄県から文化観光スポーツ部 観光振興課 副参事の雉鼻章郎氏が、「平成29年度(2017年度)の外国人観光客は26.4%増加した。一方で観光客1人当たりの消費額は伸び悩んでおり、課題の一つとなっている。県としては、訪れる観光客の満足度向上と滞在中の消費額向上を目指し、キャッシュレス化を推進している。10月には宮古・八重山でもキャッシュレスセミナーを開催した。今後もキャッシュレス普及のため取り組んでいく」とあいさつした。

沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課 副参事の雉鼻章郎氏

「インバウンドのキャッシュレス対応を見誤るな!業種別の工夫と受入準備でインバウンド消費を掴め!!」と題した基調講演では、JSTO(ジャパンショッピングツーリズム協会)事務局次長の吉川廣司氏が登壇し説明を行なった。

 JSTOは訪日観光客の消費喚起を目的に2013年9月に設立。現在150社が参画しており、JTB 代表取締役会長でJATA(日本旅行業協会)の会長でもある田川博己氏が、JSTOの会長も務めている。吉川氏はJSTO設立時より参画しており、講演では冒頭に、結成式を東京・渋谷の百貨店の通路で行なったことや、5周年式典を能楽堂で行なったところ参列者用の足袋の購入費が高くついたといったエピソードで場を和ませた。

セミナーには関連事業の関係者が多く集まった

 インバウンドはこれからも伸びるのかと誰もが気になるところだが、ラグビーワールドカップ2019日本大会を機にインバウンド市場に変化があるという。ラグビーワールドカップには欧米豪から約40万人が訪れるといわれているが、彼らが日本のことをクチコミで広めて客層が広がっていく。また、滞在中には試合と試合の合間に、日本各地に旅行する可能性も高い。

 スポーツMICE(Meeting:小規模の会議、Incentive:インセンティブイベント、報奨・研修旅行など、Convention:国際会議、Exhibition:展示会)は、その場所が好きか嫌いかは関係なく、試合があるから応援に行くというもの。2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会があり、さらに世界水泳選手権、ワールドマスターズゲームズ2021関西と続く。そして2025年の万国博覧会が大阪に決まり、将来的に拡大しかないという。

ジャパンショッピングツーリズム協会 事務局次長 吉川廣司氏

 そのような状況からもキャッシュレス化は必須であるが、「キャッシュレス=インバウンドではない」と強調した。キャッシュレスは日本人のためでもあるという。

 飲食店のキャッシュレス化はマストである。家族4人で食事に出たが1万円しかない場合、クレジットカードが使える店しか入れない。またはクレジットカードで買えるコンビニで弁当を買いホテルの部屋で食べようかということになる。そこで入るべき消費が消えてしまう。

 ショッピングでは、「買いたいものがないところに決済は生じない」と印象的な提言。訪日外国人が日本で買っているのは、あらかじめ買おうと思っているものであり、現地で決めているのではない。日本で買うほうが得だからと日用品や薬などが爆買いされていたが、日本のメーカーは売れているからといってそれを海外に輸出する。すると日本で買わなくて済んでしまうので、日本では売れなくなる。

 欧米人が何を買っているか調査すると、何十万円もする加賀友禅を買っていた人がいた。何に使うかというとタペストリーにするのだそうだ。また数十万円する京指物を買った観光客は、ワインの保管庫として使うとのことだった。欧米豪の富裕層は、そこでしか買えないものを買っていくので、商品開発によってチャンスがつかめると語った。

 日本のインバウンド目標は「2020年に4000万人、消費額8兆円」と掲げられている。しかし現状では8兆円はかなりきびしいという。

 消費が止まってる夜の時間帯に新しい消費を生み出そうということでナイトコンテンツを開発し、交通機関を利用しやすいようにキャッシュレス化をという話が進められている。

 海外から羽田空港に到着し、国際線から国内線ターミナルまで無料バスで移動。そして那覇空港に到着した外国人観光客は、そこまで1回も日本のお金を使うシーンがない。よって、日本円の現金を持っていない人が多い。那覇に着いてから困ってしまう人が多いので、「ゆいレール」はぜひキャッシュレス化を導入してほしいと提言した。

