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日本最強の大人の社会科見学スポットになるのか? 三菱重工「MRJミュージアム」報道公開
MRJ最終組立工場内に11月30日オープン
2017年11月21日 13:29
- 2017年11月30日 オープン
11月30日、県営名古屋空港(愛知県西春日井郡豊山町)内の「あいち航空ミュージアム」と同日にオープンするのが、三菱重工業の「MRJミュージアム」。このMRJミュージアムは、県営名古屋空港駐車場向かいにあるMRJ最終組立工場の5階に設けられ、実物大のMRJのカットモデル展示やMRJの技術が学べるようになっている。また、5階から退館する際に2階を通るよう導線が設定されており、2階では実物のMRJの最終組立が見られる見学コーナーが設けられている。そしてエントランスとなる1階には、各種MRJグッズを購入できるミュージアムショップがある。
このMRJミュージアムの報道公開が、あいち航空ミュージアムの事前内覧会と同時の11月20日に開催された。
なお、2階から見られるMRJの最終組立工程は一切の写真撮影が禁止されており、本記事では撮影の許可された5階のMRJミュージアムを中心に紹介していく。
実物大のMRJを展示。MRJを体験して学べる構成
このMRJミュージアムだが、15人を1班とした完全ガイド制を採用しており、15人に対し1人のアテンダントがサポートする。そのアテンダントに案内されて、まずは5階のシアターでMRJのロールアウトや初飛行の映像を見る。この映像も撮影禁止だったので、これらは関連記事(夢が現実へと変わる記念すべき瞬間、国産初のジェット旅客機「MRJ」ロールアウト、MRJ初飛行は「大成功」。機長は「飛行機が飛びたいと言っているような感じ」と感想)を参照していただきたい。このロールアウト&初飛行映像を見て気分が盛り上がったところで、いよいよ展示スペースへ。
5階の展示スペースへと続く廊下には、県営名古屋空港の滑走路が描かれ、その横には離陸するMRJのシルエットが描かれている。これはいずれも1/20スケールで描かれ、離陸するMRJのシルエットも実機の離陸を忠実に再現しているとのこと。この辺りは、航空機製造メーカーとしてのこだわりだろう。
展示エリアに入って驚くのは、原寸のMRJのカットモデルが置かれていること。コクピット、キャビン、主翼などが適宜配置され、コクピットのデザインや、シートの座り心地、主翼の構造などを見ることができるようになっている。
また、MRJ製造を支える物流ネットワークの説明もあり、MRJという高度な航空機製品がどのように作られているのかもイメージできるようになっている。
このMRJミュージアムのよいところは、実物大展示が行なわれており、実際に試験課程で使われた部品そのものがあるところだ。一般的なミュージアムでは再現するために別途何かを作っていることが多いが、三菱航空機のMRJミュージアムでは製造業者のミュージアムだけにそのものが置かれている。
そのため、“生”の迫力があり、ものが持つ力が伝わってくる。個人的にはリベットに引かれるものがあり、各種リベットを見られたのはうれしいところだった。
5階の見学が終わったら、エレベーターで2階へ。ここでは先述したように実際のMRJの最終組立工程を見ることができる。取材時はMRJが設計変更を行なっているため、活発な製造状況を見ることができなかったが、ここでは最大月産10機まで対応可能とのこと。5つの胴体部品を結合し、艤装作業を行なうのだが、この工場がMRJだらけで埋まるのは壮観だし、そのような風景をぜひ見てみたいと思う。
その後1階のミュージアムショップへ。各種MRJグッズが取りそろえられていた。
三菱重工業 広報部長 齊藤啓介氏によると、このMRJミュージアムは2カ月先までの完全予約制を採っており、その予約はすでに3000名以上に達するという。とくに土日祝日はほぼ埋まってるなどうれしい悲鳴という状況にあるものの、平日であればまだ空き枠はあるとのこと。このMRJミュージアムを見てもらうことで、MRJの理解が進めばと語ってくれた。
MRJミュージアムの予約は、Web「MRJ ミュージアム」から手軽に行なえる。見学料金は、個人料金は大人1000円、高校・大学生は800円、小・中学生500円。11月30日の同日オープンとなる「あいち航空ミュージアム」とのセット料金も用意されており、MRJミュージアムを訪れる際はセットで訪れるのがお勧めだ。
あいち航空ミュージアムがYS-11や航空の歴史などを学べるのに対して、MRJミュージアムは航空機製造そのものを見ることができる。日本ではYS-11以来半世紀行なわれていなかった民間旅客機の製造工程を、一部とはいえ実際に生で見ることができるのは貴重な機会。日本で航空機の組立風景を一般に見ることができる施設はMRJミュージアムしか存在せず、工場見学を組み込んだ旅をプランニングする際には外せない施設だろう。