ニュース

JR西日本、キハ40をベースにした観光列車「べるもんた」を報道公開

10月10日から城端線および氷見線で運行開始

2015年9月8日 公開

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は9月8日、城端線および氷見線で運行する観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」を報道陣向けに発表、併せて車内サービスの内容を公開した。

 車両披露と同時に行なわれた挨拶にはJR西日本 執行役員 金沢支社長 野中雅志氏をはじめ、城端線・氷見線活性化推進協議会 高岡市長 髙橋正樹氏、井波彫刻協同組合 理事 髙桑良昭氏、富山きときと企画 取締役兼総料理長 広野一斗氏が出席。

西日本旅客鉄道 執行役員 金沢支社長 野中雅志氏

 金沢支社長 野中氏は「“ベル・モンターニュ・エ・メール”となかなかほかにはない聞きなれない名前になっていますけれども、フランス語で“美しい山と海”ということで、まさしく城端線、氷見線の山漁村、あるいは氷見から見えます富山湾越しの立山、あるいは富山湾であったり、美しい自然の風景を車窓から眺める、そういうコンセプトの列車になってございます。ご覧のようにダークグリーンの車体、メタリックゴールドの帯、ということで大変美しく仕上がっているのではないかと自負しておりますけれども、このような列車が城端線、氷見線の沿線を駆け抜けていく、自然の中に溶け込んでこの列車が走る、ということを想像するだけで非常にワクワクとしてくるわけでありまして、ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいと思います」とアピールした。

城端線・氷見線活性化推進協議会 高岡市長 髙橋正樹氏

 続いてマイクを握った高岡市長 髙橋正樹氏は「城端線、氷見線は4つの市を通っていただいております。高岡が両線の起点、着点となるわけですが、北のほうから順番に氷見線の氷見市、高岡市、城端線になりまして砺波市、南砺市の城端駅が終点になるわけでございます」と前置きしつつ、城端から砺波平野、高岡を抜けて海越しの立山連峰を眺めて魚の町の氷見に着く、と沿線のポイントを紹介。また「沿線4市はそれぞれ食の宝庫」であり、短い距離ではありますがと前置きしつつ「富山湾の海の幸を利用した富山の鮨」や「4市の自慢のおつまみと地酒のセット」を楽しみつつ旅行を満喫して欲しいと語った。さらに、現状ではJRと折衝中とのことながら「現地のガイドが車窓からの風景をご案内する」「降りた駅でそれぞれ地元のおもてなしをする」といった計画があることを明かした。

 車内の彫刻を担当した井波彫刻協同組合 理事 髙桑良昭氏は「城端線は小さいころに通学に利用していて愛着がある。このような列車をずっと皆様に利用して頂きたい」と語った。

 富山空港と富山駅前で寿司屋を展開する富山きときと企画 取締役兼総料理長 広野一斗氏は「べるもんたを利用するお客様にも、沿線4市の名産であったり、お酒、富山湾が誇る海の幸をしっかりと発信していきたい」と抱負を語った。

井波彫刻協同組合 理事 髙桑良昭氏
富山きときと企画 取締役兼総料理長 広野一斗氏
車両の前で記念撮影

列車概要

 列車名のベル・モンターニュ・エ・メールとは、野中金沢支社長が語ったようにフランス語で「美しい山と海」の意。高岡を起点として山側に伸びる城端線、海側に伸びる氷見線を意識したもの。愛称は「べるもんた」。10月より実施される北陸ディスティネーションキャンペーンに合わせて、城端線および氷見線で運行を行なう。種別は快速列車のため特急・急行料金は不要だが、全車指定席となるため乗車券のほかに指定席券(520円)が必要となる。

 運行日は2015年10月10日~2016年2月28日の土曜日および日曜日。ただし2016年1月2日~1月3日は運休。3月以降も運行される予定だが、ダイヤおよび車内サービスの内容は後日発表となる。

土曜日

氷見方面(停車駅は新高岡、高岡、伏木、雨晴、氷見)

