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約1900名が参加した2017年度警視庁機動隊観閲式を動画で紹介

車両86台、警備犬8頭も参加

2017年5月23日 実施

2017年の警視庁機動隊観閲式

 警視庁は5月23日、明治神宮外苑絵画館前および円周道路において、警視庁機動隊観閲式を実施した。この観閲式は、警視庁機動隊の前身である警視庁予備隊が創設された1948年5月25日に合わせ、この時期に毎年開催されている。警視庁予備隊は1957年に警視庁機動隊と改称しているが、警視庁予備隊創設から数えて今年で69周年となる。

 警視庁機動隊は治安警備、災害警備などを主な任務として活動してきたが、社会・治安情勢が著しく変化し、国際組織犯罪対策や身近な治安問題などへの対応などに積極的に取り組んできた。さらに、専門的な分野となる山岳救助レンジャー部隊、機動救助部隊、水難救助部隊や、爆発物処理部隊、化学防護部隊など、治安維持のため広範囲にわたる活動を展開している。

 また、地域に縛られず、国内で大規模な災害が発生した場合に備えて広域緊急援助隊が、国外における地震災害などに対しては国際警察緊急援助隊がいつでも出動できる態勢を整えている。また、テロ対策として、各機動隊に銃器対策部隊が編成されており、2015年4月には「ERT(Emergency Response Team、緊急時初動対応部隊)」が編成された。

 観閲式では、それら警視庁機動隊の各部隊が装備を付けて分列行進するのが見どころとなっている。早朝の開催にもかかわらず、沿道には多くの観客が機動隊員の勇姿を一目見ようと押し寄せていた。観閲式は7時20分から始まり、約1900名、車両86台、警備犬8頭が参加した。

 観閲式はまず、ドラムのリズムに合わせて儀仗隊が入場。整列したのち、総指揮官に対する人員報告が行なわれた。受閲部隊1932名という報告だった。その後、警視庁副総監の笠原俊彦氏が入場。続いて、東京都公安委員会 委員長の渡邊佳英氏が到着した。

 警視庁音楽隊の入場曲に合わせて、警視総監の沖田芳樹氏が臨場。ドラムロールが鳴り、警視総監に対する儀仗隊栄誉礼が行なわれた。そして開式宣言があり、ファンファーレとともに警視庁機動隊観閲式が始まった。国旗掲揚ののち、儀仗隊が退場。続いて、サイドカーを先頭に黒いオープンカーが11台現われた。分隊行進をする各部隊を見てまわる部隊査閲となる。

整列して、副総監、東京都公安委員会 委員長、警視総監を待つ儀仗隊
警視庁音楽隊が入場曲を演奏
ゆっくりと警視総監が臨場
警視総監の沖田芳樹氏
警視総監に対する儀仗隊栄誉礼
警視総監をはじめ、高官が乗車して部隊査閲に出発

 部隊査閲が終わると、「分列行進開始」の掛け声とともに勇ましい分列行進曲が演奏され、分列行進が始まった。

 一般警備部隊の最初は、新型個人装備の出動服部隊。先頭は「近衛」の愛称を持つ第一機動隊。その後、「カッパ」第二機動隊、「ほこり」第三機動隊、「鬼」第四機動隊、「学」第五機動隊と続く。

 続いて制服部隊の「若鹿」第六機動隊、活動服部隊の「若獅子」第七機動隊と「蜂」第八機動隊、内着型個人装備の「疾風」第九機動隊が行進する。第九機動隊と同じ内着型個人装備の特科車両隊、新型個人装備の女性警察官機動隊、制服の女性警察官特別機動隊と続いていく。

 次は空の主要な玄関口である東京国際空港の警備およびテロ事案、ハイジャック事案対策などにあたる東京国際空港テロ対処部隊。総理大臣官邸内の警備、および官邸直近における突発的警備事案対策にあたる総理大臣官邸警備隊が行進する。

分列行進が開始。先頭は、新型個人装備の出動服部隊、第一機動隊
出動服部隊の第二機動隊
出動服部隊の第三機動隊
出動服部隊の第四機動隊
出動服部隊の第五機動隊
制服部隊の第六機動隊
活動服部隊の第七機動隊
活動服部隊の第八機動隊
内着型個人装備の第九機動隊
内着型個人装備の特科車両隊
新型個人装備の女性警察官機動隊
制服の女性警察官特別機動隊
東京国際空港テロ対処部隊
総理大臣官邸警備隊

 一般警備部隊が終わり、次は援助隊の行進となる。先頭は国際警察緊急援助隊。この部隊は大規模な災害が発生した場合、被災国の要請に基づいて派遣され、救助活動に当たる。続いて、都道府県の枠を越えて被災地に赴き、救出救助活動にあたる広域緊急援助隊。この部隊は、2016年の熊本地震の際も出動した。災害活動用高床バン型車、広域レスキュー車が行進に後続する。

 次は特殊技能部隊の行進。爆発物処理部隊は、先頭車両に爆発物対策用の防護服を着装した隊員が乗車する。さらに車両は、I型積載爆処理運搬車と爆発物処理筒車が後続する。続いて、化学剤、生物剤、放射性物質などの事案が発生した場合に出動し、迅速な処理と被災者の救助にあたる化学防護部隊。こちらは、密閉式の化学防護服を着装。除染車が後続する。

