旅レポ

マカオにオープンしたばかりの高級リゾート「ウイン・パレス」を隅々まで堪能してきた(その2)

中華ダイニングでの本格中華や最高級ステーキを堪能

ウィン・リゾーツ会長兼CEO、スティーブ・ウィン氏の名前がつけられた、ウイン・パレスを代表するステーキハウス「SW」

 マカオの統合型リゾート施設「ウイン・パレス」の魅力は、贅沢な客室に、館内に所狭しと飾られた花や芸術作品、噴水を備える池とその周囲に巡らされたゴンドラなど、とことんまでこだわった豪華な施設だ。そして、それと同じぐらいにこだわっているのが”食”。館内には、中華、洋食、和食のレストランがあり、そのどれもがこだわり抜いた最高の料理を提供しているという。そこで今回は、ウイン・パレスのなかでも特に代表的な中華や洋食のレストランを紹介していこう。

最高級ステーキやシーフードが味わえる「SW」

 SWは、ウイン・パレスを代表するステーキハウスだ。ウイン・パレスを運営するウィン・リゾーツの会長兼CEOのスティーブ・ウィン氏の名前を取って命名されたという店名からも、その位置づけが伝わってくる。

シックな雰囲気の店内では、落ち着いてディナーが楽しめる

 SWでは、オーストラリアやニュージーランド、日本、アメリカなど海外から最高級の肉や魚介類などの食材を毎日仕入れ、最高の料理を提供しているという。例えば、オーストラリア産ブラックアンガスビーフのドライエージングリブアイステーキでは、オーストラリアで21日間、そしてSW内で30日、合計51日間熟成した牛肉を利用。肉の水分が飛び、旨みが凝縮されて非常に濃く深い味わいになるという。

 実際にそのリブアイステーキをいただいたが、噛むごとに牛肉の旨みが凝縮された肉汁が口の中に広がり、えもいわれぬ美味しさだった。サシが多く口の中で溶けるような食感のステーキとは異なり、適度な噛み応えのある食感の赤身肉という点も、個人的には好みだったこともあるが、かなりの量でも飽きることなくいただけた。

51日間熟成させたオーストラリア産ブラックアンガスビーフのリブアイステーキ
ミディアムレアの絶妙な焼き加減で提供される
熟成された赤身肉は、旨みが凝縮されており、さすがの味わい。噛むごとに旨みが口いっぱいに広がり、かなりの量でもペロっと平らげられる

 また、SWではクラブケーキも名物になっている。クラブケーキには、アラスカ産の最高級キングクラブを使っているそうで、オリジナルのマスタードソースとともに口に入れると、カニの甘い風味がさらに引き立てられる。ゆでたカニとはまた違う美味しさで、こちらもあっという間に平らげてしまった。

 このほか、ロブスターやキングクラブ、牡蠣など世界各地から仕入れた新鮮な魚介類が盛り付けられたシーフードタワーは、味わいはもちろんのこと、その見た目のインパクトにも圧倒。さすが、ウイン・パレスを代表するステーキハウスだ。

SWではシーフードも力を入れており、世界各地から毎日新鮮な食材を調達し提供している
生牡蠣やハマグリなど、貝類も充実
キングクラブはアラスカ産の最高級品
大ぶりの海老、キングクラブ、ロブスター、牡蠣など、シーフード好きも納得のラインアップ
SWの名物の一つ、クラブケーキ
アラスカ産最高級キングクラブを使っているそうで、カニの甘い風味がたまらない美味しさだ

 ところで、SWにはもう一つ大きな特徴がある。それは、店内に用意されたステージで30分ごとにショーが行なわれるというものだ。30分ごとに店内が暗くなり、3D映像やプロジェクションマッピングなどの技術を活用した映像ショーが展開される。この映像ショーは、エンタテイメント集団のシルク・ドゥ・ソレイユでデザイナーを務めているマイケル・カリー氏が監修しており、シルク・ドゥ・ソレイユのエッセンスが詰め込まれた、幻想的な内容となっている。

 ショーは全部で6種類用意され、30分ごとに変更して上演されるため、滞在中にも飽きることなく楽しめる。ショー自体は1分程度の短いものだが、これは食事を妨げることなく楽しめるように配慮しているからだという。

