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日本旅行業協会、パリ同時多発テロ後の観光需要回復に向けた取り組み
12月17日定例記者会見より。2015年12月期の旅行市場動向も発表
(2015/12/22 09:52)
- 2015年12月17日 開催
JATA(日本旅行業協会)は12月17日、定例記者会見を開催し、理事・事務局長 越智良典氏らが直近の取り組みなどを発表した。具体的な内容は以下のとおり。
1.日インドネシア文化経済観光交流団報告
2.パリ同時多発テロ後の需要回復に向けた取り組み
3.「JATA経営フォーラム2016」の開催について
4.2015年12月期(第3回)旅行市場動向調査
日インドネシア文化経済観光交流団報告
はじめに理事・事務局長 越智良典氏より「日インドネシア文化経済観光交流団報告」が発表された。
「11月に約1100名のインドネシアへの訪問団を派遣いたしました。インドネシアは6月に観光ビザが査証免除になりました。これに関しては、二階俊博 日本・インドネシア友好議員連盟会長が働きかけを行なっており、いち早く実現ができました。そのお礼というのがもともとの大義です。しかしながら、日本はインドネシアの高速鉄道建設(新幹線建設)を失注してしまい、逆風のなかでの訪問となりました。そのため、今回の訪問ではインドネシアとの関係改善というのもミッションの1つとなりました」。
「ジョコ大統領は日本の代表団が訪問した11月23日(現地時間)は、ほとんど、代表団のために時間をとっていただくことができ、関係改善に貢献ができたと思います。インドネシアへは日本から年間50万人が訪問しますが、うちビジネスと観光の比率はほぼ半分ずつです。そのため、約1100名のうち観光分野と経済分野、政治の分野からさまざまな人が代表団に参加者しました。各分野で質の高い国際会議やイベントを実施できたため、成果を残すことができました」。
「観光分野の活動しては、JNTO(日本政府観光局)の主催で11月20日~22日にジャカルタのセントラル・パーク・モールで『ジャパン・トラベル・フェア』を開催しました。このイベントは訪日旅行の即売会で5万7000人もの人が来場し、1066人が旅行商品を購入いたしました。また、11月23日に行なった『観光交流シンポジウム』では、地方都市の交流をテーマにして、山梨県知事、愛媛県知事、高知県知事に地方交流に関する取り組みについて講演を行なって頂きました。また、インドネシア側からはジョグジャカルタ特別州政府代表者に出席頂きました。ほかにもBtoBの旅行会社向けの商談会も実施しましたが、非常に活況を呈しました。また、JALスカラシップ40周年記念フォーラムなども開催されました」。
パリ同時多発テロ後の需要回復に向けた取り組み
海外旅行推進部 調査役 保坂明彦氏より「パリ同時多発テロ後の需要回復に向けた取り組み」について説明が行なわれた。本取り組みでは、以下の4つのアクションを実施し、欧州の観光需要の早期回復を図る。
1.パリ、フランス、その他周辺国を含む欧州各国観光局からのメッセージ配信
在日または、現地の政観の局長から、各国の現状や治安対策、旅行者保護への取り組みなどに関するメッセージを顔写真入りでWebサイト上で公開。
2.テロ後のヨーロッパ需要回復促進に向けたパリ・美しい村訪問
JATA副会長 菊間潤吾氏らがパリ市の治安責任者、ツーリズム行政責任者、エールフランス経営陣、リクヴィル・サンシルラポピーの村長らを訪問。共同で記者会見を開くことでパリおよびフランスが観光保護に取り組んでいる具体例を説明。世界的にも、安心・安全に鋭敏な日本人旅行者の早期来仏を促すことでフランスツーリズム産業の早期回復を目指す。
3.「パリの現状」(仮称)をテーマにした、最新情報を提供するBtoBセミナーを開催
パリ在住の日本人などを招聘し、パリの状況を報告する旅行業界向けのセミナーを開催する。2016年2月頃に在日フランス大使館で実施。
4.「Team EUROPE」参画の16社が一同に会した旅行説明会を開催
「Team EUROPE」に参画する旅行業会社16社が一般顧客向けの説明会を2016年2月~3月頃にフランス大使館または大使公邸で開催。業界が一丸となってPRし、欧州ツアーの需要回復に結びつける。説明会では、各社がブースを設置し、ワークショップ形式で来訪者に各社の商品の魅力の説明や個別の旅行相談に対応する。
「JATA経営フォーラム2016」の開催について
「JATA経営フォーラム2016」の開催に関しては、総務部長 長田勇二氏が説明。同イベントは、「交流大国への挑戦-担い手としての旅行業の役割-」というテーマで、2016年2月22日13時~16時に六本木アカデミーヒルズで開催する。
開会の挨拶はJATA会長 田川博己氏、来賓として観光庁長官 田村明比古氏(予定)、基調講演は横浜市長 林文子氏が「人に寄り添うリーダーシップ~すべては共感と信頼から~」というテーマで講演。特別講演では、養老孟司氏が登場。「旅の壁」というテーマで講演する。メインは4つの分科会に分かれ、「航空会社との新たな連携の在り方と課題」「宿泊業界との新たな連携の在り方と課題」「女性の活躍で企業は強くなる!」「海外旅行の未来展望を語る」というテーマでそれぞれ旅行業界のキーマンを迎えて講演が行なわれる。
2015年12月期(第3回)旅行市場動向調査
最後に広報室 担当副部長 新田幹夫氏が「2015年12月期(第3回)旅行市場動向調査」について以下の内容を発表した。
調査は、JATA会員各社の経営者などを対象に行なったもので、11月6日~25日の期間で全594社中回答は299社から得られたもの。各ジャンルの旅行商品の需要に対し、「良い」「普通」「悪い」「取り扱ってない」で評価を求め、100~-100の間で良し悪しの指標「ディフュージョン・インデックス(DI)」を表わしている。
12月期の調査では9月期の調査と比較し、海外旅行のDIは-38から2ポイント下落して-40、国内旅行は+16より7ポイント下落して+9という数字となった。
海外旅行は、ANAの羽田~シドニー線の就航などでオセアニア、韓国、アジアは上昇した。ハワイは上位を維持しつつもポイントは下落。同じく欧州がポイントを落とした。3カ月後の予測は1ポイントプラスの-39と予想。
顧客層別に見た場合、OLは2ポイント増、学生1ポイント増となっているが、ファミリーは9ポイント減、ハネムーンは8ポイント減などとなっている。3カ月後の予測は、学生が8ポイント増、商用・視察は8ポイント減、ファミリー2ポイント増となっており、下落傾向に歯止めが見られる。
国内旅行は、京阪神、北陸、東京、近畿が上昇するものの、北海道が下落。3カ月後の予測は、北陸新幹線の人気により引き続き北陸はプラスを維持するものの+3と予想している。