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JAL、福岡空港の新オフィスを7月1日公開
国内線ターミナルのリニューアルに合わせ刷新。フリーアドレス化などで「ワークスタイル変革」を目指す
2016年7月4日 11:20
- 2016年7月1日 実施
JAL(日本航空)は7月1日、リニューアル中の福岡空港国内線ターミナルビル内において、新しいワークスタイルをコンセプトとする新オフィスを報道陣向けに公開した。稼働自体は6月13日より開始しており、フリーアドレス化やペーパーレス化によって生まれる効率化や、新たな業務アイデアの実現によって、顧客サービス品質のさらなる向上につなげていく狙いだという。
現在、福岡空港は国内線ターミナルの再編事業が進む真っ最中だが、JALはこの機会に、最新の第3ターミナルビルにオフィスを移転させた。地方支店としては初となる、「ワークスタイル変革」を目指す新コンセプトオフィス、ということで、従来よりも「働きやすさ」を重視したデザインを目指したという。
オフィスのメインスペースとなるワークデスクエリアは、フリーアドレス化されており、スペースの削減やほかの業種スタッフとの連携のしやすさを意識している。また、パーテーションなどの仕切りをなくした見晴らしのよさは、フロアの端から一番奥のスペースを視認できるほどだ。
なかなか見る機会のない航空会社のバックオフィス、JALの新たな取り組みが反映された新コンセプトオフィスを紹介していく。
部門間の垣根をなくした見晴らしのよいオフィスが全国に先駆け完成
まず、オフィスエントランスには、訪問者が担当者のスマートフォンを直接呼び出せるタッチパネル端末が配置されている。相手が応答すればそのまま通話ができる。
オフィスはフリーアドレスとなっている。各デスクの向きを90度ずつ回転して配置しているので、スタッフ同士が背中合わせにならず、デスク間のスタッフのやりとりがスムーズになる。小型の丸椅子も用意されていて、ちょっとしたミーティングもすぐにできるようになっている。
オフィスの中央部にはミーティング用のデスクが設置されている。左右にパーテーションがないので開放感がある。フロアカーペットは「鶴丸」をイメージした円形の赤い色がデザインされているほか、JAL SKY NEXTのコンセプトカラーでもあるグレーやホワイトといったカラーがデスクなどに採用され、統一感が図られている。
オペレーションエリアでは、運航に携わるスタッフのエリアということもあり、前面のモニターに向かって着席するスタイルとなっている。とはいえ間仕切りしているわけではないので、コミュニケーションはとりやすそうだ。
取材時、コンセントレーションエリアではグランドスタッフのシフト作成が行なわれていた。スタッフにはノートPCが支給されているが、大型の外部ディスプレイも使用できるので、細かな作業向けのスペースとして利用できる。
従来は各人が紙に印刷したシフト表を持ち歩いていたが、現在は支給されているスマートフォンで確認できるようになった。急な欠勤などの予定変更に即座に対応可能な、「J-Assign」というアプリケーションによって管理されている。
このように、担当部署を問わず、同じ空間を行き来できるオフィスとなっており、アイデアを思いついたらすぐ相談できるよう配慮されている。業務改善のための会議も即座に行ないやすいという。
フリーアドレスエリアには、グラウンドコントロールを行なう提携企業も常駐しているそうで、間接業務との連携をより深く行なえることからも、業務効率の向上が期待できる。
JALとしては、これらの効率化が顧客サービス向上につながるとして、ほかの支店にも順次展開していく予定とのことだ。
過密する滑走路。JALの福岡空港におけるこれからの対策
滑走路1本あたりの離着陸回数が日本一という福岡空港。現在では、年間で換算すると2分間に1機が離着陸を行なうほどの過密ダイヤになっているという。福岡空港のリニューアルによって、どのように問題が解消されていくか、またJALはどのような施策を行なっているのかを、福岡空港支店のオペレーション部部長である野田氏に話を聞いた。
「まず福岡空港は、滑走路1本あたりの離着陸数が日本一(年間)を誇る空港です。さらに、誘導路も混雑傾向にあり、離陸するまでの待機時間や、着陸してから駐機場までの道のりを待たされるケースもあります。これが、国内線ターミナルが新設された暁には、もう一本の平行誘導路が完成するので、離着陸がよりスムーズになります。
駐機場の滞在時間は現状、国内線で20カ所、国際線で10カ所の駐機場を使用しています。大型機だと使用する平均時間は約1時間。この滞在する時間を短縮していく努力もありますが、滑走路へ向かったあとにスペースが空き、着陸してきた機材がそこにすぐさま入れるわけではありません。この空き時間を適正化するだけでも、大幅に効率化できます。
また、国内線ターミナルがリニューアルすると、手荷物検査はすべてインライン検査となり、預け入れの際の時間短縮も実現します。2017年1月には「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」と「サクララウンジ」が用意できるので、福岡空港の魅力がより増すでしょう」と語ってくれた。
今回のような「ワークスタイル変革」を目指すオフィスは、過密気味である滑走路や、国内線ターミナルのリニューアルが進む福岡空港と高い親和性を持つ。
膨大なフライト便数を支えるための部署や、グランドスタッフの勤務シフトを管理する部署など、一見関係がないように思える業務担当者同士が、同じフロアで働くことによって、馴染みのない管轄業務への理解度が深まるというシナジー効果が、このオフィスの狙いである。
この新オフィスから生まれる新サービスによって、空の旅がより快適になることが期待される。