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エースJTB、2016年度上期の旅行商品でハーフオーダーメード型の「今までにない旅」

2016年上期の注力方面は「京都・びわ湖・奈良」と「東北」

2016年1月19日 開催

 国内旅行のエースJTBを展開するJTB国内旅行企画は1月19日、2016年度上期の旅行新商品を発表し、1月22日から順次発売を開始すると発表した。添乗員同行ながらプライベート感覚を重視した“今までにない旅”を提案するとともに、「個性光る宿」の紹介といった多彩なニーズへの対応を行う。上期の全社キャンペーン地域は「京都・びわ湖・奈良」と「東北」の2エリア。

JTB国内旅行企画 社長の大谷恭久氏
JTB国内旅行企画 取締役商品企画部長仕入販売担当の高木俊光氏

添乗員同行とパーソナル旅行の良さを合体した「今までにない旅」

 「今までにない旅」として提案を行うのは、現地添乗員がつきながら、個人行動の部分を拡大した旅行。添乗員付きのツアーは集合から解散まで団体行動が基本だが、それをわずらわしいと考える人もいる。かといってまったくのパーソナル旅行ではいざというときに心配で添乗員がいると安心と考える人もいる。

 JTB国内旅行企画 取締役商品企画部長仕入販売担当の高木俊光氏は、その両方を提供するための「今までにない旅」だとし、「行程のどこかで、団体から離れて個人個人のフリーなことができる仕掛けがある」と説明した。

 具体的には例えばツアー中、観光地で別行動をして、また合流するといったこともできる。そして、できるだけプライベート感覚を重視するため、ツアー中の昼食や夕食は相席のない状態を作るほか、奇数人数の旅行の場合、2人掛けの席をあえて空き席を作るなどの工夫がする。また、団体客を受け入れない旅館に、途中までの送迎をセットで旅程に組み込むことも考えられる。そして、いざとなったら添乗員のフォローも受けられるという安心感があるという。

 この旅行は、旅行会社店頭で選びながら組み上げていくため、「ハーフオーダーメード」という言葉で表現しているという。この、「今までにない旅」は4月から本格的に展開する。

新国内旅行宣言
新たな旅のスタイルを提案する
2016年の商品戦略
そのひとつが「今までにない旅」

赤いパンフレットで旅館・ホテルの質を約束

赤いパンフレットの「お約束」

 JTB国内旅行企画では方面別に赤いパンフレットを発行しているが、その内容についても拡充する。赤いパンフレットでは、紹介する宿について、料理の内容がパンフレット記載内容と異ならないようするほか、温かい料理は温かいままで提供されるなど、JTBならではの特典を記載し、実際に受けるサービスと異なったり質が落ちたりしないようにしているという。

 特に眺望のような主観的に判断される点については、「窓に向かって正面に立ち、上側で60度、下側に70度、左右約120度の視野に、正面の景色を通常目線で見た場合の景色に圧迫感(すぐ前に隣の建物等)がない……」といったルールを設け、人によって異なる感覚についても、パンフレットに明記する挑戦をしたという。

尖った魅力のある「個性光る宿」を紹介

「個性光る宿」をパンフレットにマークで記載する

 紹介する旅館・ホテルは、誰もが満足いくような平均的なものだけでなく、特に際立った個性を持つ宿を新規展開する。全国で164件が設定され、まずは「湯」「食」「その他」とジャンル分けした。

 JTB国内旅行企画 社長の大谷恭久氏は“尖った施設の魅力を、お客様のこだわりとマッチングさせる”取り組みだと説明、その中のひとつ、高木氏が例にあげた北海道・登別の第一滝本館は、7つの源泉を引き、大浴場の点数が93点という温泉愛好者にとって魅力の宿。食事や客室の点数は若干劣るため、万人にすすめるわけではないが「温泉好きにはたまらない魅力のある宿」だという。

 個性光る宿の展開には店頭でのコンサルティングで利用者に説明、マッチングをしっかりやることが前提だとしている。

地域の魅力を活かした展開

 旅先で気軽に利用できる「旅の過ごし方」の提案も引き続き行う。2016年度は331プランで、利用者には「旅の過ごし方ブック」を進呈、紙面で雑誌記事風に紹介するなどし、インバウンドへも対応できるよう取り組みを強化する。

 一方、「感動の瞬間(とき)」として、国内の絶景を紹介する。いつでも見られる絶景ではなく、季節、時間、天候に左右され、必ずしも見れるものではないが、現在195箇所を紹介している。

 2016年はプロカメラマンが撮影した写真をヒントに取材するなどして絶景を開拓、特に感動する100種類の絶景は「感動の瞬間100選」として紹介、国内旅行の魅力を再発見させるという。

