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NEXCO東日本、NTTドコモと「AI渋滞予知」実証実験開始。駐車場ETCカード決済のモニターも募集

11月の定例会見。年末年始の渋滞予測も

2017年11月30日 実施

定例会見を行なった東日本高速道路株式会社代表取締役社長 廣瀨博氏(中央)、取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 遠藤元一氏(左)、取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏(右)

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は11月30日、2017年度第7回定例会見を実施し、人工知能を用いて渋滞予測を行なう実証実験「AI渋滞予知」を12月2日から開始することを発表したほか、12月1日から試行運用の募集が始まるETCカード決済による駐車場利用のモニター募集、年末年始期間(12月28日~2018年1月4日)の渋滞予測なども説明した。

AIによる予測とクーポン配布の合わせ技で交通分散を図る

「AI渋滞予知」は、NTTドコモが開発したAI技術を用いて、東京湾アクアラインの上り線を対象に1日1回、渋滞の程度を予測して一般向けに情報提供するもの。夕方以降、房総半島から神奈川県方面へ東京湾アクアライン経由で戻ろうとする利用者を想定している。

 NTTドコモの携帯電話ネットワークから得られた人口統計のデータと、NEXCO東日本が持つ過去の渋滞実績データを掛け合わせて学習。当日正午時点における房総半島一帯の人出情報のデータを考慮して、渋滞距離、渋滞開始時刻、渋滞ピーク時刻、渋滞終了時刻を予測する。予測結果はNEXCO東日本のWebサイト「ドラぷら」で、毎日14時ごろに公開する。

 さらに、予測した渋滞時間帯に、三井アウトレットパーク 木更津や木更津市商店街の店舗で使用可能な「ヨル得」クーポンをドラぷらで配布する。お得に買い物を楽しめるクーポンを提供することで利用者を商業施設へ誘導し、交通の分散を狙う。

 2018年2月には、スマートフォンアプリ「ドラぷら」を通じて渋滞予測結果を通知するサービスも開始する予定。実証実験は2018年3月31日まで行なわれ、その後は実証実験による成果をもとに対象地域拡大などの検討を進めていくとしている。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 廣瀨博氏

 会見でNEXCO東日本 代表取締役社長の廣瀨博氏は、「(東京湾アクアラインのおかげで)神奈川から千葉に短時間で行けるので、日帰り客が多いというユニークさがある。ここの渋滞をなんとか緩和できないかと考えていた」と述べ、最初の実証実験に最適な区間であると説明。

 なお、東京湾アクアラインと海ほたるパーキングエリアは、12月18日に開通20周年を迎える。それを記念して、前日の12月17日に20周年記念イベント「Special Party 20」が開催される。記念ケーキを配布するセレモニーや、オリジナルカレンダーがもらえるスタンプラリー、多数のライブパフォーマンスなどさまざまな催しが行なわれる。

ETCカードによる駐車料金決済のモニター募集

 12月1日から2018年1月19日まで、駐車場料金のETCカード決済の試行運用モニターを募集することも明らかにした。対象の駐車場はNEXCO東日本が所有する日比谷自動車駐車場のみ。募集人数は先着50名で、申し込みにあたってはE-NEXCO Pass ETCカードを所有している、もしくは新たに発行できる人、かつパーク24のタイムズクラブ会員であることが条件となる。

 同社はこの試行運用を通じて「一連のシステムの確認」をするのに加え、モニターへのアンケートをもとに「使い勝手、情報量、サービス面の意見」などを収集し、本格運用に向けた課題抽出に取り組む。試行期間は2018年1月22日~2月28日までで、モニター特典として、試行運用期間中は最初の4回分まで駐車料金が無料になる。

東関道 鉾田IC~茨城空港北IC間が開通へ

 新たな路線についても紹介し、現在建設が進む東関東自動車道 水戸線の鉾田ICインターチェンジ~茨城空港北IC間(延長約9km)が、2018年2月に開通する見込みだとした。

「国内の輸出入拠点である鹿島港、茨城港、茨城空港、成田空港などが結ばれ広域的な連携が促進される」と、廣瀨氏は開通の意義を強調。首都直下型地震の際にも、常磐自動車道の代替路線として緊急輸送路の役割を担うなど、重要な路線になるという。

「特産品のメロンなどの出荷において、北関東地方や東北地方への輸送時間が短縮され、販売エリア拡大や品質向上が期待される」とも話し、農産業の面でも新路線の開通は大きな意味を持つことを示した。

年末年始の交通渋滞は前年並みに

 会見では、年末年始期間(12月28日~2018年1月4日)の関東地域における高速道路の渋滞予測と混雑対策についても解説した。

 それによると、期間中の下り線は12月30日と1月2日が渋滞のピークとなり、それぞれ10~30kmの渋滞が4回ずつ発生する見込み。上り線は1月2日に10~30km規模の渋滞が11回、30km以上の規模が2回発生し、1月3日も10~30kmの渋滞が9回発生するという。期間中の合計渋滞回数は36回で、2016年~2017年の年末年始に発生した渋滞回数と同程度になると予想している。

 この渋滞・混雑の対策としてNEXCO東日本は、上り坂など渋滞が発生しやすい区間や渋滞末尾付近での注意喚起表示を行なうほか、休憩施設での駐車場整理員の配置、大型車駐車専用マスの確保、臨時トイレの設置などを実施する。

2017年~2018年の渋滞回数は前年並みとしている
12月28日~1月8日までの予測。下り線は12月30日と1月2日に注意
上り線は1月2日がピークとなる