 レストランにこういったショー要素を取り入れたのは、”どこにいてもエンタテインメントを感じてほしい”というスティーブ・ウィン氏の想いからとのこと。世界各地の統合型リゾート施設で、ほかにはない驚きを提供し続けているスティーブ・ウィン氏らしい発想だが、最高の料理とほかにはないエンタテイメントを提供するSWは、その想いをうまく具現化した、非常に魅力的なレストランと感じた。

店内にはショーステージが用意され、30分ごとに映像ショーが展開される
ショーは、プロジェクションマッピングやロボットを駆使した映像ショーで、全6種類を用意
ショーの演出はシルク・ドゥ・ソレイユのデザイナー、マイケル・カリー氏が監修しており、幻想的な内容となっている

中国各地の本場の味を楽しめる中華レストラン「Andrea's」

 ウイン・パレスには、マカオらしく中華のレストランが数件用意されている。そのなかでもAndrea'sは、スティーブ・ウィン氏の奥様の名前から名付けられた、特別な位置づけのレストランだ。四川や蘇州、杭州、淮陽など、中国各地出身のシェフが本場の味を継承しながら創作中華を提供。また、西洋の食器を利用したり、西洋風の盛り付けを採用したりするなど、本格中華を提供するレストランではあるが、中華の枠にとどまらない遊び心満載のレストランとなっている。

ウイン・パレスのなかでも特別な位置づけの中華レストラン「Andrea's」
こちらも店内は落ち着いた雰囲気だが、金色をふんだんに使った装飾からは高級さがあふれ出している

 料理は、中国各地の味わいが楽しめるだけではなく、目でも楽しめる点が魅力。例えば、スープの「豆腐菊花湯」は、1mmほどの幅に細切りにして菊の花のように仕上げた木綿豆腐がスープに沈められていて、食べるのがもったいないと感じてしまうほど。黄金に澄んだスープもスッキリとして優しい味わいで、豆腐と合わせて非常に繊細な料理に仕上がっている。

豆腐を菊の花に見立てたスープ「豆腐菊花湯」
木綿豆腐に1mmほどの幅の切り込みを入れて菊の花に見立てている。高度な包丁技術が必要で、見事としか言いようがない
黄金に澄んだスープは非常にスッキリとした味わいで、繊細な料理と感じた

 続いて、クラゲや蒸し鶏、アワビの前菜が登場したが、こちらは山椒や唐辛子がきいたピリ辛の味わい。また、ナスを細切りにして揚げた「魚香茄子」とう料理も、山椒の風味が強く、ピリ辛の味わい。このあたりは四川料理がベースとなっていて、ピリ辛の味わいでビールによく合う料理だ。

前菜の盛り合わせ。クラゲ、アワビ、蒸し鶏が盛り付けられている
クラゲはコリコリとした食感。かなり辛みが強く、山椒の風味も効いていてビールが進む
アワビはとても柔らかい食感。こちらもかなりの辛さで、食欲がわいてくる
蒸し鶏は辛みが抑えられていて、鶏の味わいがストレートに感じられる
茄子を細切りにして揚げた「魚香茄子」
じっくり揚げられた茄子は甘みが強いが、山椒の風味が強くこちらもかなりピリ辛。いかにも四川料理といった味わいだった

 魚介料理としては、ロブスターのサワースパイシースープと、南極地域に生息している深海魚「Tooth fish」(日本では”メロ”と呼ばれている深海魚)を一口サイズに揚げて杭州風の黒酢ソースで絡めた料理をいただいた。ロブスターのサワースパイシースープは、いわゆる酸辣湯に比べると酸味は強くなく、辛さの方が強い味わいだったが、見た目に反してかなりあっさり。ロブスターの旨みも強く、あとを引く美味しさだった。また、メロの揚げ物は、メロ自体は非常に淡泊だったが、カリカリに揚がった食感と、黒酢ソースの強い風味が独特の味わいを醸し出していた。

ロブスターのサワースパイシースープ。酸味はそれほど強くなかったが、反面辛みが強い味わいだった
スープにロブスターの旨みが広がり、さっぱりとしてあとを引く美味しさだ
メロの黒酢ソース。熱した石焼きの器に盛り付けられ、テーブルで仕上げられる
黒酢ソースをかけると、熱せられた器ですぐに沸騰
ぐつぐつと沸騰した黒酢ソースを揚げたメロに絡めていただく。淡泊なメロの身とカリカリの食感、そしてコク深い黒酢ソースとの組み合わせは最高の美味しさだ

