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航空連合、マンパワー不足解消に向け「空港で働く魅力発信プロジェクト」記者説明会を開催

Webサイト「空港の裏方お仕事図鑑2017」や動画「働く空港あるある!?ソング ~裏方編~」を公開

2017年4月11日 開催

JFAIU(航空連合)は「空港で働く魅力発信プロジェクト」に関する記者説明会を開催した

 JFAIU(Japan Federation of Aviation Industry Unions:航空連合)は4月11日、空港のマンパワー不足に対する取り組み「空港で働く魅力発信プロジェクト」に関する記者説明会を開催し、同日付けでWebサイト「空港の裏方お仕事図鑑2017」を公開したことを発表した。

 JFAIUは、航空関連産業で働く労働者・労働組合によって1999年10月に結成された航空産業における最大の労働組合。2017年3月現在で54の企業別組合、3万8125人(うちCA:客室乗務員は1万人)で構成され、ナショナル・センター「連合」に加盟している。

航空連合 会長 松岡宏冶氏

 説明会においては、航空連合 会長の松岡宏冶氏が登壇し、プロジェクトに関する解説の前に航空連合や航空業界のトレンドについてまずは語った。航空連合は結成してから今年で18年目を迎え、ANA(全日本空輸)のグループ各労組、JAL(日本航空)のグループ各労組、ホテルや空港ビル関連労組など、全国約20カ所の空港と関連施設の労組によって構成されており、労働条件の向上、産業政策の提言、組織サポートを行なっている。

 産業政策の提言とは、よりよい航空産業にしていくため、国土交通省の航空局をはじめとする関連各所と協議しながら是正していくものであり、一例としては2004年に施行された「機内迷惑行為防止法(航空法の改正)」が紹介された。

 かつてはCA(客室乗務員)などに対する乗客の迷惑行為に対しては誠意で応ずるしかないといった状況であったが、労働組合としてさまざまな方面へ働きかけることで法律の後ろ盾を得ることができたとのことだ。

航空連合はANAやJALをはじめとした54の労働組合で構成されている
航空連合の活動概要を紹介したスライド

 次に日本の空港の現状を紹介。全国には97の空港があり、年間着陸件数は約124万5000回(2015年)、1日平均では約3400回を数える。その運航を支える空港の従業員数は、羽田空港で約3万5000人(2011年)、成田空港で約4万6000人(2014年)となっている。

 航空業界のトレンドについては、国内航空旅客輸送については微増の9606万人(2015年)、国際航空旅客輸送については右肩上がりの7904万人(2015年)となっており、そのなかで訪日外国人旅行者数は2404万人(2016年)と過去最高を記録。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後もますますインバウンド需要が高まると予想されることから、現状の約2倍から3倍の訪日外国人旅行者を空港で受け入れる必要性があるとのことだ。

国内線の旅客輸送は微増だが、国際線は過去最高の数字を記録。訪日外国人旅行者の95%は航空利用者であり、政府が掲げている構想からもますますの増加が見込まれている

 本題の「空港で働く魅力発信プロジェクト」発足の経緯としては、2014年頃に空港において「採用が計画どおり集まらない」「離職者が増加している」という多くの声が聞かれ、今後の航空需要の増加、生産年齢人口の減少などといった現状を分析した結果、「航空関連産業で働くことの魅力の向上と発信」を政策提言に加えることを決定。

 若年層に航空業界に対する関心を持ってもらうための情報の発信や各種イベントを定期的、継続的に開催し、企業だけに任せきりでない、航空連合独自の取り組みを行なっていくことにしたそうだ。

組織の枠組みにとらわれず、現場の目線で魅力ある情報発信をしていくことで航空業界に関心を持ってもらうのが狙い

 その情報発信の柱として、同日の14時から公開されたWebサイト「空港の裏方お仕事図鑑2017」を紹介。コンテンツは、動画、インタビュー記事、マンガが用意されており、もともと航空業界に関心を持っていない若年層に向けた内容となっている。

 空港業務を紹介する職種については、数あるなかから特に要望の多かった「グランドスタッフ」「グランドハンドリング」「貨物」の3つの職種をターゲットとして設定。北は新千歳から南は那覇まで、全国の空港職員100名以上にヒアリングを実施して、働くものの視点から実態や魅力を紹介している。

「企業の採用イメージ広告と圧倒的に違うのは、現場のリアルを生々しく伝えたいという思いがあります。ただ、あまりにも泥臭くなってしまうと現場の人を傷つけたりイメージダウンにつながってしまうので、そのあたりのバランスに苦慮しました」と松岡氏は語った。

Webサイト「空港の裏方お仕事図鑑2017」では、動画やインタビュー、マンガといったコンテンツを用意
動画の第1弾として制作された「働く空港あるある!?ソング ~裏方編~」はポップなミュージックに合わせて、グランドスタッフ、グランドハンドリング、貨物の仕事内容を紹介。テンポのよさとクスリと笑ってしまうセリフが秀逸な作品

 今後は、5月に動画の第2弾がアップされる予定であり、インタビュー記事やマンガは週1回のペースで更新していくとのことだ。そのほか、8月2日には、毎日メディアカフェ&毎日小学生新聞が開催する「学びのフェス in 夏」にも出展し、広報だけでなく体験型の情報発信も用意しているそうだ。

 将来的には現在の3職種だけでなく、ほかの職種も紹介していき、航空業界全体の持続的な発展に貢献できればとしている。情報については、航空連合のWebサイトやFacebook、Twitterでも発信していくと話した。

Webサイトでの情報発信と並行して、体験型のイベントも用意。同組合のWebサイトやFacebookといったSNSでも情報を発信していくとのこと
「働く空港あるある!?ソング ~裏方編~」