ボーカリスト琴音の音楽旅

真冬の雪見風呂に入りたい! 山形・天童温泉から蔵王温泉まで湯巡り女子旅

 ある日、小学校からの親友で会うたびに風呂屋に行く仲になっている友達と、朝から待ち合わせして都内の行きつけの温泉施設で湯に浸かっていました。そこで彼女が一言、「雪を見ながらの温泉もいいよねぇ」と、東京近郊だけでは収まらず山形まで温泉旅行に行くことになりました。なぜ山形かというと、2人とも行ったことのない東北の町にしようということで決定。そこから13時間ほど滞在し、旅行についての計画を練りました。

 とにかく、温泉に浸かっておしゃべりするのが大好きな私たち。以前、箱根旅行に行ったときも部屋付き露天風呂のあるお部屋に泊まりました。そのときも平気でお酒を飲みながら何時間も温泉に浸かっていたのを覚えています。というわけで今回も、それを条件に探して見つけたのが天童温泉の「ほほえみの空湯舟つるや」でした。

 予約をしてからというもの、友人がいろんな人に美味しいものをリサーチしてくれて、地元の人からの情報で「鳥中華」「ひっぱりうどん」など東京では聞いたこともない食べ物を食べようとなりました。すっかり雪見風呂気分な私は、髪も銀髪にして、雪ん子気分で毎日を楽しみにしておりました。

 楽しみにしていた当日! 東京駅で朝ごはんを買って、山形は宿まで最寄りの天童駅に停車する新庄駅行きの新幹線つばさに乗り込みました。缶ビールを開け、お弁当をツマミに朝ごはんというか飲み? その後、痛恨のミスを犯すことも知らず楽しく宴は繰り広げられました。一杯飲んで気分よくなったところで、少し仮眠をとっている間にたどり着いたのは、停車するはずではない仙台駅! 掃除のおばちゃんに「ここが終点よ~~」と言われハテナマークの私たち。

 私たちの乗った新幹線は、仙台行きのMaxやまびこ号と山形方面行きの連結車両で手前の福島駅で切り離されてしまったそう。取り敢えず、仙台駅で下車し、過去に2人で仙台来たね~と和やかに懐かしんだあとに、いったん福島駅に新幹線で戻り、またつばさに乗り直すことにしました。

 ここまで来たら、福島駅を満喫しよう!

 と写真を撮って遊びまわり、お土産を買い、駅構内のカフェでお茶をして休憩しました。ここのカフェで食べた「酪王カフェオレドーナツ」がとても美味しくてビックリ! 食べ終わったあと、すぐに同シリーズの酪王カフェオレケーキを買いに走りました。

想定外の初福島駅下車
記念に1枚
福島わらじ祭り 日本一の大わらじ!
飯坂けんか祭り
けんか祭りで使われる担ぎ屋台
福島スイーツ「酪王カフェオレドーナツ」

 その後、無事に新幹線つばさに乗り山形駅まで行き天童駅まで山形線に揺られ向かいました。やっと到着した天童駅! 将棋の駒作りが有名だそうです。タクシーに乗り、まずは腹ごしらえということで念願の鳥中華を食べに「水車生そば」へ。鳥中華というのは、麺は中華麺ですがスープは和風だしという、ラーメンと日本そばの間のような食べ物。そして、こちら店名にもあるようにお蕎麦屋さんなのです。

 鳥中華は、似ている食べ物は和風ラーメンが近いでしょうか。しかしトッピングに天かすが入っていたり蕎麦屋の主張もしっかり入って来ています。あっさりスープに一味を足してピリ辛にしても美味! 付け合わせのお漬物がサッパリしていて、あとを引くお味です。温かなスープで、お腹いっぱい、暖まりました。

やっと天童駅に到着
水車生そば
山形B級グルメ「鳥中華」

 この日は、雪は積もっていましたが晴天で道も綺麗に雪かきされて歩けるようになっていました。なので、徒歩で次の目的地「桜桃の花 湯坊いちらく」へ。どこまでも湯巡りしたい女子2人は、お宿の前に日帰り温泉を挟む計画をしていたのです。

 こちらでは浴衣の無料貸し出しも行なっており、浴衣に着替えて2人でパシャリ。女子旅っぽくなってきました。無色透明なお湯に浸かり、念願の雪見風呂!この日は暖かかったので、雪が溶けて天井からドサッと落ちて来るのもまた一興でした。

 温泉で暖をとり、宿に向かう前に近くのスーパーで友人が発見したのが「里もなか」。彼女の母方の祖父母が暮らす新潟でしか見たことがない、ということで私も初めて食べてみました。雪深い山形で、歩きながら食べる里もなかは栗味が濃厚でとっても美味しかったです。

