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【グローバル・ツーリズム・サミット】ハワイ島観光局 バーチ局長に噴火の影響を聞く。ハワイ火山国立公園は9月再開、「キラウエアだけじゃないハワイ島をプロモーションしたい」

2018年10月1日~3日 開催

インタビューに対応するハワイ州観光局 局次長 ミツエ・ヴァーレイ氏(左)と、ハワイ島観光局 局長 ロス・バーチ氏(右)

 ハワイ島のキラウエア火山が5月に噴火し、ハワイ火山国立公園が閉園したり、渡航者が減少したりと観光業界に影響があったが、日本に正しい状況を知ってもらうために、ハワイ州観光局が7月に都内で記者会見を行なったのは既報のとおり(関連記事「ハワイ島から火山博士が来日。ハワイ島キラウエア火山の噴火について、ハワイ州観光局とJALが共同会見」)。

 その後、9月22日にはハワイ火山国立公園の一部が再開するなど状況は進展しており、ハワイ州観光局の年次総会「グローバル・ツーリズム・サミット」に参加していたハワイ島観光局 局長のロス・バーチ氏に、日本での会見以降のアップデートを中心に話をうかがった。

 大前提としてキラウエア火山は35年間、大小さまざまに噴火し続けている活火山だ。日本の四国の半分ほどの広さという非常に大きな「ビッグアイランド」であるハワイ島において、1%にも満たないエリアで噴火は起き、ヒロ国際空港までは約35km、ハワイ島観光の中心部でホテルが多く並ぶコハラ地区やコナ地区へは約145~160km離れている。

右に指し示されているように、ハワイ島で噴火の被害があったのは島の1%にも満たないエリアであり、ヒロ国際空港までは約35km、ハワイ島観光の中心部でホテルが多く並ぶコハラ地区やコナ地区へは約145~160km離れている

 そのキラウエア火山の噴火がいったん休息したと判断する指標が4つあるという。1つ目がマグマが地表に噴出しているか。2つ目が地震があるか。3つ目が地表がどれだけ盛り上がっているか。4つ目がガスがどれだけ噴出しているか。この4つを中心に研究者が観察を続けており、これらの活動が30日以上収まっている場合に「休息状態に入った」と判断するとのこと。

 これらを経てハワイ火山国立公園は9月22日の10時から一部再開しており、公園内にある「ボルケーノ ハウス ホテル」も宿泊予約の受付を再開、10月中旬から宿泊できるようになる。現在、ボルケーノ ハウス ホテルは泊まることはできないが入場は可能で、観光スポットだったキラウエア火山のハレマウマウ火口をホテルから眺めることができる。ただし今回の噴火によってマグマが流出したため火口付近は大きく落ち窪み、マグマは見られなくなっている。

キラウエア火山のハレマウマウ火口付近の地図を使い説明するロス・バーチ氏
今回の噴火によってマグマが流出したため火口付近は大きく落ち窪み、マグマは見られなくなっているが、よりダイナミックな景観が広がるようになった

 また、火山にまつわる展示物があるジャガーミュージアムは閉館し、新しいビジターセンターを作る予定とのこと。2~3週間で暫定の施設を作り、2019年の始めごろにはきちんとした施設を完成させる。

 火山噴火で新しい黒砂の海岸ができるなどしているので、各ツアー会社はこれらの新規観光スポットを含めたツアー商品を開発中だという。また、ハワイ郡庁がこのエリア内を移動できる道路の整備を進めている。

 パッケージのツアー商品ではどうしてもキラウエア火山がないと成立しないものが多かったのは事実だが、商品開発という意味では新しい機会ととらえているという。ハワイ島は日系移民の歴史があり、コナ地域や各エリアで異なる体験ができる多様性がある。ハワイではハワイ島が一番日本語ガイドが多い地域であり、キラウエアだけじゃないハワイ島をプロモーションして、需要を喚起していきたいとした。