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ドリームクルーズ、2019年豪州クルーズに進出。20万トンクラスの新造船を起工

2018年9月11日 実施

ゲンティンクルーズラインはオーストラリアとニュージーランドを周遊するクルーズなどについて説明した

 ゲンティンクルーズラインは、2019年秋に新しくオーストラリアとニュージーランドを周遊するクルーズを実施することを、関係者に向けた説明会で明らかにした。

 あわせて、現在配下のスタークルーズに所属する客船「Super Star Vargo」(総トン数7万5338トン、船員定数1870人)を同じ配下のドリームクルーズに異動し、改装工事を施したうえで船名を「Explorer Dream」に変更、2019年冬からオーストラリアとニュージーランドのクルーズに就航することも発表した。

ゲンティンクルーズライン、豪州クルーズに進出

 ゲンティンクルーズラインは、配下に「クリスタルクルーズ」「ドリームクルーズ」「スタークルーズ」を収めて、日本近海から東シナ海、南シナ海、ジャワ海、そしてアンダマン海にいたる海域でクルーズを提供している。今回、ゲンティンクルーズラインとしては初めてオーストラリア東岸からニュージーランド、タスマニア島にいたる珊瑚海、タスマン海においてクルーズを実施することになる。この航路に就役するExplorer Dreamは、オーストラリアのシドニーとニュージーランドのオークランドを母港として、2019年10月末からクイーンズランドとバリアリーフを巡る航路、タスマニア島からメルボルンを巡る航路、ニュージーランドの北島と南島を巡る航路において、主に7泊8日のクルーズを合計21回実施する予定だ。

2018年時点でゲンティンクルーズラインが提供しているクルーズ航路
2019年冬から新たにオーストラリアとニュージーランドのクルーズが加わる
6航路21回のクルーズを予定している
オーストラリア東海岸を巡る航路
シドニーを出港してニュージーランドの北島南島を巡る航路
オークランドを出港してニュージーランドの北島南島を巡る航路
オークランドを出港してシドニーに帰港する航路
そしてタスマニア島を巡る航路
オーストラリアとニュージーランドクルーズのメリット。季節が日本と逆ということもあるが、陸路や空路移動が意外と大変な地域なので船で一度に巡ることができるのは旅行者の負担を大幅に軽減してくれるはずだ

Explorer Dreamが実施するオーストラリア、ニュージーランド巡航の出港日と寄港先

7-Night Aystralian Discovery I&II

出港日:2019年10月27日、11月3日、10日、17日、24日、12月1日
主な寄港地:シドニー出港、ニューキャッスル、グラッドストン、サンシャインコースト、ブリズベーン

7-Night New Zealand Adventure I

出港日:2019年12月8日
主な寄港地:シドニー出港、ミルフォールドサウンド、ダウトフルサウンド、ダニーデン、ウェリントン、ギズボーン、オークランド

7-Night New Zealand Adventure III-IV

出港日:2019年12月15日、22日、29日、2020年1月5日、12日、19日、26日
主な寄港地:オークランド出港、ベイオブアイランズ、ネーピア、ミルフォールドサウンド、ダウトフルサウンド、ダニーデン、アカロア、ウェリントン、ピクトン、ギズボーン、オークランド

7-Night New Zealand Adventure II

出港日:2020年2月2日
主な寄港地:オークランド出港、ギズボーン、ウェリントン、ダニーデン、ミルフォールドサウンド、シドニー

7-Night Tasmania Explorer I

出港日:2020年2月9日、16日、23日、3月1日、8日、15日、22日、29日
主な寄港地:シドニー出港、ホバート、ポートアーサー、バーニー、メルボルン、エデン、フィリップアイランド

スタークルーズ旗艦船を“ドリームクラス”相当に改装

 Explorer Dreamとなる「SuperStar Vargo」は、2019年3月までに約3000万ドルをかけて改装工事を実施する。改装後は2019年夏から上海、天津(北京)を母港として中国大陸沿岸からロシア、日本、香港、フィリピンを巡るクルーズで運航し、冬季はオーストラリア・ニュージーランド航路に就航する。

 この改装で、ドリームクルーズに所属するほかの客船(「ゲンティン ドリーム」と「ワールド ドリーム」の姉妹船。総トン数は15万695トン、船客定数3352人)に相当する設備を追加する予定で、特等船室に相当する「パレス」向けスイートキャビン50室や「クリスタルライフスパ」を新設する。パレス等級船室では船室専属のバトラーサービスも提供する。また、船内の食事やエンタテイメントの内容もドリームクルーズ所属客船と同等のレベルで提供するとしている。

スタークルーズの旗艦船「SuperStar Vargo」を改装で「Explorer Dream」として生まれ変わり、オーストラリアとニュージーランドの巡航航路に就航する

 ゲンティンクルーズライン日本オフィス代表の山本有助氏は、自身の長い滞在経験からオーストラリアが持つ自然と歴史の魅力を紹介したうえで、「オーストラリアとニュージーランドのクルーズは通常9日~14日間の提供が多い。しかし、ドリームクルーズが提供するプランは7泊8日と期間を短くしたので休みが取りにくい日本人でも利用しやすい」と訴求している。

同国に駐在した山本氏がオーストラリアとニュージーランドの魅力を紹介した
グラッドストンは街並みの雰囲気が魅力
オーストラリア東海岸といえばサンゴ礁とビーチだ
ニューカッスルはワインの名産地として知られている
タスマニアでは州都のホバート、ラベンダーで知られるバーニーを訪れる
ニュージーランドも映画「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」のロケ地となった首都のウェリントンやフィヨルドが美しいミルフォールドサウンドなど歴史と自然と堪能できる

20万トンクラス客船がついに起工

 ゲンティンクルーズラインでは、現在ドリームクルーズに配船する予定の新造船の建造計画を進めている。この新造船の主な仕様は次のとおりだ。

ドリームクルーズ所属の新造船

総トン数:20万4000トン
全長:343m
船幅:46.4m
喫水:9.5m
客室数:2500室
船客数:5000人(最大で9500人)

現在建造を勧めている20万トン級の大型客船。2021年に就役してドリームクルーズ所属となる予定だ

 船室にはバスルームを2つ備え、4人でもくつろげる空間を確保する等級も用意して、幅広い船客の予算に対応できるようにする。また、船内の公共エリアには大型のエレベータを28台搭載するだけでなく、エスカレータも8セット備える予定だ。キャビンの入室やレストラン、シアターなど公共施設の利用ではスマートフォンによる解錠や顔認識による入場を可能にする。さらに、サービス面ではディープラーニングと人工知能を活用した船客の動向把握と混雑予測によって、レストランなどの公共施設の利用で待ち時間を少なくする技術を導入するとしている。

新造船ではスマートフォンを使ったスマートキー、顔認証を利用した入退室管理、ロボットによる船客サポートなどITを駆使した新しいサービスを提供する
デッキの公共施設は規模が大きくなり最新鋭客船にあるような内庭レイアウトも採用する
船内施設も広い空間を確保している
マルチプレックス映画館も新たに用意する
ドリームクルーズ所属客船の特徴でもある特等船室エリア「パレス」は当然継承する

 今回、説明会に合わせてドイツのMV ヴェルフテン造船所で起工式が開催され、インターネット回線を利用して世界各国にセレモニーを配信した。この客船は2021年に就役する予定だ。

起工式ではクレーンで吊り下げた船底外殻を船台に据え置く。式典では縁起物のコインを埋め込む儀式も執り行なう