 キャッシュレス化の手段については、まずはクレジットカード。そしてQRコード系決済が必須になってくるとのこと。現在、訪日外国人が2862万人。そのうち中国からは735万人で全体の4分の1。それ以外は中国以外なので、一番使われているのはクレジットカードとなる。

 中国人はAlipay(支付宝)、WeChatPay(微信支付)を使っている率が高い。今すぐにキャッシュレス化を導入するなら、日本人とAlipay/WeChatPayの両方に対応できるものを選ぶのが有効であるが、店側が端末をたくさん揃える必要はないとのこと。クレジットカードの処理方法も増えており、スマートフォンに取り付ける簡易な決済端末もある。さらに今後は、決済機能のクロスオーバーもどんどん実現していくので、ハードルはさらに下がっていくという。「支払いの安心感が消費を促すので、ぜひキャッシュレス化を導入してほしい」と説明を締めくくった。

 続いて宮古タクシー事業協同組合での導入事例が動画を交えて紹介された。利用しているのはスマートフォンを使ったクレジットカード決済。実際に利用している乗務員の感想は、「外国人客は日本円の現金を持っていないので、クレジットカード決済ができるというと安心される」「使い勝手はわるくないが、1つの端末で決済できると操作が楽になる」などの感想を述べたほか、「スマホを立ち上げるのに時間がかかる。場所によっては電波が通じない」といった課題も挙げられた。また、「スマホ世代なのでまったくストレスなく使えている」という若いドライバーの意見も紹介された。

2018年7月から開始した宮古島のキャッシュレス化トライアル。宮古タクシー事業協同組合の導入事例が紹介された

 続いてのパネルディスカッションは、吉川氏がモデレーターを務め、パネリストとしてリウボウインダストリー 経営企画室室長 兼 営業統括部部長の髙岡義泰氏、上間フードアンドライフ/U&I 代表取締役社長の上間喜壽氏が登壇。両社とも沖縄県内でキャッシュレス化に積極的に取り組んでいる企業である。

吉川氏がモデレーターを務めたパネルディスカッションが行なわれた

 キャッシュレス化について髙岡氏は、「お客さまのニーズがあることが大前提。支払いのストレスをなくすことが売上に直結する。まずはクレジットカードの対応。次にEdyやWAONなどの電子マネー、そしてWeChatPayやAlipay、さらにLINE Payや楽天Payのスマホ決済にも対応している」とのこと。

 上間氏は弁当販売業務で、「法人など大口のお客さまかは注文において現金決済が怖い。そこでクレジットカードに対応したら売り上げが伸びた。ニーズが分かったので店頭販売でも導入した」とのことだった。

 導入当初は現場スタッフに戸惑いもあるが、導入の必要性を説明し、ていねいなトレーニングで地道にやっていくというのが両者共通の意見。利用者にとってキャッシュレスのメリットは、利便性とともにポイントを貯める楽しみもあるとのこと。

「こんなところにキャッシュレスを導入したら?」との問いに上間氏は、「お賽銭。それとライブ会場での物販」との意見。キャッシュレスで流れをスムーズにしたら並んでいる無駄な時間がなくなるという考えだ。吉川氏は「観光地の入場料や乗船料、リフト代などキャッシュレス化が進んでいる。集金するスタッフが不要になりコストカットにもなる」と話した。

 今後の展開として上間氏は、「弁当持ち帰り用の注文アプリをリリースする。事前に注文と決済を行ない、商品は受け取るだけというサービスを開始する」とのことで、髙岡氏は「沖縄県の経済活況は観光客によるものが大きい。いかに来てもらうか、滞在中にいかに消費してもらうか。高額なものや体験メニューなど、支払いにストレスがないことが消費促進につながる」とまとめた。

左から株式会社リウボウインダストリー 経営企画室室長 兼 営業統括部部長 髙岡義泰氏、株式会社上間フードアンドライフ/株式会社U&I 代表取締役社長 上間喜壽氏