ボーカリスト琴音の音楽旅
甘味に帝釈天、寅年女の花より団子!? 初めての葛飾柴又旅
2017年3月25日 00:00
葛飾区柴又は、私にとっては「こちら葛飾区亀有公園前派出所」というギャグマンガのイメージが強く、主人公の両津勘吉こと両さんが愉快な仲間たちと繰り広げる話が楽しく、社会的な描写も織り交ぜられ、子供ながらに「面白い!」とアニメやマンガでよく見ていました。
でも、柴又といえば「『男はつらいよ』のフーテンの寅さん」を思い浮かべるという方も多いかもしれません。私も昭和レトロが大好きで昔の女優さんも大好き! 「男はつらいよ」シリーズに登場するマドンナたちは大好きな女優さんばかりです。1970年代が大好きな私なので、「男はつらいよ」シリーズは正にドンピシャ!
そんな物語の舞台となる葛飾区柴又とはどんなところなのか!? そんなに遠くないのに、1度も行ったことがないので初めて訪れてみました。奇しくも私は寅年生まれ、寅さんと若干の共通点あり? 帝釈天の参道は美味しいものがたくさんありそうだし、1人でぷらっと出掛けてきました。
春めいた陽気の暖かな午後、まずは山田洋次ミュージアムに到着しました。山田洋次ミュージアムと、葛飾柴又寅さん記念館は隣接していて、すぐそばの山本亭も入場できるチケットが550円で販売されています。このチケットを購入してまずは山田洋次ミュージアムから見学することにしました。
山田洋次ミュージアム(C)松竹(株)
エレベータ内は山田洋次監督の作品名がズラリと並んでいて、見ているだけでも楽しいです。入り口には銅像があり、フィルムで作られた山田洋次監督のコラージュに圧倒されます。映画のフィルムを直接拡大して見れたり、監督のお言葉などが館内の至るところに散りばめられています。さまざまなお仕事に共通しそうな、素晴らしい格言ばかりです。
そして、山田洋次監督の代表作「男はつらいよ」の主演俳優である渥美清コーナーもあり、この作品が山田洋次監督にとっても、俳優渥美清にとっても特別なものだったのがうかがえます。ほか、小津安二郎監督に捧げたオマージュ作品との見比べや、今では珍しくなってしまった映画フィルムを使ったオブジェ「フィルムよさらば」などを見ることができます。
山田洋次ミュージアム(C)松竹(株)
山田洋次ミュージアムをあとにし、寅さん記念館に向かいます。入場するとまず、「男はつらいよ」の舞台裏で映画とはどうやって作られているのかさまざまな仕事の役割分担を見学することができます。映像もあり、とても分かりやすいです。
そこから、柴又に帰って来るまでの寅さんの生い立ちが、時代背景の説明と音声付きジオラマで表現されています。わんぱく坊主から、不良少年へ。当時の新聞記事などがあり、どんな時代を寅さんが生きてきたのかが手に取るように分かります。そして、中を進んで行くと当時実際に使われていた撮影セットの中に入ることができます。
一瞬、団子屋「くるまや」を再現したセットの中で、思わず「ここでお茶飲もうかな~」と店員さんを探してしまうくらい精巧な作りになっています。セットで使われていた家電なども、昭和レトロマニアにはたまりません。
見学していた年配の方々は口々に「懐かしい」とおっしゃっていました。彼ら彼女らも、青春時代にタイムトリップしたように楽しそうに見学していました。ほか、映画に登場する懐かしのシーンを思い切り堪能することができます。
寅さんとマドンナたちの名場面をまとめて見られるコーナーでは、テンション上がりました。大好きな浅丘ルリ子様を拝み倒しました。名シーンの回想や、クイズ形式のQ&Aもあります。
これだけでも何時間でもいられちゃいそう。寅さんの愛した鈍行列車の風景、寅さんの衣装、トランクの中身などを見ることもできます。トランクの中身の「ふんどし」に、隣にいたご婦人が「寅さん、ふんどしだったんだ……」と呟いてらっしゃいました。時代の移り変わりと、古きよき日本男子たる寅さんが「パンツなんてもんはねぇ、スースーしちゃって男の履くもんじゃないよ!」と言う姿が目に浮かびます。
そして、最後のフィナーレのコーナーではマドンナたちの姿を拝みながら出口へ。本当に名女優ばかりで「男はつらいよ」シリーズを全作品見れば、当時の旬な女優をすべて見られるんじゃないかというくらい素晴らしい女優さんばかりです。