 肉料理は、牛と鳩の料理が登場。牛は36時間かけてスロークックした中華風のステーキで、パンケーキできゅうりの千切りと一緒に挟んでいただく。肉は非常に軟らかく、またあっさりとした味わい。また、甘い味付けのパンケーキとの相性も抜群。いわゆるステーキとは異なる、まったく新しい牛肉料理という印象だった。

 対する鳩の料理は、鳩肉を細かくミンチ状にしてスパイシーな味わいで炒められていた。クセのない味わいで、鶏肉よりもしっかりとした歯応えが食欲をそそる。また、皿には茶碗蒸しが敷き詰められていて、そちらと一緒に食べると非常に優しい味わいで、こちらもまたあとを引く美味しさだった。

36時間かけてスロークックされた中華風ステーキ
甘いパンケーキにきゅうりの千切りなどと一緒に挟んで食べる
肉は非常に軟らかく、また見た目以上にあっさりとしていて、いくらでも食べられる
鳩肉の炒め物。茶碗蒸しの上に盛り付けられていた
鳩肉はクセが少なく、スパイシーな味わいに炒められていて食欲がそそられる。茶碗蒸しと一緒に口に運ぶと、味わいがまろやかになり、鳩肉美味しさも引き立てられる

 そして、デザートもまた印象的なものだった。氷のドームに覆われて登場したデザートは、ココナッツ味のソルベ。ココナッツを模したチョコレートの器に、スポンジケーキやババロアと共に盛り付けられたココナッツソルベは、甘さ控えめ。こってりとした料理でほてった口を、さっぱりと静めてくれる。

水滴のような氷のドームに覆われてデザートが登場
ココナッツを模したチョコレートの器に盛り付けられたココナッツ味のソルベ。甘さ控えめで、さっぱりと口を静めてくれる

 このように、Andrea'sの料理は、まったく新しい中華料理という印象が強かった。とはいえ、味わいは本格的。これまでにない中華を楽しみたいという人なら、間違いなく大満足できるはずだ。

最高級の広東料理を楽しめる「Wing Lei Palace」

 先ほどのAndrea'sが創作中華料理の名店なら、こちらの「Wing Lei Palace」は、伝統的な広東料理が味わえる名店だ。中国でも著名なシェフを集め、最高の食材を利用した最高級の広東料理が提供される。

 また、料理だけでなく贅を尽くした店内も大きな特徴。室内やテーブル、チェアー、食器などは翡翠(ひすい)色を基調として金を織り交ぜた装飾が施されており、すべ てがカスタムメイドとなっている。加えて、店内の至る所に美術品が飾られるなど、非常に贅沢な雰囲気となっている。そして、店内のすべての座席から、建物前に広がるパフォーマンスレイクが望めるようになっており、夜にはパフォーマンスレイクで繰り広げられる噴水ショーを眺めながらディナーが楽しめる。そのため、ウイン・パレスのレストランのなかでも特に人気が高いという。

広東料理レストランの「Wing Lei Palace」
翡翠のグリーンを基調に、金を織り交ぜた贅沢な装飾を採用
店内は3層構造で、テーブルや椅子、食器などはすべて特注品
食器類も翡翠を基調に金色があしらわれている
店内には美術品も数多く飾られている
店内からはどの席からもパフォーマンスレイクが望め、食事をしながら噴水ショーを楽しめる

 このWing Lei Palaceでは、点心を中心としたランチを楽しんだ。まず最初に前菜としてチャーシュー、鱈の揚げ物、エノキダケの和え物が運ばれてきた。チャーシューは甘めの味付けで適度な歯応えがあり、これぞチャーシューといった深い味わい。鱈の揚げ物は山椒の風味が強くスパイシーな味わいだったが、カリカリの衣とふわふわの鱈の身とのコントラストが楽しい逸品だ。また、エノキダケの和え物は、非常に優しくあっさりとした味わいだが、こちらも軽く山椒の風味が効いていて、あとを引く美味しさだった。

前菜の盛り合わせ。チャーシュー、鱈の揚げ物、エノキダケの和え物が盛られていた
甘めの味わいの、中華王道のチャーシュー。肉の旨みが濃く、いくらでも食べられそう
鱈の揚げ物は山椒の効いたスパイシーな味付け。鱈の身はふわふわで、カリカリの衣との食感も楽しかった
エノキダケの和え物はあっさりとして優しい味。山椒の風味も感じられ、あと引く美味しさだ

