SIMフリースマホで海外SIMを使おう!

台湾「台湾モバイル」

LTEデータ通信が3日なら約1200円、1週間なら約2000円で使いたい放題

台湾モバイルのLTE対応プリペイドSIMを利用して通信しているところ

 今回は台湾の通信キャリア「台湾モバイル」が販売しているプリペイドSIMカード「myfone」を紹介する。台湾では、中華電信(Chunghwa Telecom)、遠傳電信(Far EasTone Telecommunications)、台湾大哥大(日本では一般的に台湾モバイル、Taiwan Mobile)という3つの大手通信キャリアがサービスを提供しており、それぞれオリジナルブランドのプリペイドSIMカードを販売している。

 台湾モバイルもその1社で、台湾全土に展開しているキャリアショップ、ないしは国際空港(台北桃園空港、高雄空港)などに販売カウンターを持っており、そこで旅行者向けの特別プランを提供している。今回は台北の2つの空港(台北市内にある松山空港=TSA、郊外の桃園市にある桃園空港=TPE)のうち、国際線専用空港となる桃園空港で販売されているmyfoneの旅行者向けプランのプリペイドSIMカードが短期旅行者には最適な選択となる。

 台湾モバイルのmyfoneの特徴は、LTE方式に対応したSIMカードが提供されていることだ。LTEは従来一般的に利用されていた3G方式に比べて通信速度が速いことが特徴で、少しでも快適に通信したいのであれば最適な選択肢だ。

 桃園空港で販売されているmyfoneのLTE対応プリペイドSIMの特徴は、データ通信が定額制になっていることだ。市内の台湾モバイルのキャリアショップで販売されているLTEプリペイドSIMは定額ではなく、1カ月単位で数GBのデータが使えるという半定額制といった料金プランだけで、数日単位で完全に定額制になっているのは空港で販売されているLTE対応SIMカードだけとなる。

 5月19日の「一人旅も寂しくない!『Slingbox M1』とともに香港を旅する」で紹介したような、Slingboxを利用して日本のTVを見たいという場合には、大量のデータを転送することになるので、容量制限があるプランの場合にはあっという間に上限に達してしまう場合がある。しかし、このSIMカードを購入すれば、制限を心配することなく利用できる。

 このmyfoneのデータ定額になるプリペイドSIMカードは、短期旅行者専用で、空港のカウンターでしか販売されていない。空港で購入せずに、街中の台湾モバイルのショップで購入ししようと思っても、購入することはできないので注意したい。今のところ、羽田空港からの便が到着する松山空港には台湾モバイルのカウンターはないので、このSIMカードを購入しようと思うと、到着は桃園空港にしておく必要がある。また、カウンターは21時で閉店してしまうので、昼間に到着する便を選んでおく必要があることも忘れないようにしよう(桃園空港では飛行機が到着後入国などに1時間以上かかる場合もあるのでフライトの選択は時間の余裕を見ておいた方がいい)。

 桃園空港は、ターミナル1(バニラエア、ピーチなどが利用)、ターミナル2(JAL、ANA、エバー航空、チャイナ エアラインの日本からの便)という2つのターミナルがあるが、それぞれに中華電信、遠傳電信、台湾モバイルの3社が並んでいるSIMカード販売カウンターが用意されている。ターミナル1では到着した出口を背にして右に、ターミナル2では到着した出口を背にして左に向かうと販売カウンターがある。購入時には、SIMカードのサイズ(端末によって標準サイズ、マイクロサイズ、ナノサイズがある)を聞かれるので、あらかじめ自分の端末がどのサイズのSIMカードを必要とするのかをチェックしておこう。また、本人確認書類としてパスポートの提示が求められ、「コピーをとってよいか?」と聞かれるので、パスポートをすぐに出せるようにしておくと話が早いだろう。

台北の桃園空港 第2ターミナルにあるプリペイドSIMカード販売カウンター。中華電信、台湾モバイル、遠傳電信の三大キャリアが横並びでカウンターを設置している
桃園空港 第2ターミナルにある台湾モバイルのカウンター

 価格は利用する日数とLTEか3Gかで違ってくる。筆者が購入した時点(2015年5月末)では、以下のような価格設定になっていた。

台湾モバイルの価格設定
価格(台湾ドル)LTEデータ通信LTE通話クレジット3Gデータ通信3G通話クレジット
3003日無制限1005日無制限50
5005日無制限3007日無制限150
7007日無制限35010日無制限100
80010日無制限40015日無制限100
100015日無制限40030日無制限450

