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成田国際空港、悪天候時の混乱を想定した緊急対応訓練実施

2016年6月23日 実施

 NAA(成田国際空港株式会社)は6月23日、国土交通省 航空局、法務省 東京入国管理局 成田空港支店、成田国際空港警察署など関係機関参加のもと、悪天候時を想定した緊急対応訓練を実施し報道関係者に公開した。この訓練は悪天候などによるフライトスケジュールの乱れや、他空港からのダイバートなどにより成田空港への着陸機が夜間の一定時間に集中する事態を想定し、入国審査場の混雑緩和や、夜間時の都心へのアクセス確保のための関係機関間の連携強化を図るなど、対応力向上を目指したものだ。訓練には約250名(うち乗客役は150名)が参加。成田空港の今後の需要増を見越した混雑時の混乱の大規模化にも対応するとのことだ。

 公開された訓練は、まず入国審査場に人があふれ、混乱が予想されるケース。入国審査官の増員による窓口拡大とともに、空港のスタッフによる入国審査を待つ乗客のスムーズな誘導が明暗を分けるケースだ。NAAスタッフは緊急対応に向け現場で情報を共有、そして誘導体制についての打ち合わせを行なう。その後各々の持ち場に分かれ、入国審査場の手前に設置されている検疫のゲートで飛行機から降り入国審査場に向かう乗客の誘導を行なう。この際、車椅子利用の乗客、妊婦、子供連れ、病人が優先的に進めるような配慮をしたうえで日本人、外国人、再入国者を分類しそれぞれの列に誘導する。

まず入国審査官など他の関係機関との打ち合わせを行なうNAAのスタッフ
この後の対応について情報を共有するNAAのスタッフ。警備会社の動きも慌ただしくなってきた
さまざまな方向からやってくる乗客
乗客の列に歩み寄り子供連れや車椅子を利用する乗客らを優先的に誘導する
入国審査場が混雑しているという想定なので、検疫ゲートの手前の時点で日本人、再入国者、外国人それぞれを分け、誘導していた
NAAスタッフ、警備会社ほか関係各所による連携も訓練の大切な目的の一つ
イライラして不満をぶつける乗客、混乱状況をカメラに収めようとカメラを準備して入国審査場に入ろうとする乗客などの対応も行なう

 入国審査場における誘導訓練終了後、今度は訓練現場を屋外のバス・タクシー乗り場に移す。夜間という想定なので、入国審査に時間がかれば都心やそのほかの目的地へ向かう交通機関が途絶えてしまう。そのためNAAは、緊急時にはバスやタクシーを手配し、乗り場への案内誘導を行なう必要がある。今回の訓練では入国審査場同様緊急時に妊婦や病人に配慮しながらもスムーズな誘導を行なっていた。

屋外のバス・タクシー乗り場での対応でも、まず状況の把握や誘導方法の確認が一斉に行なわれる
配置につくスタッフ。すでに鉄道は終わっているという想定なのでバス利用者とタクシー利用者へそれぞれへの誘導だ
訓練のための臨時バス乗り場とタクシー乗り場が設置された
空港を出る乗客。タクシー乗り場は道を渡った先にあるため、警察官が安全確保を行なった
タクシー乗り場への誘導
スムーズな出発のためスタッフ自ら荷物の積み込みも手伝っていた
バス乗車までの誘導
ここでも病気の人や子供連れの負担を減らすべく優先乗車を実施
先発のバスに乗れずスタッフに詰め寄る乗客
バスを待つ長蛇の列と、スーツケースの積み込みなどを行なうスタッフ

 2つの訓練はどちらも「スムーズな誘導」というシンプルな目標だが、緊急時には訓練の経験なしに行なうことは難しいものだろう。複数の関連機関との共同作業ならなおさらであり、今回のような緊急対応訓練の実施は非常に大切だ。