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JR西日本、七尾線の観光列車「花嫁のれん」の車内サービスを発表

和軽食やスイーツ、純米吟醸酒、おつまみと和装アテンダントのユニフォームをお披露目

2015年9月9日発表

2015年10月3日 運行開始

「花嫁のれん」車内サービス発表会の登壇者記念撮影。右から西日本旅客鉄道 取締役兼常務執行役員 営業本部長 堀坂明弘氏、女優 羽田美智子さん、パティシエ 辻口博啓氏、西日本旅客鉄道 執行役員 金沢支社長 野中雅志氏

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は9月9日、「北陸デスティネーションキャンペーン」に合わせ、七尾線 金沢駅~和倉温泉駅間の観光列車「花嫁のれん」を10月3日より運行開始するにあたり、車内サービスとして提供される軽食やスイーツ、車内アテンダントのユニフォームなどを発表した。

 「花嫁のれん」はキハ48気動車(キハ48 4、キハ48 1004)を改造した2両編成の列車で、北陸の伝統工芸である輪島塗りや加賀友禅をイメージした外観と、車内は赤と黒を基調した座席に、金沢の金箔や輪島塗りで彩られた車内装飾が特徴となっている。車両の公開時の様子は、下記の関連リンクの記事にて詳しく紹介しているので、そちらを参照していただきたい。

 「花嫁のれん」の運行日は、10月3日~2016年2月28日の土曜、日曜、祝日と、12月8日を除く10月3日~12月29日の月曜、火曜、金曜、2016年2月12日に2往復運転される。乗車するには、運賃のほか特急指定席券(全車指定席)が必要となる。指定券は、乗車日の1カ月前よりみどりの窓口および主な旅行会社で発売する。

観光列車「花嫁のれん」
石川の伝統工芸「加賀水引」がモチーフの前面ロゴマーク
2号車車内。イベントスペースを備える
2号車車内。180度回転し、車窓を楽しめる
1号車車内
1号車物販と伝統工芸品を展示スペース。金箔で装飾されている

 会場では車内で提供される軽食の実物展示があった。食事を希望する場合、別途「食事券」の購入が必要。対象の列車に必要な乗車券と特急券を持っている場合、もしくは同時購入の場合に販売される。食事も楽しみたい場合、同時に購入するとよいだろう。購入はJR西日本、JR四国、JR九州の「みどりの窓口」またはJR東日本の「びゅうプラザ」、および主な旅行会社、JR西日本電話予約サービス(クレジット決済のみ)にて事前申し込みにて販売される。メニューは、季節や仕入れ状況により、内容が変更になる場合がある。

 乗車する列車によって提供セットが異なるが、金沢駅から和倉温泉駅行きはすべて「スイーツセット」、和倉温泉駅12時07分発の「花嫁のれん2号」がお弁当の「和軽食セット」(2500円)、和倉温泉駅16時30分発が「ほろよいセット」と、食事の時間帯を考慮したセットが設定されている。

 「花嫁のれん2号」の「和軽食セット」では、「加賀屋」の総料理長が監修した能登特産の食材や石川の郷土料理などが楽しめる。メニューは、ごま豆腐、はたはたの南蛮漬け、甘鯛の西京焼、玉子巻、ごりとくるみの佃煮、栗甘露煮、能登豚かつ揚げ、金時草入り餅麩揚げ、金沢ぎんなんの塩煎り、治部煮、能登大納言入赤飯、のどぐろとますの押し寿司。ソフトドリンクとして加賀棒茶が付く。

「花嫁のれん2号」で提供される「和軽食セット」
「和軽食セット」はパッケージも美しい

 「花嫁のれん1号」と14時15分発の「花嫁のれん3号」では、パティシエ 辻口博啓氏による「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」のオリジナルセレクトスイーツと石川の老舗「ダートコーヒー」による、花嫁のれんオリジナルブレンドコーヒーまたは加賀棒茶のセットを「スイーツセット」(2000円)として提供。オリジナルセレクトスイーツは、生菓子のマッチャ、焼き菓子として能登紫芋サブレ、輪島発芽玄米サブレ、中島菜サブレ、能登金時バウム、大麦バウム。

パティシエ 辻口博啓氏による「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」のオリジナルセレクトスイーツ
能登紫芋サブレ、輪島発芽玄米サブレ、中島菜サブレ、能登金時バウム、大麦バウム
スイーツのパッケージ
生菓子のマッチャ

 「花嫁のれん4号」では、「ほろよいセット」と称して、「加賀屋」の総料理長の監修による石川ならではの珍味を揃えた和総菜と能登の酒造メーカー宗玄酒造の純米吟醸酒(花嫁のれんオリジナルラベル)のセットを楽しめる。価格は2000円。

 和総菜のメニューは、金時草の胡麻みそ和え、はたはたの南蛮漬け、大粒さざえの糀漬け。これに純米吟醸酒とソフトドリンクの加賀棒茶が付く。

「花嫁のれん4号」で提供される「ほろよいセット」

 あわせて車内アテンダントのユニフォームも発表された。加賀屋監修による和装ので、加賀屋の客室係1名と加賀屋で研修を受けたJRグループ会社社員2名の計3名が乗車する。

