別記事でもお伝えしているとおり、フランス パリ郊外のル・ブルジェ空港で開催された「パリ航空ショー2015」で、航空会社としては例外的なほど意欲的な展示を行なったカタール航空(Qatar Airways)。
同社の最新鋭機材は、ローンチカスタマーにもなった「エアバス A350 XWB(A350-900)」型機で、2015年1月からドーハ(カタール)~フランクフルト(ドイツ)線で運航している。同社は2012年に「ボーイング787-8」、2014年には総2階建ての「エアバス A380」型機と、次々に新機材を導入。日本へも羽田線をボーイング787-8型機で運航している。なお、日本へはこのほかに、「ボーイング 777-200LR」型機で成田、「エアバス A330-200」型機で関空へ運航中だ。
今回のパリ航空ショーでは、「エアバス A350 XWB」「エアバス A380-800」「ボーイング 787-8」の3機が展示されており、機内見学が可能だった。
「エアバス A350 XWB」&「ボーイング 787-8」
エアバス A350 XWB型機とボーイング 787-8型機はいずれもビジネスクラス、エコノミークラスの2クラス編成。席数は、A350型機はビジネスクラス36席、エコノミークラス247席で、計283席。ボーイング 787-8型機はビジネスクラス22席、エコノミークラス232席の計254席。特にボーイング787-8型機は、ビジネス:エコノミー比率がおおよそ1:10.55と、エコノミークラスの席数を重視した構成になっているのが印象的だ。
シートそのものは両機種とも同等で、ビジネスクラスは全席通路側スタイルで、フルフラット化が可能なほか、収納スペースが多いことが特徴となっている。また、ボーイング787-8型機には、通路を挟んで2席だけ独立したシートがあり、カップルや幼児連れの乗客に向いているという。
エコノミークラスは3-3-3の9アブレスト。タッチ対応の機内エンターテインメント用ディスプレイや、同じくタッチ対応のコントローラを搭載。シートピッチも31inchと一般的な広さとなっている。
ちょっと気になったのは電源ポートで、3席それぞれの間に2個搭載されている点だ。つまり全席で利用は可能だが、3席中2席までしか同時利用はできないことになる。
写真は主にボーイング 787-8型機の機内を中心に、エアバス A350 XWB型機のものとの相違点に触れながら紹介する。
ビジネスクラス
ボーイング 787-8型機のビジネスクラス。写真は機内を紹介してくれた日本人CA(客室乗務員)のSAYAKAさん。同社には200名程度の日本人CAが在籍しているという ボーイング 787-8型機のビジネスクラス後方からの眺め シートはフルフラット化が可能。図を使った分かりやすい操作パネルを備える 機内エンターテインメント用に17型のディスプレイを備える USBやiPodなどを接続するポート。機内エンターテインメントシステムのコントローラもタッチ対応 座席まわりはあちこちに収納スペースが用意されており、靴や手回り品などを収めておける エアバス A350 XWBはビジネスクラスの中央部分に通路がありミニバーカウンターが設置されている ビジネスクラスの座席数の少ないボーイング787-8は、ドアの目の前がビジネスとエコノミーの境界線かと思いきや、2席だけ独立してビジネスクラスシートが用意されているユニークな座席配置となっていた エコノミークラス
エコノミークラスは3-3-3の9アブレストで、シートピッチは31インチ 機内エンターテインメント用ディスプレイは9型。コントローラもタッチパネル式 シートピッチは31インチ。エアバス A350 XWBもボーイング787-8も同じ ディスプレイの脇にUSBやiPodなどを接続するポートを備える 電源ポートは3席につき2個ずつを、座席の間に備えている ここまではボーイング787-8型機の機内の写真だが、エアバス A350 XWBもレイアウトやシート素材などに多少違いはあるものの、基本的には同じ設計となっている カタール航空の「ボーイング 787-8」型機とコックピット カタール航空の「エアバス A350 XWB」型機とコックピット エアバス A380-800型機
総2階建て旅客機の「エアバス A380-800」はカタール航空では2014年より導入しており、エアバス A350 XWBに次いで2番目に新しく導入した機材となる。
特徴は、ファーストクラスを備える点で、ビジネスクラス、エコノミークラスとの3クラス編成。席数は、ファーストクラス8席、ビジネスクラス48席、エコノミークラス461席の517席となっている。
デッキ(階)ごとの割り当ては、ファーストクラス、ビジネスクラスはすべて2階席に設置され、2階席の後方一部と1階席すべてがエコノミークラスとなる。
ファーストクラス
ファーストクラスは1-2-1の4アブレスト。ビジネスクラスに比べて1席あたりの広さがかなり違う ファーストクラスのシート。ビジネスクラスに比べると特に前後方向に長く、フットレスト部分まで開放感のある空間となっている 機内エンターテインメント用ディスプレイの脇に電源ポートを備える シート脇にはタッチ対応のコントローラや雑誌収納スペースなど ファーストクラスのラバトリー。広々としているだけでなく、ソファも置かれるなど豪華な内装 ビジネスクラス
ビジネスクラスも1-2-1の4アブレストで全席通路側のスタイル アメニティはやはり「GIORGIO ARMANI」 ファーストクラスとビジネスクラスの乗客が利用できる「プレミアムラウンジ」。アルコールを含む飲み物や軽食などが提供される。ソファも広々としており、電源ポートも備えている エコノミークラス
エコノミークラスは、1階席は3-4-3の10アブレストが基本 2階席後方は幅が狭いため2-4-2の8アブレストとなる 前方は機体形状に沿って座席を配置するため、通路幅が変わっている 1階後方寄りに1カ所だけ席のないスペースがあり、非常用脱出口が設けられている カタール航空の「エアバス A380-800」型機とコックピット