ニュース

「てるみくらぶ」内定取消の学生33名、日本旅行業協会主催のマッチングセミナーに参加見込み

プリンスホテル、エクスペディア、近畿日本ツーリスト、JTB系企業など40社が参加。4月8日開催

2017年4月6日 定例会見開催

2017年4月8日 マッチングセミナー開催

JATAが主催する「株式会社てるみくらぶ」内定者対象の就職斡旋セミナーには、学生から33名の応募、企業からは50社以上の申し出があったという

 JATA(日本旅行業協会)は、3月27日に破産を申請した旅行会社「株式会社てるみくらぶ」への就職が内定していた学生を対象に、旅行会社への就職斡旋を目的としたマッチングセミナーを4月8日に実施することは既報のとおりだが、4月6日に開いた定例会見において、参加企業や学生の応募状況について説明を行なった。

 JATA 広報室長の矢嶋敏朗氏が、いずれも4月7日10時30分現在の数字であると前置きしたうえで、マッチングセミナーに応募した学生は男性10名、女性23名の合計33名。大卒が30名、短大卒が1名、専門学校卒が2名であると説明。出身学校の所在地別の内訳は、関東地区は21名、中部地区は4名、西日本地区は7名、九州地区は1名となっている。

日本旅行業協会 広報室長 矢嶋敏朗氏

 マッチングセミナーへの企業の参加枠は当初20社を想定していたが、多くの企業が手を挙げ、募集から半日で50社以上からの申し出があったという。実施会場のスペースの都合などから、先着順に40社とし、午前の第1部20社、午後の第2部20社とした。40社はJATAの会員企業が中心だが、旅行業界の任意団体「トラベル懇話会」からの厚意で、プリンスホテルも参加することになったと説明した。

「てるみくらぶ」内定者対象 就職面接会 参加企業

第1部

株式会社トラベルロード&株式会社CBS
株式会社プロコ・エアサービス
株式会社アサヒトラベルインターナショナル
株式会社DOA JAPAN
阪神トラベル・インターナショナル株式会社
株式会社ジェイワールドトラベル
株式会社アルファインテル
株式会社ユナイテッドツアーズ
日本システム開発株式会社
株式会社エーエスケーインターナショナル
株式会社JTBグローバルアシスタンス
株式会社プラスワン教育
株式会社セブンフォーセブンエンタープライズ
株式会社国際サービス・エージェンシー
ユニックストラベル株式会社
株式会社シィ・エイ・エヌ
近畿日本ツーリスト株式会社
株式会社パーパスジャパン
株式会社阪急阪神ビジネストラベル
株式会社リンカイツーリスト

第2部

エクスペディアホールディングス株式会社
イオンコンパス株式会社
株式会社エス・ティー・ワールド
株式会社コンベックス
株式会社ベストワンドットコム
名鉄観光サービス株式会社
株式会社JTB中部
株式会社阪急交通社
株式会社TEI
株式会社ツーリストエキスパーツ
株式会社日本旅行オーエムシートラベル
株式会社タビックスジャパン
株式会社ワールド航空サービス
株式会社JTBコミュニケーションデザイン
株式会社クラブメッド
株式会社PTS
東武トップツアーズ株式会社
株式会社日本旅行
株式会社エヌオーイー
株式会社プリンスホテル

 マッチングセミナーに参加する学生には事前にエントリーシートを配布し、記入して参加してもらうことになっている。会場であるJATAの会議室において、各企業の担当者と学生1名との面談を約15分ずつ実施し、ローテーションしていき、おおよそ学生1名で20社と面談できる見込みとのこと。

 採用については、その場での即決か、面談以降は企業と学生間で連絡を取り、話を進めていってもらうとのことだが、追跡調査も行ない、採用実績などの結果は続報したいとした。ちなみにこのマッチングセミナーの開催前の段階でも、他社で内定を獲得した学生も数名いるとのこと。

 また、内定者だけでなく、在籍者への救済策も検討したいが、旅行業の廃止を「株式会社てるみくらぶ」は行なっておらず、最後の弁済までさまざまな業務も残っており、刑事・民事の可能性もあり、どの社員がどうかかわっているのかも不明なため、現状としては「時機を見て動きたい」とした。

日本旅行業協会 理事・事務局長 越智良典氏

 JATAでは「株式会社てるみくらぶ」と関連会社「株式会社自由自在」の営業停止から、未催行のツアーの申し込みなど、自由自在との取り引きによって生じた債権を有する旅行者向けに、弁済業務保証金制度の案内サイトを開設しているが、その申請状況についても中間報告という形で、JATA 理事・事務局長の越智良典氏から説明があった。

 4月5日現在の申請は「株式会社てるみくらぶ」の旅行者からは約3万件、「株式会社自由自在」の旅行者からは220件あるという。3万5000件との報道もあるので、もう少し申請があるのではとのこと。そのほか累計180名がJATAまで直接相談しに訪れている。

 今後のスケジュールとしては、6月に申請に対する案内を発送。審査に約1カ月かかり、年内にはなんとか弁済の確定、還付まで行ないたいとした。また、還付の書類手続きについてもなるべく簡素化できるよう観光庁と調整を進めているとのこと。

 旅行業界での弁済に及ぶ大きな事件としては久しぶりであるが、JATAの会員企業における過去のケースを振り返ってみると、2005年~2016年の間に53件あり、そのうち還付率が100%だったのは41件だったという。

 ただし「株式会社てるみくらぶ」は「前代未聞のケース」であり、報道されている「99億円」はマスコミなどによる想定値であり、申請を受けてこれから実数をカウントしていく段階なので、還付額については「未確定」とした。

 このようなケースに備え、今後に向けた消費者のための方策を考える勉強会を4月中に実施し、業界として何ができるか相談していくことを決定したという。弁済方法や旅行業者の悪質な営業を防止・監視する方法も含めて、観光庁とともに検討していくと説明した。