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警視庁の警察博物館がリニューアルオープン、一足先に見てきた

参加体験型へ展示物を全面リニューアル、GW期間はイベント多数

2017年4月29日 リニューアルオープン

 警視庁は、東京都中央区京橋にある警察博物館をリニューアル、「ポリス・ミュージアム 警察博物館」として4月29日にオープンした。それに先駆けて4月26日、報道向けに内部が公開されたので、展示内容を紹介する。

 警察博物館は、1961年に旧京橋警察署に「警視庁PRセンター」として併設、1987年に現在の庁舎に建て替えられ「警視庁広報センター」となった。1994年には「警察博物館」と改称して現在に至っている。

 現在の庁舎は竣工30年を迎えており、内容を含めて全面的に刷新するため、2016年4月1日から閉鎖してリニューアル作業を進めていた。リニューアルのポイントは、大人から子供まで楽しめるように、参加体験型のメニューを用意していること。警察の仕事の紹介はもちろんのこと、110番通報の仕方や防犯知識、交通ルールなどを学べるようにした。

中央通りに面している警察博物館の新外観。オープン前なのでシャッターが半分閉じられている状態
オープンはゴールデンウィーク期間となるのでイベントを多数予定

 展示物についても全面リニューアル。担当者によれば、以前と同じものはほとんどなく、制服体験コーナーの子供用制服くらいではないかというほど、内容を一新しているという。

 警察博物館の展示は1階から5階まで。6階はイベントスペースとして活用する。リニューアルオープンしたゴールデンウィーク期間はパトカーや警察手帳のペーパークラフト製作体験、実際のものに近い道具を使った指紋採取体験のイベントを予定しており、これは6階で行なわれる。

 1階はエントランスでピーポくんホールと名前が付いている。従来は白バイが迎えていたが、リニューアル後はマツダ RX-8のパトカーを展示。白バイは少し奥に自由にまたがれるようになっているが、以前とは異なるバイクを展示しているという。2階~4階は体験型で学べる施設となっているほか、5階は貴重な展示物が満載で、警察の歴史が学べるフロアとなっている。以前は英語表記がほとんどなかったが、リニューアルで大幅に英語表記を増やし、外国人観光客の入場も見込んでいる。

6階:イベントスペース
5階:時代とともに~警察の歩み
4階:首都をまもる~警視庁の今とこれから
3階:事件・事故を解決する力
2階:人と街をともにまもる
1階:ピーポくんホール

 警察博物館の入場は無料。リニューアルオープンの4月29日には朝からピーポくんオリジナルグッズをプレゼントしたほか、ゴールデンウィーク期間の休日には「ピーポくんフェスタ」として鑑識車、音楽隊、レスキュー車、警察犬、騎馬隊がやってくるほか、爆発物処理の訓練見学などさまざまなイベントを予定している。

 なお、警察博物館の正式名称は警察博物館のままだが、愛称として「ポリス・ミュージアム」の名称も用いるとのこと。

ポリス・ミュージアム 警察博物館

所在地:東京都中央区京橋3-5-1
TEL:03-3581-4321(警視庁代表)
開館時間:9時30分~17時
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)
入館料:無料
Webサイト:ポリス・ミュージアム 警察博物館

1階:ピーポくんホール

1階の入り口にはパトカーが置かれる
パトカーはマツダ RX-8
入り口を入ると警察航空機第1号となるヘリコプター「はるかぜ」(川崎ベル式47G-2型)
「はるかぜ」は操縦席に入ることもできる
白バイは今も一部で現役のホンダ VFR800Pを展示
大正時代に導入された取締用のアメリカ製バイク。色から「赤バイ」と呼ばれた
1階の受付では音声ガイド機を借りることもできる
子供向けの制服試着体験ができ、白バイに乗って写真撮影できる
ピーポくんのグッズなどの自販機がある。なお、ピーポくんの大きなぬいぐるみはここでは販売されず、運転免許試験場の売店で取り扱っている
これが自販機
1階の奥には記念スタンプが備えられる
備え付けの台紙に押してみた

2階:人と街をともにまもる

2階
街のジオラマがあり、事故や犯罪などを解説
タッチパネルに映った映像をタッチすると、事故や犯罪が起こりやすい場所の注意点などが解説される
実際のジオラマと連動。建物間の細い道から自転車が飛び出しそう
事故が起こる様子が画面に表示され、注意を促す
泥棒から家を守るというコーナー
泥棒が入りやすいと思うカードを4枚選ぶ
カードごとに点数が異なり、泥棒に入られやすいところが高得点
備え付けのスキャナでカードをスキャンすると得点がたまっていく
自分が選んだカードの合計得点と解説が表示される。満点は150点だそうだ
左の2台が110番通報を学べる機械
画面に沿って110番通報を実践、受話器も音声認識となっている
110番をタッチする
事故状況を説明する
犯罪から自分を守る方法がパネルで学べるコーナー
本物の信号機と、自転車運転シミュレータがあり、交通安全が学べる
自転車の運転シミュレータ
交通ルール
1階まで吹き抜けになっており、救助隊の活躍を紹介