 続いて点心。まず海老焼売だが、大ぶりの海老が1尾まるまる乗せられた大きな焼売だが、海老の上にはキャビアと金粉があしらわれており、非常に贅沢な見た目だ。焼売のあんには海老や帆立、豚肉が使われているそうで、味も絶品だった。

 続いて、千切りの大根でチーズを包んで揚げた揚げ物。見た目は俵のようだが、ぱりぱりに揚げられた大根と、とろとろに溶けたチーズとの相性は想像以上に抜群。また、見た目に反して甘く優しい味わいで、口に入れた瞬間ほっとする味わいだ。そして、もう一品がカスタード饅頭だ。こちらは、椎茸のようなきのこをイメージした形で、目にも楽しい。ココアパウダーで茶色く色付けされ、中の濃いカスタードと合わせ、箸休めとして最高だった。

点心は3品が運ばれた
海老焼売。大きな海老が1尾乗せられた、贅沢な焼売だ
焼売のあんには豚肉、帆立、海老が使われ、絶品の味わい。金粉とキャビアで見た目も贅沢だ
千切り大根とチーズの揚げ物
千切りの大根でチーズを包み込んで揚げてある
とろとろに溶けたチーズとサクサク食感の残る千切り大根との相性抜群。甘く優しい、ほっとする味わいだ
きのこを模したカスタード饅頭
傘の部分はココアパウダーで色付けされ、見た目は椎茸そのものだ
甘くこってりとしたカスタードあんが入っていて、箸休めに最高

 その後、メインコースの魚料理が登場。ハタの身をチキンスープで煮込んだスープ仕立ての煮魚料理だ。プリプリで淡泊なハタの身も、非常に濃厚なチキンスープと一緒に口に運ぶと非常に深い味わいとなる。またハタの身に添えられた生姜のフライと合わせると、さっぱりとした味わいとなる。見た目はシンプルだが、深い味わいの逸品だった。

 そして、肉料理としてはオーストラリア産WAGYUビーフの中華風炒め物が運ばれた。醤油の風味が強い黒胡椒ソースを絡めたビーフに、揚げた米や松の実、中国オリーブなどが添えられている。肉は非常に軟らかく、口に入れるとあっという間に溶けてなくなるほど。それに対し、カリカリの揚げ米や松の実との対比がとても楽しく、こちらも箸が止まらなかった。

ハタの身をチキンスープで煮込んだスープ仕立ての煮魚
ハタの身はプリプリで淡泊な味わい。生姜のフライを添えるとさっぱりとした味わいになる
濃厚な味わいのチキンスープ。淡泊なハタの身と一緒にいただくと、深いな味わいが楽しめる
オーストラリア産WAGYUビーフの中華風炒め
柔らかくすぐに溶けてなくなるようなWAGYUビーフに、揚げ米や松の実の食感の違いが楽しい

 最後にデザート。今回は、胡麻団子や香港で人気のスイーツ「マンゴーポメロサゴ」などが運ばれたが、なかでも特に気にいったのがマンゴーポメロサゴだ。甘く濃いマンゴーの味わいに、やや苦みのあるポメロと呼ばれる果物の実と、タピオカに似たプチプチ食感が楽しいサゴが合わさり、病みつきになる美味しさだ。最高級マンゴーやポメロを使っていることもあると思うが、Andrea'sで食事をするときには、このマンゴーポメロサゴは外せないデザートだ。

デザートの胡麻団子。ツバメの巣があしらわれた、贅沢なデザートだ
こちらは香港で人気が高いという、マンゴーポメロサゴ
甘く濃いマンゴーに、苦みのあるポメロと、プチプチ食感のサゴが合わさって、病みつきになる美味しさ。Andrea'sで絶対に外せないデザートだ

 今回は、ウイン・パレスのなかから代表的なレストラン3店舗を紹介したが、これ以外にもまだまだ紹介したいレストランがあるので、それらはまた次回紹介したいと思う。

平澤寿康

うどん県生まれ。僚誌PC Watchなど、IT系の執筆を中心に活動。旅&乗りもの&おいしいもの好きで、特に旅先でおいしいものを食べるのに目がない。ただし、うどんにはかなりうるさい。