列車名新高岡発高岡着高岡発氷見着
ベル・モンターニュ・エ・メール1号11時12時11時15時11時33分12時04分
ベル・モンターニュ・エ・メール3号14時58分15時01分15時30分16時14分
ベル・モンターニュ・エ・メール2号12時14分12時45分13時12分13時15分
ベル・モンターニュ・エ・メール4号16時26分16時56分--
日曜日(停車駅は高岡、新高岡、砺波、福野、福光、城端)
列車名高岡発城端着
ベル・モンターニュ・エ・メール51号9時35分10時19分
ベル・モンターニュ・エ・メール53号12時52分13時42分
ベル・モンターニュ・エ・メール52号10時33分11時15分
ベル・モンターニュ・エ・メール54号14時14分15時01分

 同列車は以前の記事でも紹介しているように、窓枠を額縁に見立て山と海の変化に富んだ美しい車窓が楽しめる「走るギャラリー」がコンセプトとなっている。今回、車両の公開に合わせて車内に「井波彫刻」を展示していることを発表。井波彫刻は江戸時代中期から続く富山県南砺市の伝統工芸で、海側には五箇山合掌造りや「こきりこ踊り」をモチーフにした作品、城端線沿線の散居村から眺めた山々をモチーフにした2作品を展示。山側には南砺市を代表する花である「シャクナゲ」「菊」「水芭蕉」「椿」「ささゆり」「雪割草」をモチーフとした6作品、計8作品を展示することで車窓だけでなく車内もギャラリーとして楽しめることになる。

高岡側から見た海側側面。眺望を確保するために大きなウィンドウが2枚設けられた
高岡側
氷見側
方向幕にはひらがなの愛称とフランス語を併記
山と海、レールなどをモチーフにしたロゴマーク
種車はキハ40 2027
スカートもメタリックゴールド
形式などの表示
山側側面。右が高岡側
高岡側海側の先頭部
山側窓はオリジナルのまま
ルーフもメタリックゴールド
側面の車番表示とロゴマーク
高岡側から見た車内。海側がカウンター席になる
氷見側からみた車内
釣り手部分は天然木
飾りの木製キューブには銅箔が貼られ側面には砺波、高岡、南砺、氷見のマークが入る
室内灯のガードも木製
指定席扱いとならない車端部のロングシート
ロングシートとカウンター席のパーティション部分には五箇山合掌造りなどをモチーフにした作品が飾られている
山側のロングシート
パーティション部分には植物をモチーフとした作品
木のカウンターとシートが並ぶ海側席
シートの背もたれ部分には作り付けのグリップとともに席番号のシールが貼られている
山側の2名がけシート
山側のボックス席。テーブルは折りたたむことが可能
氷見側にあるパーティションは城端線沿線風景がモチーフ

 同時に車内サービスも発表された。この新たな取り組みは富山ならではの「食」が楽しめるもので、「ぷち富山湾鮨セット」と「ほろ酔いセット」の2つのメニューが用意される。

ぷち富山湾鮨セット

 漁場と漁港が極めて近いことから「天然の生簀」と称される富山湾の地魚(※)と富山県産米を使った「富山湾鮨」。鮨職人が車内で握る鮨5貫と、ペットボトルの「氷見はとむぎ茶」をセットにして提供する。提供列車は昼食時間前後に運転されるベル・モンターニュ・エ・メール1号、2号、53号、54号。3日前までにツアーサイト「VISIT富山県」で予約する必要があるが、車内でも数量限定で発売される。また、提供時間の都合上、新高岡・高岡~氷見、高岡・新高岡~砺波以遠の駅まで乗車する必要がある。価格は2000円。

※天候の都合により地魚が仕入れられない場合、事情を説明の上、富山湾産以外を使う場合もある

ほろ酔いセット

 城端線および氷見線沿線の造り酒屋の地酒とおつまみのセット。地酒は4種類から1種類を選ぶことができ、おつまみは沿線4市の珍味がセットになる。こちらはすべての列車で販売され予約も不要だが、数量限定となる。価格は1500円。

ほろ酔いセットは職人がその日のオススメを握ってくれる
取材日は解禁となったばかりのベニズワイガニ、アカイカ、白エビ、カンパチ、クロダイの5貫盛だったが、時期や入荷状況により変わってくるという
ほろ酔いセットは地酒とおつまみのセット

(安田 剛)