寅さん記念館(C)松竹(株)
そこから、すぐ近くの山本亭へ向かいます。私は長屋門から入り、山本亭内に入りました。山本亭は、大正末期に故山本栄之助氏の住居として、書院造に西洋建築を取り入れた和洋折衷な建物です。現在では、山本亭内に喫茶スペースもあり、さまざまなイベントも行なわれています。
長屋門から入り、まずは美しいステンドグラスに目を奪われます。中に入ると、趣のある古道具、書院造りの庭園を見ることができます。唯一の洋間「鳳凰の間」は一気に大正浪漫の世界に。モボ、モガ達がこのお部屋でくつろいだのでしょうか。
そして、和菓子とお抹茶のセットを頂きました。ポカポカ陽気の春の日に美しいお庭を眺めながら、美味しい和菓子とお抹茶最高でした! メニューはほかにコーヒーやラムネなどが用意されています。
ほっこり休憩したあとで、てくてくお散歩がてら矢切の渡しへ向かいます。どちらかというと、ちあきなおみさんの「矢切の渡し」という曲のイメージが強いです。「男はつらいよ」にも、たくさん登場しますね。矢切の渡しは現在、都内で唯一の渡し舟。反対側は千葉県松戸になります。かの新選組もこの矢切の渡しを使ったとか。歴女としてはテンション上がります。
料金は片道200円で、往復400円。船頭さんに現金で支払い、いざ出航! 手漕ぎで、のんびり川を見ながら渡されてみる。風の具合にもよりますが、約7分ほどで対岸に到着できるそう。到着して往復でも船頭さんに「少し降りて散策してきても大丈夫ですよ。クマがいますから」と言われ「クマ!?」と思い、舟から降りて探してみると何やら黒いボテっとした生物が……。売店のオジちゃんが「クマー! クマー!」と呼ぶとこちらにやってくる。そう!「クマ」とは売店のオジちゃんが飼っているワンちゃんのことでした。しかし、本当にクマみたいです。かわいい。
焼き芋や焼き鳥を売っている売店で、つくねとももの焼き鳥を購入。帰りの矢切の渡しで、船の上で食べてみました。美味しかったです。桜の時期になると、川沿いに桜が咲いて本当にきれいだそうです。楽しい舟旅でした。
矢切の渡しから、帝釈天へ向かいます。正式にはこちらのお寺は経栄山題経寺というそうで、帝釈天というのは神様の名前。入り口の二天門から、建造物としてもとても細かい細工がしてあり、見応えバッチリです。入ってすぐにある帝釈堂に、枝垂れかかるような松のことを「瑞龍の松」というそうです。江戸時代の書物にも記録されているそうで、東京都指定天然記念物に指定されています。
参拝して、おみくじを引いたらなんと凶! とほほ、と思いつついろいろ気を付けようと思いました。お守りも、帝釈天ならではの珍しいものもありました。
参拝したあとは、念願の食べ歩き! まずは「いも専科もんでん」でスイートポテトを! シンプルなプレーン味にしました。温かくてとっても美味しかったです。そして、やはり葛飾柴又といえば、草団子! 私は「とらや」さんで食べ歩き用の草団子をいただきました。柔らかいお餅で、気を付けていないと落っことしてしまいそうです。
そして、昭和レトロ好きにはたまらない「ハイカラ横丁」へ。昔懐かしの駄菓子や、ゲーム、かわいらしい雑貨がたくさん! 私が購入したのは、幼稚園の頃おやつで出ていたお菓子。懐かしさのあまり、購入。そして謎のアラビアン焼きそば。こういうの、怖いもの見たさで試してみたくなりますよね!? アナ雪や、ジバニャンなど新しいキャラクターのオモチャも沢山あったので、大人から子供まで楽しめます。
夕食は、渋い店先が格好いい「ゑびす屋」さんへ。ヘルシーに刺身定食を注文。お吸い物が、体に染み渡る~~。プリプリのお刺身と、白ご飯の組み合わせって最高ですよね! お腹いっぱい、大満足で帰路に着きました。帰りは、私はJR金町駅まで歩いて、そこから常磐線で帰りました。近いのに、近いゆえに来たことがなかった柴又。映画やアニメではよく観ていたけれど実際に行ってみたらすごく素敵で、今度は友達や家族を連れてこようと思いました。草団子の食べ比べもしたいですね。暖かな春の日に、よいリフレッシュになりました。皆さんも、桜の咲く季節に柴又を散策して、花も団子も楽しんでみてはいかがでしょうか。