 テロ事案発生時に犯人の制圧、検挙にあたる銃器対策部隊が入場。第2梯団は、緊急時初動対応部隊(ERT)。後続する車両は特型遊撃車と特型警備車。

国際警察緊急援助隊
広域緊急援助隊
災害活動用高床バン型車(左)、広域レスキュー車(右)
特殊技能部隊の爆発物処理部隊
爆発物対策用の防護服を着装した隊員
I型積載爆処理運搬車
爆発物処理筒車
化学防護部隊
密閉式の化学防護服を着装して高所作業車に乗る隊員
除染車
銃器対策部隊
緊急時初動対応部隊(ERT)
特型遊撃車(左)、特型警備車(右)

 続いて、特殊救助隊。この部隊は事故や災害が発生した場合に出動し、被災者の救出、救助にあたるほか救助技能の指導や他府県の災害にも出動する。さらに機動救助部隊が続く。この部隊は機動隊に編制され、事故や災害が発生した場合に特殊救助隊と連携して被災者の救出救助にあたる。後続する車両は、レスキューI型車、レスキューIII型車。

 次は河川などにおける水難事故が発生した場合に出動し、被災者の救助にあたるほか、2016年の伊勢志摩サミットに派遣され、警戒にも従事した水難救助部隊。災害クレーン車、水難救助車が後続する。続いて災害対策部隊。この部隊は、地震や台風により災害が発生した場合に、被災者の救助、避難誘導にあたる。後続する車両はフォークリフト、災害用投光車。

 次は山岳での遭難事故などに出動し、被災者や遭難者の救助にあたる山岳救助レンジャー部隊が、山岳救助車を後続して行進。続いて要人の警護、重要防護対象の警戒のほか、爆発物の捜索、犯人の検挙にあたる警備犬部隊が行進する。

特殊救助隊
機動救助部隊
レスキューI型車(左)、レスキューIII型車(右)
水難救助部隊
災害クレーン車(左)、水難救助車(右)
災害対策部隊
フォークリフト(左)、災害用投光車(右)
山岳救助レンジャー部隊
山岳救助車
警備犬部隊

 最後は車両部隊、多角的運用部隊の行進となる。車両部隊は、24種の車両が行進。ゲリラ対策車、中型輸送車、大型輸送車、警備車兼輸送車、遊撃放水車、放水警備車、高圧放水車、災害用広報車、排水システム車、動力ショベル車、災害ショベル車、重機搬送車、災害給水車、クレーン付きダンプ、災害用レッカー、高性能救助車、小型警備車、X線検査装置車、エリア検問車、移動測定車、投光車、キッチンカー、トイレカー、放射線防護車。観客がどの車両か分かりやすいように配慮され、会場では番号とともに車両の名称をアナウンスし、行進する車両には番号が付けられていた。

 多角的運用部隊は、機動力を活かして各種警戒警備に従事するほか、警察署にも派遣され、首都の治安維持にあたっている。先頭は、交通の指導取り締まりにあたる機動隊自動二輪部隊。続いて、ひったくり事件などの追跡や捜査にあたる遊撃捜査二輪部隊。第2梯団は、災害時に迅速な被害状況収集にあたる自動二輪情報収集班。路上強盗など重要事件の捜査にあたる遊撃捜査部隊、地域における犯罪の予防および検挙にあたる遊撃警ら部隊が行進し、分列行進が終了となった。

車両部隊、多角的運用部隊の行進。一番右がゲリラ対策車
中型輸送車(左)、大型輸送車(右)
警備車兼輸送車。奥に遊撃放水車、放水警備車、高圧放水車
動力ショベル車
重機搬送車
高性能救助車
左からエリア検問車、X線検査装置車、投光車、移動測定車、キッチンカー
放射線防護車
多角的運用部隊の機動隊自動二輪部隊
遊撃捜査二輪部隊
自動二輪情報収集班
遊撃捜査部隊
遊撃警ら部隊

 分列行進を終えた各部隊が正面に再び集合し、受訓隊形に整列。警視総監訓示となった。警視総監の沖田氏は、「警視庁機動隊は、本年で69周年を迎える。この間、諸君の先輩は幾多の、重要かつ困難な事案に直面しながらもいささかも怯むことなく、敢然とこれに立ち向かい、その責務をまっとうし、輝かしい歴史と伝統を築いてきた。諸君はこの歴史と伝統を確実に継承し、都民、国人のために職務に邁進し、首都東京の安全、安心を守ってほしい」と訓示を述べた。

 続いて、東京都公安委員会 渡邊委員長は、「ただいま皆さまの気迫あふれる行進を拝見致しましたが、一人一人の凜々しい姿に、首都東京の治安維持に臨む確固たる決意を感じ、とても頼もしく感じたところであります。本日の観閲式で発揮されました一糸乱れぬ団結と旺盛な士気のもと、首都東京の治安の要として、今後も都民の期待と信頼に応えていかれることを切望致します」と祝辞を述べた。

 その後、「出動の歌」の斉唱、観閲式終了報告、国旗降納が行なわれ、約1時間10分の観閲式が閉式となった。

分列行進を終えた各部隊が正面に再び集合する
訓示を述べる警視総監の沖田芳樹氏
謝辞を述べる東京都公安委員会 渡邊佳英委員長
2017警視庁機動隊観閲式ダイジェスト