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沖縄の学生が沖縄行き卒業旅行プランを考える「学卒プロジェクト2017」グランプリ決定
2017年12月23日 00:00
- 2017年12月7日 実施
沖縄の学生が、県外の学生に向けて卒業旅行プランを提案する「学卒プロジェクト2017」の最終審査会が、12月7日に開催された。同プロジェクトは沖縄県とOCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)が主催し、県内の大学・短大・専門学校の学生が、学生目線で沖縄での卒業旅行のプランを競うもの。今回で4年目の開催となった。
7月からエントリーを開始し、書類審査を経て勝ち残った4チームによる最終審査では、実際にプレゼンテーションを行ない、最優秀賞を決定する。最終審査には、琉球大学から3チーム、沖縄国際大学から1チームが臨んだ。
プレゼンテーションに先立ち、審査委員長のOCVB 誘客事業部 部長の目島憲弘氏は「地域の観光協会などの協力のもと視点が広がったと思う。旅行業界のプロの目から、商品化につながるかもしれない。発表する皆さんの気持ちを受け止めたい」と激励。
プレゼンテーション1組目は、琉球大学の女子学生4名による「Hibiscus」。「チェキ旅 in Okinawa~大人になる一歩手前の沖縄旅行~」と題し、高校時代の友人で行く女子旅をターゲットとしたプランを発表した。ポイントは、インスタントカメラのチェキを手にいくつかの写真ポイントで撮影し、ポスターに貼り付けていくという楽しさを設けたこと。
最近、再びブームの兆しのあるインスタントカメラは、その場でプリントされる手軽さと画質のレトロ感、プリントをスマートフォンで写してSNSにアップするなどの使われ方をしているそうだ。
宿泊先には、今帰仁村の民宿「ハイビスカス」を提案。名前も女子受けしそうだ。ダイビングや星空観察、フォレストアドベンチャーなど自然を楽しむアクティビティも盛り込んだ。
最終日には、リムジンを借りての車内パーティを提案。料金は90分3万5800円で、女子会プランにはスパークリングワインのサービスがあるとのこと。このリムジンパーティについては、審査員も興味津々だった。
2組目は琉球大学の「チーム・ススタス」。キャンピングカーを借りて、移動と宿泊をキャンピングカーで、というのがポイントだ。キャンピングカーで泊まれる場所もリサーチして設定。バーベキューを楽しむ日も設けた。彼らのプランにもチェキが登場。旅行者には空のアルバムをプレゼントし、撮影した写真をその場で入れていけるようにした。
最終夜にはキャンピングカーを返却し、リゾートホテルでの宿泊を提案。ゆっくり休める時間を設けた。オリジナルグラス体験や酒造所での泡盛づくり体験などを設け、帰宅後にも思い出にひたれる工夫をしていた。
3組目は琉球大学の「チームうとぅいむち」。コンセプトはリラックスとアクティブを組み合わせた「Relactive(リラクティブ)」。心も身体も満たす旅を組み立てた。
旅行者には手作りのガイドブックをプレゼント。見どころや食事どころの情報のほか、チケットなど思い出を入れるポケットや寄せ書きスペースを設けた。また、旅の思い出を帰宅後に味わえるように「写ルンです」をプレゼントする。
リラックスポイントには、サウナ付きのホテルやフクギ並木の散策などを設定。アクティブポイントは、青の洞窟でのダイビングのほか、2日目の宿泊に設定したグランピングでのバーベキュー&キャンプファイヤーを提案。グランピングには、キャンピングカーを改装した施設に泊まれる「ISLAND MAGIC SENAGAJIMA」を設定した。実際に現地をリサーチし、魅力を感じたとのことだった。
最後のプレゼンテーションは、沖縄国際大学の男女混合の「宮森ゼミ」チーム。彼らのコンセプトは「男旅」。
多く紹介されている旅行プランが女子向けであり、観光地も定番であるが、実は男女別宿泊旅行者数の推移を見てみると、男子旅も女子旅と同様のニーズがあることに着目。ガイドブックには載っていないようなディープなプランを組み立てた。
食事はガッツリ系、パラグライダー、カヤックなどのアクティビティも盛り込んだ。また、目玉としてスポーツ観戦を盛り込んだのも男旅ならではだ。卒業旅行シーズンの2月から3月には、ほぼ毎週末プロバスケットの試合があるとのこと。
酒造所の預かり古酒サービスで、5年後、10年後に再び沖縄を訪れてもらうことも提案。夜には「せんべろ」の飲み歩きで男同士の語らいをしてもらう提案も。
4チームのプレゼンテーションが終わり、審査員による別室での審査を経て審査発表会へ。主催者を代表してOCVB 常務理事の譜久山健氏が挨拶し、「学卒プロジェクトは、2月~3月の学生誘客の主力としてスタートした。8チーム42名が参加し、4カ月間研修を受け、11月には沖縄旅フェスタにも出展した。今まで知らなかった沖縄にも触れ、改めて未来への成長にもつながったのではないか。皆さんから素晴らしい提案がなされた。今後、県外の学生に発信していきたい」と述べた。
そして審査発表。最優秀賞は、沖縄国際大学の宮森ゼミチームに決定した。賞状とともに副賞として特別協賛のJAL JTAセールスより往復航空券が贈られた。
メンバーからは、「男旅というテーマを、どう皆さんに伝えようか頑張って企画してきたのでとてもうれしい。いただいた航空券で離島に行って、その魅力を伝えたい」と感想が述べられた。チームで唯一の男性メンバーは「個人的に、せんべろがオススメポイント。旅先でお酒も入って、本音で語り合う時間が作れる」とのことだった。
最後に、目島審査委員長が総評を述べた。「宮森ゼミは、男旅というターゲットが各審査員から高評価だった。観光客の平準化につながると期待できる。Hibiscusチームはリムジンパーティなど目の付け所がよかった。SNSを使ったアンケートの実施は、新しい手法として私たちも参考にしたい。
チーム・ススタスはキャンピングカーの利用がおもしろいと思った。沖縄でキャンピングカーの旅ができることが分かった。チームうとぅいむちは、サプライズ要素が多く思い出に残る旅になりそうだと感じた。
今回参加した皆さんが、これを機に観光業界で働きたいと思ってくれたらうれしい。OCVBスタッフも親心のような気持で喜んでいる。これから先も、観光という視点を忘れずに頑張ってほしい」とまとめた。
今回、おもしろいと感じたのがチェキや写ルンですなど、アナログカメラをアイテムとして提案したチームが多かったこと。写真がデジタル時代になって久しいが、「思い出を形にして手元に残したい」という欲求が若い人に持たれているのだろう。
旅のプランも、キャンピングカーやグランピング、リムジンでのパーティなど、まだあまり取り上げられていないものを探し出していたのが印象的だった。情報があふれるなか、自分だけが手にする、体験する、という唯一感を求めているのかもしれない。
なお、参加した全チームのプランはWebサイトで紹介されている。
【お詫びと訂正】初出時、沖縄観光コンベンションビューロー 目島憲弘氏の所属部署に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。