日帰り温泉で立ち寄った「桜桃の花湯坊いちらく」
貸し出し浴衣でパシャリ。友人が美し過ぎる
関東では見たことがない里もなか

 この日のお宿「ほほえみの空湯舟つるや」に到着し、お部屋に案内されてビックリ! なんと7人用のお部屋でした! これなら大家族で泊まっても、家族風呂もあるし枕投げだってできちゃいます! すっかりテンションの上がった同級生2人は「修学旅行みたい! 枕投げしよ! 枕投げ!」と童心に戻ってはしゃいでしまいました。

 部屋付き露天風呂も雰囲気バッチリで、この時点で缶チューハイで宴スタート。食事までの時間、軽くアルコールで胃を刺激して浴衣に着替えて食事所へ。まずは、お食事が来る前に竹に入った山形の日本酒で乾杯。温泉宿に来た雰囲気を満喫しながら、お食事をいただきます。地の物を利用した和食をベースにしたお料理で、前菜のなかにメキシカン風の味付けがあったり! 私たち世代でも、お年寄りでもさまざまな年代の方に楽しんでいただける工夫に驚きました。

 美味しい食事と、お酒を愉しみ過ぎて座りながら踊ってしまいました。美味しい食事に舌鼓を打ち、食後に大浴場へ。こちらの内風呂は、古代檜をふんだんに使った浴槽で「暖まりの湯」と言われているそうです。本当にそのとおりで、お風呂から上がったあとにずっと汗がひかないのです。寒い山形ならではの温泉でした。

 部屋に戻って、缶チューハイを飲みながら今度は部屋付きの露天風呂に♪ 雪が積もっていて、まさに私たちの理想のシチュエーションでした! お湯に浸かりながら、また缶チューハイを飲みながら何時間も語り続けました。お風呂から上がって、広いお部屋で寛ぎながら酔っ払って床につきました。少し早起きして、朝食前に大浴場に入ってからいこうと目覚ましをかけて就寝。

雪積もる日本庭園を見ながら、和菓子とお茶のおもてなし。お庭には鶴の模型が
宿泊した「ほほえみの空湯舟つるや」
広過ぎるお部屋に驚き!
さらにもう一室!
部屋付き露天風呂と、内湯も檜なのがうれしい。
雪に囲まれる部屋付き露天風呂。たまらん
アメニティも充実しています
彩り豊かな前菜 ここにも鶴が!
竹に入った日本酒。風情があります
お椀にも鶴! 里芋コロッケに旨味出汁。ほんのりトリュフの香りがしたような
海の幸。日本酒が進みます
牛焼きすき。卵が双子でした
じゅう~~とよい音。野菜は塩でいただきました。
ハタハタ入りの冬の山形味覚鍋。味噌仕立て
お鍋を楽しんだあとは焼き餅と岩のりを入れて。味噌と風味豊かな海苔が絶品!
「おしん」も食べたという青菜入りおにぎり
酔っぱらって「混浴」と読み間違えた入浴マナーポスター

 翌朝、起きて爽やかな朝の気配漂う大浴場へ。「暖まりの湯」で身体を温めてから露天風呂に入りました。2人とも、本当にお風呂が大好きなので朝風呂も最高に楽しめました。

 温まっての朝食はバイキングだったのですが、洋食、和食ともにとても充実していました! 特筆すべきはトリュフのオムレツ! 朝からこんな贅沢してよいの!? というメニューでした。

 ほかにも、東京では馴染みのない「鯖節」を使ったお味噌汁などどれも絶品でした。私は洋食、和食どちらも2ラウンドして食べました。大食い万歳! そして、この日は蔵王温泉に移動してまた湯巡りをする計画で「ほほえみの空湯舟つるや」をあとにしました。宿の送迎車に乗り込み、天童駅へ。

 スタッフの方々がまごころのこもったおもてなしをしてくださり、とてもよい時間を過ごすことができました。また天童温泉に来た際には、利用したいと思うお宿でした。

バイキング形式の朝食
洋食を中心に。パンも美味しい
和食中心の友人の朝食
山形名物「だし」
トリュフオムレツ。卵がトロトロ
客室近くにうれしいコーヒーマシン
将棋の駒の名産地ならでは
喫煙所。草履が可愛い
鶴ちゃんたちに別れを告げ、蔵王温泉へ

 天童駅から、山形駅に移動して蔵王温泉行きのバスチケットを購入しバスに乗り込みました。天童が平地なら、やはりスキー場のメッカということで蔵王は山! バスから見える景色が、どんどん雪化粧の山に変わっていきます。到着した蔵王温泉は、降りた途端に硫黄の香り! これぞ温泉! というインパクトの強い場所でした。

 まずはバス停に隣接する観光案内所で、事前に調べていた「湯めぐりこけし」を購入。これは、蔵王温泉内の登録温泉施設を1080円で3カ所回れるというもの(一部例外あり)。実際のこけしをもらえるのかと思っていたら、それは希望者のみで別料金(1300円)のこと。今回は湯巡りメインなので、湯巡りシールだけいただきました。