「旅の過ごし方」のブックを利用者に進呈する
国内の絶景を「感動の瞬間」としてパンフレットで案内する

2016年上期の注力方面は「京都・びわ湖・奈良」と「東北」の2つ

 キャンペーン地域については、「京都・びわ湖・奈良」と「東北」の2エリアで展開する。

 「京都・びわ湖・奈良」は、京都周辺を含めてエリア、時期の混雑を避けた形で新しい魅力を訴求する。高木氏は「京都はいつでも旅館・ホテルがとれないが、京都府北部、びわ湖、奈良はそれほど混雑していない。それをしっかりご紹介し、京都のみならずエリアを堪能いただく」とし、宿の確保のしやすさともに周辺の魅力的な場所の紹介をすすめたい考えを示した。

 また、紅葉と反対の「青もみじ割引」を展開する。「紅葉のきれいな場所は新緑もとてもきれい。あえてもみじの最盛期に割引をする」と説明、オフシーズンとなっている時期の魅力を紹介するという。

 通常ならキャンペーン地域は1カ所の設定だが、今年は震災から5年目の節目にあたることで、東北についても「東北絆キャンペーン」を行う。大谷社長によれば注力地域を2カ所設定するのは初めてとのこと。

 高木氏は「自然の中の新緑で、個人的に世界一きれいと思ってるのが東北、世界に売り出していきたい」と話し、通常ならオフシーズンだが、新緑10選としてフォーカスしたり、新緑の中を無理なくサイクリングで楽しめるなど、新緑のベストな時期に割引まで設定して展開するという。

 なお、2016年下期の注力方面は九州の予定。

2016年の注力方面
京都・びわ湖・奈良
東北絆キャンペーン

北海道新幹線やUSJの15周年

 そのほか、2016年の業界へのプラスは数多くある。北海道新幹線の開業は、2015年の北陸新幹線の開業のようなブームを作っていきたいとした。東京からの乗車時間は北陸新幹線よりも長くなるため、片道は飛行機にするようなプランや、函館と青森間の所要時間が短くなるため、北海道だけでなく青森と両方を楽しむようなプランも提供する。

 また、首都圏だけでなく、仙台在住の人が函館観光したり、函館の人が青森や盛岡に行くといった需要にもフルに使っていきたいとしている。

 テーマパークについてストレスフリーを目指す。15周年記念を迎えるユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の唯一のオフィシャルトラベルパートナーのJTBは、JTBのツアー客は一般の開場15分前に入れるなど混雑するテーマーパークで、貴重な時間を有効に使うような仕掛けをする。USJは15周年ということで大きなイベントが行なわれるが、高木氏は詳細は「今はまだ話せない」とし「15周年のいろんなお楽しみの発表があると思うので、それをストレスなく楽しめる商品を作るのでご期待いただきたい」と語った。

 ディズニーリゾートも貴重な時間を有効に使うという考え方は同じで、ディズニーリゾート閉園時後の夜のホテルのチェックインをスムースにしたり、おむつをはじめ乳幼児利用に必要なアイテムを部屋に用意したプランなどを提供するという。

 そのほかにも、レンタカーを利用した周遊観光の「サンキューチョイスプラン」を価格据え置きながら内容を充実させるほか、石垣島で星空を見る「星空ビレッジ」などを展開する。

 ウェディング商品としては旅と挙式をトータルサポートする「京都和婚」を商品化、寺院での挙式とホテルでの宴会などを含めてトータルでサポートする。

北海道新幹線の開業に向けて乗車するツアーを展開
ユニバーサルスタジオジャパンへの旅は、ストレスフリーの快適さを提案
東京ディズニーリゾートもUSJと方法は異なるがストレスフリーを提案
サンキューチョイスプラン
沖縄の新提案
ウェディングを展開。京都で結婚式をする「和婚」

2016年度は前年比102%を見込む

 大谷恭久社長からは、業績の見込みも発表された。2015年度のエースJTB販売額は年間見込で3100億円(前年比107%)で過去最高を予定。2015年は個人消費の緩やかな回復基調や北陸新幹線開業、9月の大型連休などにより好調だったとした。

 また、2016年は2015年比で102%の3200億円とし、その理由として北海道新幹線の開業、、USJの15周年、東京ディズニーシーの15周年、伊勢志摩サミット開催、京都鉄道博物館の開業、NHK大河ドラマ「真田丸」の放映などを挙げ「プラス要素も多く、国内旅行は堅調に推移すると想定している」と予想した。

北海道新幹線のパンフレットを手にする大谷社長
2015年度上期と年間見込
2016年度は前年比102%を見込む

(正田拓也)