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「グアムにミサイルが着弾する確率は0.000001%」、副知事と観光局局長が来日会見

8月1日~15日の渡航者数に変化なし。グアムの安全性をアピール

2017年8月21日 開催

来日した米国グアム準州 副知事 レイモンド・テノリオ氏(左)と、グアム政府観光局 局長兼CEO ジョン・ネイサン・デナイト氏(右)

 グアム政府観光局は8月21日、日本記者クラブ(東京都千代田区)において記者会見を開き、米国グアム準州 副知事のレイモンド・テノリオ氏と、グアム政府観光局 局長兼CEOのジョン・ネイサン・デナイト氏が、グアムの安全性について説明した。

 グアム政府観光局は8月9日にニュースリリースを発表し、北朝鮮の「グアム周辺へのミサイル攻撃検討」に対して、グアムでの警戒レベルは4段階評価で一番安全である「レベル4」のままであり「グアムは安全なデスティネーションである」としている。

 会見も「一度たりともグアムにおける警戒レベルは変更されていない」こと、「グアムは普段どおりである」ことが強調されたものだった。会見冒頭、ジョン・ネイサン・デナイト局長は出席者に感謝を述べたあと、北朝鮮のミサイル問題について一部不安をあおる報道もあり、「正確な情報を、日本の皆さんに直接伝えるため」副知事とともに来日し、この会見を開いたと主旨を説明。まず両氏はそれぞれ、グアムの安全をアピールする声明文を読み上げた。用意された声明文はグアム政府観光局のWebサイトに全文掲載されている。

「グアムにミサイルが着弾する確率は0.000001%。コンマ以下にゼロが5つ並ぶ」と話すレイモンド・テノリオ副知事

 会見のなかでレイモンド・テノリオ副知事は、グアムにはアンダーセン空軍基地と、米海軍も使用するアプラ港があり、イージス駆逐艦や潜水艦などが各地に配備されており、多層防衛体制でグアムを守っていること、韓国、日本、オーストラリアといった同盟国もいること、国防総省や国務省、マリアナ統合軍などとグアム政府は緊密なコミュニケーションがとれていることを紹介。

 もし万が一北朝鮮がミサイルを発射しても、グアムに到達する約14分間に迎撃されるとし、「グアムにミサイルが着弾する確率は0.000001%」とグアム政府安全保障・市民防衛室は明言しており「コンマ以下にゼロが5つ並ぶ」と自信を見せた。

 レイモンド・テノリオ副知事自身も警察官を15年務めた経験があるそうで、グアムは頻繁に台風が通ることから、自然災害などの緊急時に備えた地元住民や渡航者を保護、誘導するシステムが成熟していると説明。また、万が一の緊急事態への対応を記載した「ファクトシート」を日本語も含めた多言語で用意しているので、参照してほしいと話した。

 これらの状況を踏まえ、グアム政府安全保障・市民防衛室はグアムの警戒レベルを一番安全なレベル4に据え置いているのだという。

グアムへの渡航者について「北朝鮮の影響は数字上ない」と語るジョン・ネイサン・デナイト局長

 ジョン・ネイサン・デナイト局長はまず、今年は日本からグアムへの直行便が就航して50周年を迎えるという深い歴史があり、かつては日本からグアムに到着する航空機の乗客の95%は日本人だったという時代もあり、最重要のパートナーであることを強調した。

 さらにグアムの安全を重ねて強調しつつ、グアムにとって8月は繁忙期の一つだが、2017年8月1日から15日までのグアムへの渡航者数は2016年の同時期と比較しても3%増であり、「北朝鮮の影響は数字上ない」と述べた。

 また、ドナルド・トランプ大統領からグアム準州知事 エディ・カルボ氏に電話があったことに触れ、「米国はグアムを1000%支持・守る。これだけ世界のメディアの注目が集まっているのだから、渡航者が10倍に増えるのでは」と言われたことを紹介した。

 グアムは日本人にとっては有名なリゾート地だが、グアムを訪れる渡航者は約45%が日本、約40%が韓国、残りは台湾や中国、ロシアなどからで、世界的にはこれまで観光地としての知名度は低かったそうだ。

 しかし今はミサイル問題で世界中から多くの報道関係者がグアムに集まり、日夜ニュースを送り続けるとともに、グアムのリゾート地としての魅力を伝えるポジティブな報道も増えてきているという。「グアムへの年間の渡航者は2015年が約140万人、2016年が153万人と増えてきており、10倍は難しいかもしれないが、今回のことは世界に向けてグアムを大きく売り込むきっかけと、前向きにとらえている」と話した。

 日本からの年間渡航者数は1997年の約111万人(同年全体では約138万人)をピークに減少傾向であり、2016年は約74万人(全体では約153万人)。2017年は約70万人の渡航を見込んでいる。この減少傾向は、日本の人口の減少や旅行市場の成熟などに理由があるとし、北朝鮮問題でこの70万人の見込みに下方修正を加える予定はないとのこと。

 日本からの渡航者は減少傾向だが、重要な市場であることに変わりはなく、日本に向けて今後は量より質を訴求するマーケティングを行ない、これまでのウェディング、新婚旅行、家族旅行だけでなく、シルバー世代に向けたプレミアムなツアーやMICEの強化などを図っていきたいと意向を語った。

 旅行に出かけるという判断はニュースの影響を受けやすいことは認めたうえで、「グアムにおいて知事や副知事は毎日世界中のメディアに対してブリーフィングを行ない正確な情報を伝えるよう努めています。副知事や私が来日して会見を開くのもその姿勢の表われであり、日本の航空会社や旅行関連企業と話して、サポート施策を協力して検討していきたいです」と話した。