加賀屋監修による和装の車内アテンダント
西日本旅客鉄道 取締役兼常務執行役員 営業本部長 堀坂明弘氏

 冒頭の挨拶で、西日本旅客鉄道 取締役兼常務執行役員 営業本部長 堀坂明弘氏は、「おかげさまで北陸新幹線も今年3月から運行いたしまして、たくさんのお客様にご利用いただいています。いよいよ10月3日に七尾線の観光列車『花嫁のれん号』が運行開始します。本日はその車内でのサービスの発表です。10月から3カ月間、JRグループ6社で『北陸デスティネーションキャンペーン』を行ないます。石川県の能登、加賀エリアをはじめ、北陸エリアに北陸新幹線を利用して、たくさんの方々にお越し頂きたいと思います」とスピーチした。

西日本旅客鉄道 執行役員 金沢支社長 野中雅志氏

 続けて、西日本旅客鉄道 執行役員 金沢支社長 野中雅志氏が、「観光列車『花嫁のれん号』を走らせるにあたり、北陸の魅力というものを大いにアピールしたい。“和と美のおもてなし”をコンセプトを掲げて、地元伝統工芸の輪島塗、加賀友禅をイメージさせる外観に仕上げています。金箔を施し、地元の風景が映える内装にしています。地域の活性化も併せてやっていきたいと考えています。車内にはパフォーマンスができるスペースがあり、地元の皆様とおもてなしパフォーマンスとして『楽市楽座』を展開していきます。地元の伝統工芸品の展示もしていきます」と地元としての思いを述べた。

オリジナルセレクトスイーツセットを監修したパティシエ 辻口博啓氏

 オリジナルセレクトスイーツセットを監修したパティシエ 辻口博啓氏は、「プチガトーという生ケーキは、抹茶を使っています。石川県はとてもお茶の文化が盛んですので選びました。抹茶のムースの中に能登大納言、アプリコットを加えて甘みと酸味を味わえます。抹茶が醸し出す余韻を楽しみながら、食べていただくというコンセプトのケーキを用意しました。焼き菓子でも能登の素材をふんだんに使っています。大麦バウムはクオリティの高い小松産の大麦を使っています。大麦はグルテンを持っていないので、胃もたれしにくく、スッと体に入っていきます。能登には美味しい金時サツマイモがあります。蒸して裏ごししてペースト状にし、バームクーヘンにした能登金時バウム。また紫芋と香ばしい白ゴマと合わせたサブレ。輪島の発芽玄米と、現在放映中の朝の連続テレビ小説『まれ』に登場する揚げ浜塩田の塩を合わせた輪島発芽玄米サブレ。能登にしかない野菜の中島菜を使ったサブレ。中島菜は苦みがありますが、苦みを旨味に昇華させています。地産地消で、そこで採れた素材を旅で楽しんでいただきたい」と、スイーツセットの内容を解説してくれた。

 辻口氏は、地元の七尾市出身。現在朝の連続テレビ小説「まれ」はパティシエがテーマになっていて、そのケーキの監修もしている。石川県の食材を使ったスイーツ開発はほぼ同時進行だったそうだ。今後は、おいしい地酒を使ったスイーツにも挑戦したいとのこと。お店の「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」は、石川県から富山県に5店舗展開している。辻口氏おすすめは「YUKIZURI」というお菓子。北陸でしか手に入らないもの。

女優 羽田美智子さん

 ドラマ「花嫁のれん」(2015年1月~3月に第4シリーズが放送された)に出演した女優 羽田美智子さんも登壇し、開口一番、ドラマ撮影中に「花嫁のれん」号が運行されると聞いて、ドラマの撮影のためかと勘違いしてしまったというエピソードを披露して会場を沸かせた。伝統を踏まえたうえで発展を続けている石川県は、発見できていない見どころがたくさんあり、それを皆さんに広くお伝えしたいと、体験も交えてアピールした。

パティシエ 辻口氏のスイーツ解説中には、報道陣に生菓子の試食が提供された
一本杉通り振興会から借りてきた実物の花嫁のれんの特別展示

 会場には、七尾市の一本杉通り振興会から借りてきたという実物の花嫁のれんの展示もあった。近くでみるととても美しい。花嫁のれんは、旧加賀藩の加賀、能登、越中に見られる幕末から明治にかけて始まった風習で、実家の紋を入れた色鮮やかなのれんを娘に持たせ、嫁ぎ先の仏間の入口にかける。仏前にお参りしてから結婚式を始める。なお、一本杉通り振興会では、10月3日と4日の2日間、秋の「花嫁のれん展」を特別開催する。

 この秋、能登の食や和と美、そして和倉温泉を堪能しに、北陸新幹線と「花嫁のれん」号で北陸の特別な旅を計画してみてはいかがだろう。予約の競争率は高いと予想されるので、早めに動いたほうがよいだろう。

花嫁のれん近景。幕末から明治にかけて始まった旧加賀藩(加賀、能登、越中)の風習で、婚礼のさいに幸せを願い色鮮やかなのれんを娘に持たせる

(村上俊一)