週末駅弁

「信州いいやま 謙信笹ずし」

“笹ずし”をはじめ郷土食をふんだんに詰め込んだ駅弁

「信州いいやま 謙信笹ずし」

 北陸新幹線の長野駅から金沢方面の次の駅となる飯山駅。北陸新幹線全線開業からまだ2年弱、駅舎もまだまだ真新しい飯山駅の1階にあるコンビニで売られている駅弁が、「信州いいやま 謙信笹ずし」です。

 長野県飯山市の北部、新潟県との県境付近にある富倉峠には、昔から越後と信濃を結ぶ「富倉街道」という重要な街道があります。この街道は、戦国時代に上杉謙信が信濃に進軍する際の重要なルートとして利用したことでも有名です。そして、富倉街道に伝わる郷土食が「笹ずし」です。

 笹ずしは、上杉謙信が川中島の戦いに出陣する際に富倉峠を通ったときに、富倉村の人々が笹の葉に酢飯とおかずを乗せて、勝利を願った兵糧として献上したのが始まりと言われています。そのため、笹ずしは「謙信ずし」とも呼ばれて、現在でも飯山地方では冠婚葬祭や晴れの日のおもてなし料理として親しまれているそうです。

「信州いいやま 謙信笹ずし」は、北陸新幹線飯山駅で売られている
パッケージには、笹ずしのいわれが記されている

「信州いいやま 謙信笹ずし」には、この笹ずしが3つ詰め込まれています。笹ずしは、笹の葉の上に酢飯を置いて、酢飯の上にぜんまいや椎茸の煮物、胡桃、錦糸卵、紅ショウガなどが乗せられています。笹ずしの食べ方はパッケージにも記載がありますが、笹の葉ごと手にとって、酢飯を笹の葉からずらしながら直接食べるのがお勧めとなっています。笹の葉の香りが直接感じられるので、爽やかな印象を受けます。酢飯は酸味が弱めで、上に乗せられたぜんまいや椎茸は甘めに煮付けられていて、全体的にはとても素朴な味わいです。食べ進めていくとコリコリとした食感の香ばしい胡桃(くるみ)が風味を変えてくれるのも楽しいです。

笹ずしが3つと、飯山地方の郷土食が詰められている
笹の葉に酢飯をのせ、その上にぜんまいや椎茸の煮物、胡桃、錦糸卵などが乗せられている
笹ずしは手に持ってそのまま食べるのがお勧め。笹の葉の香りに包まれながら笹ずしの素朴な味わいを楽しめる
パッケージにも笹ずしの食べ方が記されている

 おかずも飯山地方の郷土食が盛りだくさんとなっています。まず、ブロッコリーやミニトマトと一緒に盛り付けられているのが、飯山市坂井地区で採れる「坂井芋」の煮付けです。坂井芋とは里芋のことで、この地域ではそう呼ばれているそうです。ねっとりとした食感が特徴的で、あっさりとした味付けとで後を引く美味しさです。その横には、飯山市のブランド豚「みゆきポーク」のみそこうじ焼きが添えられています。しっかりとした歯ごたえで、噛むほどに甘みが伝わってきます。

 そして、個人的に興味深かったのが、こちらも飯山地方の郷土食「いもなます」です。見た目は大根を使ったなますそのものですが、名前のとおり大根ではなくじゃがいもを使ったなますです。口に入れた瞬間はちょっとびっくりしましたが、じゃがいものしゃくしゃくとした食感と甘みのある味わいは、病みつきになる美味しさと感じました。

ねっとりとした食感が楽しめる「坂井芋の煮付け」や、飯山市のブランド豚「みゆき豚」のみそこうじ焼きなど、地元食材を活かしたおかずが添えられている
大根ではなくじゃがいもを使った「いもなます」は、独特な食感と甘みの強い味わいが病みつきになる美味しさ

 信州いいやま 謙信笹ずしは、ボリュームは軽めですが、郷土の味を楽しめる駅弁として完成度は非常に高いと感じました。斑尾高原や志賀高原などで、温泉やスキー、ハイキングを楽しみに行く場合など、飯山駅を利用する機会があるなら、ぜひとも試してみてください。

「信州いいやま 謙信笹ずし」

価格:1000円
販売駅:飯山駅
購入場所:NewDays 飯山
購入日:2017年1月31日