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日本旅行業協会、2015年に対ピーク時100万人減となった中国への旅行需要喚起
2016年3月3日定例会見
(2016/3/3 17:35)
- 2016年3月3日 実施
日本旅行業協会(JATA)は定例会見を開催し、3月22日に旅行業界向けに開催される「中国旅行復活緊急フォーラム」について報告したほか、JATAが主催するトラベル・カウンセラー制度「エリア・スペシャリスト」などについて説明した。中国への観光客の増加を目指し、今後業界を挙げて取り組んでいく考えだ。
2015年は、日本人の出国者数1620万人に対して訪日外国人の数が1900万人を超え、「大阪万博の1970年以来、45年ぶりに逆転した」(JATA)という。日本人の出国者ベースでは、ピークは2012年の1850万人で、それ以降は減少を続けているのが現状で、特に中国で100万人、韓国で170万人の減少が響いており、この2カ国に対する需要を喚起したい考え。
中国はピーク時に350万人だった旅行者が、2015年は250万人になり、約25%の減少。業務や個人旅行(FIT)も多いため正確には把握できていないとしつつ、旅行会社大手10社の報告をまとめると、旅行会社経由の旅行は3割近く減少しているという。この2012~2015年を「失われた3年間」と表現し、これを解消していくのが狙いだ。
2017年は日中国交正常化45周年の年でもあり、日中間航路の航空座席が拡大して、訪日需要も強い現状は、訪中旅行者の需要を回復させる「絶好のタイミング」と判断し、それに向けた取り組みを強化する。
さらに、中国国内は北京オリンピック以降、高速鉄道や道路の整備が進み、ホテルも増加するなど観光に対する環境が整ってきている。中国全土には860軒の5つ星ホテルが存在し、この3年間でも相当数のホテルが開業しているほか、ホテルの「5つ星」に相当する「5A」の観光地も同時期に65カ所増えて、186カ所に拡大。こうした状況下において、例えば「東洋のグランドキャニオン」と呼ばれる「張掖丹霞地貌(ちょうえきたんかちぼう)」のように、新しく整備され、鉄道インフラの整備などでアクセスしやすくなった観光地も多いため、JATAでは新たなツアーなどの商品を企画することで、旅行者の需要喚起が図れると見ている。
3月22日に開催される中国旅行復活緊急フォーラムでは、JATAがモデルコースを作成して紹介するなどして、旅行会社の商品企画につなげたい考え。今後、旅行会社のツアーなどで、新しい中国向けパッケージが増加するかもしれない。
エリア・スペシャリストは、旅のプロフェッショナルとして幅広い知識を有する人材を育成することを目的とした資格制度で、養成講座と資格試験が用意されている。2015年度から実施されており、前期では1650人が受講し、試験結果の出ている前春期講座では482人が合格(合格率93.6%)している。
海外旅行先で人気の高い国や地域を8つのエリアに分け、観光・地理、文化・歴史、交通・宿泊などの分野を5カ月間にわたって学ぶ養成講座は誰でも受講でき、受講料は一般が1万4000円、学生が1万円。資格を取得するには旅行業務実務経験1年以上が必要だが、例えば旅行会社に勤めたいという学生が受講し、実際に1年間勤務したあとに試験を受けて資格を取得する、といったことができる。
3月1日から4月1日まで、春期講座の受講者募集が開始されており、JATAでは前年以上の受講者拡大を目指したい考え。
そのほかJATAでは、旅行会社などを対象にフランスの治安・安全の現状を説明してフランスへの旅行需要拡大を目指す「フランス大使館大使公邸での消費者イベント」や、パリ同時多発テロ後の国際情勢などを踏まえた旅行会社の緊急対応を考える「JATA重大事故支援システムセミナー」を3月に順次開催する。