 この日もラッキーなことに晴天だったので、徒歩で1つ目の温泉「源七露天の湯」を目指します。坂道を登っていると、美しい蔵王の山と雪景色を見ることができました。「源七露天の湯」に到着し、温泉に入ると少し青みがかった乳白色で、細かい湯の花がたくさん浮いていました。強酸性泉で硫黄の香りが強く、独特の雰囲気で初めて入るタイプの温泉でした。天童温泉とは、まったく違う泉質です。

 お風呂からあがり、お腹も空いたところでお昼ご飯を食べるところを探しに行きました。途中、串に刺さった玉こんにゃくを食べてみたら美味しすぎてビックリ! こんにゃくって、こんなに美味しいんだ!! と目から鱗が落ちるような気持ちでした。

バスの蔵王温泉駅
高台に登ると山が近い!
到着。雪だるまくんがお出迎え。
蔵王温泉「源七露天の湯」入り口
温泉が流れて湯気が発っています
蔵王名物玉こんにゃく
プリップリの歯ごたえ
新左衛門そば
からから汁
牛蒡などの野菜たっぷり、山形の牛めし
こけし。この顔、私に似てるような

「湯の花茶屋 新左衛門の湯」で食事処のみ利用で館内へ入場。こちらですでに瓶ビールで乾杯。私は納豆の乗った新左衛門そばに蔵王温泉からから汁、友人は牛めしとからから汁のセットを注文。

 お腹いっぱい、ほろ酔いになったところで次の温泉施設「松金屋アネックス」へ。こんな雪道を歩くこともなかなかないので、キャーキャー言いながら歩いて行きました。私たちの行った2日間は天気がよかったので、徒歩で移動できましたが、基本的には、冬の山形は車移動じゃないと難しいと思いました。こちらのお宿にはたくさんのコケシが置いてあり、1つ1つ違う顔で見ていて面白かったです。

 温泉で冷えた体を温めて、次は最後の温泉「ZAOセンタープラザ」に向かいます。こちらは、スキー場のリフト乗り場のそばでスキーやスノーボードのお客さまもたくさん利用されるようです。入り口の機械が、テーマパークを連想させます。入る前から硫黄の香りがして、これぞ蔵王温泉! という泉質を最後にしっかり堪能することができました。硫黄泉の強酸性は、お肌が弱い方は荒れてしまうこともあるそうで注意が必要だそうです。しかし、その一方、皮膚病に効果があったり肌を白くする効果から「姫の湯」とも呼ばれているそうで私たちもその効果を実感しました。バス停に戻る途中で、山と川の絶景を撮影しバスに乗り込み山形駅へ。

ZAOセンタープラザの浴場入り口
橋から見た山形の美しい山々

 山形駅ビルエスパルでも、お土産を買ったり食事をする場所もたくさんあります。1階の「酒蔵 澤正宗」で夕食を食べました。友人が事前に、「ひっぱりうどん」という食べ物があるというのを山形出身の方に教えてもらったそうです。温かいつけ汁に、納豆、鯖の水煮、ネギなどの薬味を入れて1つの入れ物に入ったうどんを引っ張ってみんなで食べることから「ひっぱりうどん」というとか。納豆も、鯖の水煮も大好きで自宅にも常備しているのでおうちでもマネできるメニューだなと思いました。家族でみんなで食べたいですね。

山形名物「ひっぱりうどん」

 そして、東北といえば! の「芋煮」をまだ食していなかったので、芋煮とひっぱりうどんでお腹を満たし、帰りの新幹線用に、デザートのジェラートも購入し新幹線に乗り込みました。

東北名物「芋煮」
山形県生産、秘伝豆豆乳ジェラート
新幹線のお供たち

 本当に湯巡りとグルメと盛りだくさんの旅になりました。同じく、温泉大好きな友人とでなければここまでの湯巡りはできなかったんじゃないかと思います。そして、豊富な人脈と情報収集力で山形グルメをたくさん調べてくれた彼女に改めて感謝です。この連載でも、ひとり旅をよくしますが、誰かと一緒の旅は自分自身ではできなかった発見、行けなかった場所などに連れて行ってもらえたりするので、ひとり旅とは違うよさを実感しました。

 お土産には山形米を使ったおせんべい、間違って行ってしまった福島の酪王カフェオレケーキなど皆さんに喜んでいただきました。冬の温泉で元気いっぱい、チャージしたあとはお仕事も頑張ろうと思います!

 3月21日には、国際フォーラムホールCで行なわれる「フェスティバル ドゥ シャンソン プリスリーズ2017」に出演します。チケット絶賛発売中なので、ご興味ある方はブログをご覧ください。

ベレー帽をアイマスクとして使用。爆睡で東京駅へ

琴音

シャンソン、JAZZなどをメインに歌うボーカリスト。28歳。たまにアルトサックスも吹きます。趣味・特技は、ライブなどで訪れた日本各地の美味しい食べ物を探すこと。思い立ってふらっと一人旅をすることもしばしば。ブログはhttp://ameblo.jp/singersax-kotone/