ニュース

JAL、2018年度第1四半期決算は増収減益も国際線好調。有償座席利用率はQ1過去最高水準

LCC準備会社ティー・ビー・エルは「仮の名前のようなもの」

2018年7月31日 発表

会見に臨む日本航空株式会社 取締役専務執行役員 財務・経理本部長 斉藤典和氏(左)、日本航空株式会社 執行役員 総務本部長 植田英嗣氏(右)

 JAL(日本航空)は7月31日、2018年度(2019年3月期)第1四半期(2018年4月1日~6月30日)の決算を発表した。

 営業収益は前年同期比8.7%増(272億円増)の3421億円、営業費用は同9.3%増(271億円増)の3171億円。営業費用は、燃油代高騰や市況上昇の影響を受けて100億円、2017年11月から供用を開始した新旅客サービスシステムに関連する費用で40億円などの増加があったものの、そのほかは供給・需要の増加に伴う範囲に留めた。その結果、費用の増加を増収でカバーできたことから、営業利益は同0.7%増の249億円、経常利益は同5.9%減の231億円。四半期純利益は航空機材の処分損などにより同10.3%減の175億円となった。

2018年度第1四半期のJALグループ連結業績

 国際線旅客事業については、有償旅客が前年同期比10.5%増の225万1000人。供給拡大や需要に見合った座席配置への改修を実施したことで、日本発/海外発ともに順調に増加した。ASK(有効座席キロ:総座席数と輸送距離の積)が同7.3%増に対し、RPK(有償旅客キロ:有償旅客数と輸送距離の積)が同8.8%で推移し、有償座席利用率(RPK÷ASK)は同1.1pt増の81.3%となり、第1四半期としては過去最高水準という。

 方面別では欧米路線が順調、中国線の利用率が大幅に上昇。国際旅客の単価は前年同期比7.0%増の5万5441円となっている。その理由の1つを「技術的要因」として、2018年度から国内/国際にまたがる航空券の収入の区間配分を、国際線が多めになるように変更したことを挙げた。それにより、国際線で1.2%ほど単価が上昇しているという。しかし、主要な要因はビジネスクラスの利用が非常に好調に推移したこと、新旅客サービスシステムを利用したイールドマネジメント(需要に合わせて座席数や単価を管理すること)の改善の効果が現われたことで、単価を押し上げたとみている。その結果、国際旅客収入は前年同期比18.2%増の1248億円となった。

 一方国内線は、有償旅客が前年同期比2.8%増の829万7000人、ASKが同1.6%増に対し、RPKは同2.1%増、有償座席利用率は同0.3pt増の68.7%となった。こちらも第1四半期では過去最高水準という。

 単価は同1.8%減の1万4137円だが、前述の区間配分の変更の影響を除くと0.6%減となり、ほぼ前年並みという。これらの結果、国内旅客収入は同1.0%増の1172億円となった。

 今回の第1四半期決算の結果は、計画対比では営業利益ベースで25億円の上振れとなっており、「順調なスタートを切った」という。

 質疑応答では、同日発表した中長距離LCCの準備会社「株式会社ティー・ビー・エル」に言及、「T.B.L.はTo Be Launchedの略で、“これから飛び立つ”という高揚感や期待を込めている」と説明。あくまで準備会社としての名称であり、実際に2020年夏に運航を開始する際は、別途正式な社名を決定するという。社名は公募などではなく「この会社ですべて決めてほしい」との考えを示した。

 2017年9月に再開したコナ線は、ハワイ島キラウエア火山の噴火による風評で利用率が7割を切っているとのことだが、一方でビジネスクラスの利用やエコノミークラスでも上位運賃の利用が多くなっており、「ホノルル線とは差別化できており、一時的に火山の影響を受けているが、今後期待できる。ハワイアン航空とのコラボレーションも始まっている」と展望を示した。