 LTEの場合なら、3日間のプランで300NTD(台湾ドル、以下同、日本円で約1200円)、1週間のプランで700NTD(日本円で約2800円)という価格設定になっている。通話クレジット(通話に使えるクレジットのこと)が付属しており、通話料金はピーク時(8時~23時)は台湾モバイル同士なら0.095NTD、他のローカルコールが0.1653NTDとなっている(オフピーク時間はこれより安価に設定されている)。これに対して、3Gの場合には5日間のプランからスタートで300NTD(日本円で約1200円)、7日間のプランは500NTD(日本円で約2000円)という価格設定。

ASUSが販売しているSIMフリースマートフォンZenFone2のスペック表。赤で強調した部分がバンド3とバンド28を意味する表記

 同じ日数であれば3Gの方が安価に設定されているため、3Gにするか、LTEにするかは迷うところだろう。LTEにするかどうかは所有しているスマートフォンが台湾モバイルが利用しているLTEの周波数に対応しているか次第になる。この周波数は番号(バンド1とか、バンド2とか)で表現されており、台湾モバイルではバンド3とバンド28に対応しており、このバンドに対応しているスマートフォンでのみLTEが利用できる。SIMフリーのスマートフォンの場合には、カタログなどに対応バンドが表示されているので、自分の持っている(あるいはこれから購入する)スマートフォンがバンド3またはバンド28に対応しているかを確認しておこう。

 今回は日本でNTTドコモが販売している「SC-01G」(サムソン電子製のGalaxy Note Edge)というスマートフォンを利用した。SC-01GはSIMロックされて販売されている端末になるが、正規に購入した端末であればドコモショップに持ち込んでSIMロック解除を行なうことが可能になっており(別途費用として3240円がかかる)、2014年の11月に購入したあとにすぐにSIMロック解除を行なっている。

 NTTドコモなど日本の通信キャリアが販売しているスマートフォンは、“APN”と呼ばれる接続情報は日本のデータだけしか入っておらず、海外のキャリアの情報は入っていない。このため「設定」→「その他ネットワーク」→「モバイルネットワーク」→「APN」で、APNを新しく作成し、そのAPNに“internet”と入れる。その他は標準のままにして保存すれば通信できるようになる(Androidスマホの場合)。そのままだとなぜかLTEの電波はつかまなかったのだが、「設定」→「アプリケーション設定」→「通話」→「通話モード設定」という設定項目で通話モードを“VoLTE通話を許可しない”にしたところLTEでデータ通信できるようになった。

SIMフリーなスマートフォンだとAPNなどの設定は自動で行なわれるが、NTTドコモスマートフォンをSIMロック解除した場合には、APN設定はユーザー自身で行なう必要がある。台湾モバイルの場合には、APNには“internet”と設定
さらに「通話モード設定」をVoLTE(Voice over LTE、LTE回線を利用して通話する機能のこと)を“VoLTE通話を許可しない”にすると、LTEでつながるようになった

 通信速度だが、Ooklaが提供している「Speedtest.net」を使用して計測した。場所や時間によるが、条件のよいところでは20Mbpsを超える数値を叩き出していた。ただし、人が多いところではやや速度が落ちるのか、台湾の秋葉原と呼ばれる光華商場でテストした時には1Mbpsちょっとに下がっていた。とはいえ、速度が遅かったのはその時ぐらいで、筆者が台湾にいた10日間でほぼ安定して20Mbpsを超える速度が出ていたことは付け加えておきたい。

桃園空港で購入後にテストしたところ、下り20.76Mbps、上り18.49Mbpsという速度を確認
日曜日に台北市内でテストしたところ下り21.1Mbps、上り19.98Mbpsという速度を確認
人が多い日曜日の光華商場(台北の秋葉原と呼ばれるデジタル製品のショッピングモール)でテストしたところ、下りは1.31Mbpsでしか通信できていなかった
キャリア名台湾モバイル
初期購入価格1000台湾ドル(約4000円)/15日間データ通信無制限、400台湾ドル分の無料通話料金含む
カードの種類miniSIM/microSIM対応またはnanoSIM対応
対応周波数帯LTE:1.8GHz(Band3)/700MHz(Band28)、3G:2100MHz、GSM:900/1800MHz
APNinternet
滞在時期2015年5月下旬~6月上旬
使用デバイスNTTドコモ SC-01G(Galaxy Note Edge)※SIMアンロック化済み
(笠原一輝)