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NEXCO中日本、3月19日開通の中部横断自動車道 六郷IC~増穂IC間の見学会を実施

中央道から山梨南部への利便性が向上。安全対策を施した設備やトンネル内事故を想定した連携訓練の様子も披露

2017年3月15日 実施

2017年3月19日 開通

中部横断自動車道の富士川橋の南(六郷側)から北(増穂方面)を見たところ

 NEXCO中日本(中日本高速道路)は3月15日、開通を19日に控えた中部横断自動車道の六郷(ろくごう)IC(インターチェンジ)~増穂(ますほ)IC(9.3km)間において、報道向けの見学会を実施した。

 火災を伴うトンネル内事故の発生を想定した防災訓練も行なわれ、さまざまな安全対策を施した設備とともに、万全の体制で開通に臨むことをアピールした。

構造物の多い積雪地域に対応する多様な安全対策

富士川橋の南(六郷側)から北(増穂方面)を見たところ

 中部横断自動車道は、増穂ICから中央自動車道 双葉JCT(ジャンクション)まで、山梨県の南北に伸びる自動車専用道路。3月19日15時に開通するのは、さらにその南にある六郷ICから増穂ICまでの延長約9.3kmとなる。開通により、営業区間は延長約25.3kmとなり、山梨県南側から周辺都市へのアクセス性が向上するとしている。

中部横断自動車道の六郷IC(インターチェンジ)~増穂IC(9.3km)が開通する

 将来的に、南は新東名高速道路 新清水JCTから、北は上信越自動車道 佐久小諸JCTまで、延長約132kmの「太平洋側と日本海側の連携を深める広域観光ゾーン」の形成に寄与する高速道路として完成する計画。現在のところ、そのうち新清水JCT~富沢間の約20.7kmの建設が進められ、2018年度に開通する予定となっている。

 六郷IC~増穂IC間には、今回報道陣に公開された八之尻トンネル(2.469km)のほかに、宮狩トンネル(2.892km)、原トンネル(751m)という計3つのトンネルと、富士川をまたぐ富士川橋(823m)に加え、富士川本線料金所、上下線の増穂PA(パーキングエリア)といった構造物、施設が含まれる。

富士川本線料金所
山梨県では初となる高速道路ナンバリング「E52」も表示される。平行して走る国道52号から付けられた

 9.3kmのうち66%がトンネル、15%が橋梁という構造物の多い同区間は、積雪地域であり、特に富士川橋付近は霧の発生しやすい場所であること、4車線分の用地を確保しつつ暫定的に対向2車線で開通したこともあって、防災や安全を考慮した工夫が各所に施されている。詳しくは以下の写真とともにご覧いただきたい。

八之尻トンネル(六郷方面)
トンネルのほぼ中間地点に1箇所あるアクセント照明。高速道路ではあまり見られない青い明かりで照らし、漫然運転を防止する
トンネル内に50m間隔で設置されている消防設備。消化器と消火栓、一体型の火災検知器を備える
左右両方向の一定範囲の火災を検知する
トンネル出入口付近には火災検知器が単体で設置。トンネル内方向のみ検知する
トンネルのすぐ外にも給水・送水栓
非常電話はトンネル内に200m間隔で設置。壁に埋め込まれたボックスタイプとなっている
トンネル内はオレンジのポールコーンで車線が区切られる。すべてが同じ長さかと思いきや……
通常は手前にある65cm高のポールだが、カーブ区間だけ80cmと高くなっている。ドライバーが壁を感じて慎重に走行することを狙ったもの
トンネルの路面に近いところはタイル張り。クルマのライトなどを反射し、明るく見えるようにする。汚れにくく、メンテナンス性が高いとしている
道路脇の反射板。クルマの走行風などで回転し、ドライバーに注意を促す
回転することで羽に付いたブラシが反射面を掃除し、常にきれいな状態を保てる
天井に設置されている換気設備、照明やそのほかのほとんどが別途ワイヤーなどで結び付けられ、万が一の脱落を防止する
トンネル外にある標識
これも裏側から見るとワイヤーで脱落防止対策がとられている
トンネル外はグリーンのポールコーン
各車線の両サイドにある凹凸で、車線逸脱時にドライバーに対して警告する
よく見ると盛り上がりはなく、削り取られた連続する凹みとなっている。冬期間は積雪時に除雪することがあり、凸部があるとその際に削れてしまうため
霧が発生しやすい富士川橋には、反射板ではなく自発光デリネーターが20m程度の間隔で設置されている
下り線の増穂PA。駐車場のみがあり、隣接する既設の「道の駅富士川」に徒歩でアクセスできる
下り線の増穂PAの入口では、ランプ交差を分離して一方通行とすることで逆走を防止
外構工事が進められる上り線の増穂PA。駐車場に、トイレと情報端末などが設置された休憩用の建物が1棟。自動販売機は設置されるが店舗はない
上り線の増穂PAの入口から開通積みの双葉JCT方面を見たところ

防災ヘリコプターも出動した活動連携訓練の様子

 当日はNEXCO中日本、高速道路交通警察隊、峡南消防、都留市消防、笛吹市消防、南アルプス市消防など関係機関が連携した、防災訓練も実施、公開された。

中日本高速道路、高速道路交通警察隊、峡南消防、都留市消防、笛吹市消防、南アルプス市消防など関係機関が連携する防災訓練も実施した
ハンドル操作を誤って対向車線に飛び出し、乗用車同士が正面衝突。後続のマイクロバス、乗用車1台が追突し、火災も発生したという想定で行なわれた
正面衝突した2台には、自力脱出が不可能となったドライバーの救出が必要
駆けつけた高速隊員により状況確認が行なわれる
続いて峡南消防が到着
油圧カッターが取り出され、車両を切断して救出を図る
担架に乗せられた傷病者が、トンネル外に緊急に設置されたエアーテントへ搬送される
すでに通行規制が行なわれていた
現場指揮本部も設置され、無事救助された人たちが休憩
エアーテントの外観
エアーテントの中では応急処置が施されている
待機していた救急車に乗せられ、増穂PA方面へ
現場付近を消防防災ヘリコプター「あかふじ」が旋回
道の駅 富士川の近くにあるヘリポートに着陸し、救急患者を乗せると、再び飛び立った
中部横断道 六郷~増穂の3月19日開通を祝して配られたどら焼き