3階:事件・事故を解決する力

3階
3階に来ると交番が出迎えてくれる
交番の中では交番の仕事を紹介する映像が流れる
指名手配犯のポスターも貼ってある。これは本物で、掲載しているのは現在指名手配中の人物
通信指令センターの仕事が映像で学べるパネル
事件や事故発生から解決までの流れを示している
音でその内容を聞くこともできる
犯罪捜査の一環である、靴の足跡やタイヤ痕を調べる様子を実践。床の足跡に合ったものを台に置くと正解/不正解が表示される
映像で少し映ったナンバープレートを合致させるコーナー
指名手配犯を当てるコーナー
覚えた人の顔を街の映像から見つけて、その人の顔をタッチする
うまく見つけると「正解!」
現場検証時の警察官の装備を再現
鑑識が調べている様子
鑑識の道具
指紋を採取するセット。奥にあるのは簡易指掌紋押捺板
鑑識の道具も同時
カメラや巻き尺
指紋採取が学べるコーナー
採取する物を選んで指定の場所に置くと、指紋採取が擬似体験できる。備え付けの刷毛で画面をタッチすると指紋が浮かびあがり、制限時間内に全指紋を採取しないと先に進めない
この場所に立つと、制服着用時の自分の姿が表示される
3階には子供コーナーがあり、制服の種類を変えられる顔出しパネルがある。この向かいには授乳室も用意される

4階:首都をまもる~警視庁の今とこれから

※4階と5階は撮影禁止フロア

4階は通常は撮影禁止。今回は報道向けに撮影が許された
下に東京の事故や犯罪などのデータが表示される
地域警察の説明
警察官の自転車や装備品を解説
警察官専用の携帯電話「Pフォン」
交通警察
白バイなど交通関係の警察官が着用する交通乗車服
呼気中アルコール測定器
刑事警察
捜査中の装備
捜査第一課のバッジ
総務・刑務
SPの様子
スパイ事件の押収品の同等品やレプリカ
組織犯罪対策警察
装備品を展示
薬物見本
生活安全課
「イカのおすし」の人形。語呂合わせになっており、被害防止教室で使用。その横は偽造バッグの見本
現在の警察官の制服なども展示
現在の制服と、奥は儀礼服
拳銃や手錠、無線機などの装備
右から現場鑑識活動服、カラーガード服、航空服
右から航空服、災害救助服、山岳救助服
右から山岳救助服、水難救助服、出勤服(新型外着式装備)
シアターでは3つの動画作品を選んで見ることができる。各約9分間の上映
シアターの横は警察車両のミニカーを展示
警視庁の組織
警視庁の庁舎の模型
警察官の辞令と宣誓書

5階:時代とともに~警察の歩み

※4階と5階は撮影禁止フロア

5階も通常は撮影禁止。今回は報道向けに撮影が許された
5階に来るとまず初代大警視、川路利良の資料がある。これは着用した制服。現在でいう警視総監となった人物で、「日本の警察の父」と呼ばれ、近代的な警察制度を立案して実現したと説明がある
明治のはじめの警察制度の立ち上げについて解説
川路大警視の軌跡
警察官の心得など、初期に構想された資料など
大警視の辞令と、警察制度改正の意見書
欧州視察を経て、西南戦争を鎮圧
川路利良の年譜
警察制度研究の2度目の欧州視察に参加した佐和正の解説
佐和正の履歴書とベルリン視察のメモ
佐和正を紹介した現地の新聞と、パリ警視庁での質問録、パリの警察官のスケッチ
明治・大正の代表的な事件
当時の制服
東京警視庁の創設時の「鍛冶橋第一庁舎」の模型
西南戦争の資料
西南戦争で使われたスナイドル銃
明治時代の警察官の出勤簿など
昭和の時代へ。これは戦後すぐの時期の制服。左は女性警察官の盛夏服
昭和の代表的事件
三億円事件の解説
あさま山荘事件の解説
あさま山荘事件で殉職した警察官の所持品
被弾した盾
昔の桜田門庁舎
平成の事件史。制服は平成になった当時のもの
平成の代表的事件の解説がある
現在使用している生化学防護服。毒ガスやウイルス対策として
現在未解決の世田谷一家4人強盗殺人事件、柴又三丁目女子大生殺人放火事件の現場の模型
八王子スーパー強盗殺人事件の現場模型。未解決のため、情報提供のお願いと懸賞金がかかった事件であることが記載されている
警視庁全職員アンケートで選んだ重大事件の概要をタッチパネル操作で知ることができる
1位から順に並ぶ。警察職員が選んだけに警察官が被害にあった事件も上位にある
1位の事件
警察エンブレム。全道府県警察と警視庁、警察庁、皇宮警察まで49種類が並ぶ
男性警察官用の階級章、右が現在のもの
警察手帳、右が現在のもの
1876年(明治9年)の警察手帳
装備品なども展示
サーベルを所持していた時代もあった
警視庁音楽隊の資料
九〇式信号喇叭(らっぱ)と信号喇叭
1964年のオリンピック・マーチの楽譜カバーや、使われていた楽器。右は戦時中に試作された「法螺貝喇叭(ほらがいらっぱ)」
警視庁音楽隊の演奏が視聴できるコーナーもある
まだ少ないが、警察関係の資料コーナーもある
運転免許証の移り変わりも展示
左が現在のICカード化した運転免許証
これまでの運転免許証の移り変わり
さらに古いものになると鑑札や銅板になる
5階には殉職者のコーナーがある
タッチパネルで情報を得ることもできる