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台湾「遠傳電信」

1週間で約1800円、1カ月で約3200円と他のキャリアに比べて低コストでデータ通信可能

台湾遠傳電信のIFカード

 今回は台湾の通信キャリア「遠傳電信(Far EasTone Telecommunications、略してFETとよばれることが多い)」が販売しているプリペイドSIMカード“IF”を紹介する。台湾には、中華電信(Chunghwa Telecom)、遠傳電信、台湾大哥大(Taiwan Mobile)という3つの大手通信キャリアがサービスを提供しており、それぞれプリペイドSIMカードを販売している。遠傳電信は、台湾全土で携帯電話サービスを提供しており、すでにLTEのサービスも開始されているが、旅行者向けに販売されているSIMカードは3Gのみとなっており、LTEに対応したSIMカードは5月末時点では販売されていない。

 遠傳電信は、台湾全土に展開しているキャリアショップまたは、国際空港(台北桃園空港、高雄空港)などに販売カウンターを持っており、そこで旅行者向けの特別プランを提供している。今回は台北の2つの空港(台北市内にある松山空港と郊外の桃園市にある桃園空港)のうち、国際線が中心の空港となる桃園空港で販売されている旅行者向けプランのプリペイドSIMカードを紹介する。

 遠傳電信のIFの特徴は、他のキャリアに比べてわずかであるが安価に設定されていることだ。例えば、1週間データ通信を無制限で利用できる3Gプランの場合、中華電信は450NTD(日本円で約1800円)でデータ通信のみしかできないが、遠傳電信ならば同じ価格で100NTD分の通話クレジットが付属する。台湾モバイルは通話クレジットが150NTD分付属するが、SIMカード自体の価格が500NTDと50NTD分高価だ。

 同じく30日プランでは差が顕著になり、遠傳電信は800NTD(日本円で3200円)で550NTD分の通話クレジットが付属するため、中華電信のデータ通信のみで1000NTD(日本円で約4000円)と台湾モバイルの1000NTDで通話クレジットが450NTD分付属するプランと比べると、コストパフォーマンスが高いのが分かる。従って、とにかく安くて通話もしたいというならば、遠傳電信が最適な選択肢といえる。

価格(NTD)データ通話クレジット
3003日無制限100
3005日無制限50
4505日無制限300
4507日無制限100
4508日無制限50
50010日無制限100
75015日無制限100
80030日無制限550

 遠傳電信のSIMカードは、台北に2つある空港のうち、桃園空港の方で購入できる。東京からのフライトの場合には、成田発の便は桃園に、羽田発の便は主に松山に到着する。遠傳電信のSIMカードが販売されているのは、このうち桃園空港のみとなる。桃園空港は、到着する便によりターミナル1、ターミナル2の2つがあるが、どちらのターミナルにも遠傳電信のカウンターが用意されている。ただし、営業時間は21時までとなっているので、夜遅く到着する便では買うことができず、SIMカードを買うならできるだけ昼間到着する便を選択した方がいいだろう。販売カウンターは、ターミナル1では到着した出口を背にして右手にあり、ターミナル2では到着した出口を背にして左に行き、突き当たったところをさらに左に行くとある。

第2ターミナルのSIMカード販売カウンター。中華電信、台湾モバイル、遠傳電信の3つのキャリアが並んでカウンターをだしている
一番左にあるのが遠傳電信のカウンター
第1ターミナルのSIMカード販売カウンター。こちらにも中華電信、台湾モバイル、遠傳電信の3つのキャリアが並んでカウンターをだしている
第1ターミナルの到着出口を出て左手にカウンターがある。「電信服務」と書かれた赤い看板が目印

 契約は非常にシンプルで、看板にプランが書いてあるので、そのプランの横に書いてあるアルファベット(AとかBとか)を係員に言い、SIMカードのサイズ(端末によって標準サイズ、マイクロサイズ、ナノサイズがある)を聞かれるので、あらかじめ自分の端末がどのサイズのSIMカードであるのかを調べておき、それを伝えるだけでよい。また、契約時に本人確認書類としてパスポートの提示を求めれるので、すぐ出せるようにしておこう。なお、パスポートのコピーをとってよいかと聞かれるので、許諾するのはもちろんだが、パスポートは必ず返してもらってからカウンターを離れることを忘れないようにしよう。

 今回は2015年5月19日にお伝えした「一人旅も寂しくない!『Slingbox M1』とともに香港を旅する(前編)」の執筆時に香港で購入した、ソニー「Xperia Z3 Tablet Compact(SGP621)」を利用した。Xperia Z3 Tablet Compact(SGP621)は香港でSIMフリータブレットとして販売されている製品で、日本で販売されているXperia Z3 Tablet Compactには入っていない携帯電話の機能が入っており、電話としても利用することができる(実際にこれで通話するかどうかは別として)。なお、SIMカードのサイズはnano SIMとなる。Xperia Z3 Tablet Compact(SGP621)は単体で販売さていることもあり、APN情報はあらかじめ入っており、特にユーザーが設定しなくても、自動で遠傳電信のAPNが設定され、SIMカードを挿しただけで通信できるようになった。

通信速度の計測結果

 通信速度は、時間帯と場所による違いはあるものの、速くて12Mbps、遅い場合は3Mbpsなどややばらつきがあった。ただ、多くの場合は10Mbpsを超える速度がでており、スマートフォンやタブレットで使うには十分すぎる速度だ。スマホやタブレットに詳しい人に話を聞くと“やっぱりLTEでなければ……”と言われるかも知れないが、少なくとも台湾では3Gでも十分な速度がでており、“そこそこでいいのよ”と思えるのであれば3Gも十分な選択肢と言えるだろう。

台湾といえば、なんと言っても夜市。写真はMRT中山駅の近くにある寧夏夜市、レストラン形式の屋台があったりと食事にフォーカスしており、多くの美味しい食事が楽しめる
台湾の食事のお薦めは何と言っても小籠包。有名な鼎泰豐(ディンタイフォン)はもちろんのこと、無数の小籠包レストランがある。写真はあるレストランでの松茸入り小籠包
台湾にいったらぜひ試したいのはかき氷。「IceMonster」などの有名チェーン店だけでなく、街中のローカルなお店が意外と美味しい。写真はMRT雙連駅近くの冰讚の“芒果雪花冰”(マンゴーかき氷)。なお、この写真で友人のかき氷女子はノックアウトされたらしく、密かに台北旅行を計画中とのこと……

 今回筆者は、僚誌であるPC Watchの取材で台湾を訪れて、遠傳電信のSIMを入れたXperia Z3 Tablet Compactを主に台北周辺でのビジネスに利用した。同端末のテザリング機能を利用してPCをインターネットに接続したり、ちょっとした通話などにも利用したが、3Gでも特に不満を感じるシーンというのはなかった。特に大きなデータをダウンロードする予定がなく、低コストが重視であれば遠傳電信のIFカードを選択するというのもありだろう。

キャリア名遠傳電信
初期購入価格300台湾ドル(約1200円)/5日間データ通信無制限、50台湾ドル分の無料通話料金含む
カードの種類miniSIM/microSIM対応またはnanoSIM対応
対応周波数帯3G:2100MHz、GSM:900/1800MHz
APNinternet
滞在時期2015年5月下旬~6月上旬
使用デバイスソニー Xperia Z3 Tablet Compact(SGP621)
(笠原一輝)