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世界初ウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」製品発表会
2017年2月2日 00:00
- 2017年6月 サービス開始
ログバーは1月31日、世界初のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」の製品発表会を行なった。発表会では、製品説明のほかに、イリーの使用体験も用意されていた。詳しい製品のスペックなどについては「ログバー、世界初のウェアラブル翻訳デバイス『ili(イリー)』正式発表」を見てほしい。
吉田氏の「こんなものが欲しい」という思いからイリーを開発
製品発表会の冒頭で、旅行先での一場面を再現したログバー 代表取締役CEOの吉田卓郎氏は、海外旅行の問題点として、スムーズに買い物ができない、自分の要求が伝えられないという“言葉の壁”を課題として提示した。
自身でも5年間の海外経験がある吉田氏は、電子辞書やガイドブック、常にインターネット環境を気にしなければならないスマートフォンは円滑なコミュニケーションを取りにくかったという経験から、その解決策として「ili(イリー)」を開発することになったと経緯を語った。
今回ログバーから発表されたイリーは、旅先でのコミュニケーションを助ける音声翻訳デバイスとなっている。言語は英語、中国語、日本語の3カ国語に対応。これを使用すると、旅行先で簡単にコミュニケーションを取ることができるという。
イリーの大きな特徴は、自分の言った言葉がそのまま翻訳されるというシンプルなところ。吉田氏は、「タクシーに乗りたいとき、イリーを通して『タクシー乗り場はどこですか』というと『Where is the taxi stop?』と瞬時に翻訳をしてくれる」と例を紹介した。この例での翻訳までの時間は0.2秒、スマートフォンやアプリで検索するよりも早く自分の要求を伝えることができる。
また吉田氏は、イリーの強みとして「翻訳方向は、自分の言いたいことだけを伝える一方向だけにフォーカスしているので、どこに行っても会話が成り立つ」ことを挙げた。
余計な機能がないシンプルなつくり
イリーは、ボタン一つですべてが成り立つシンプルなデザインが採用されている。大きさはポケットに入る大きめのリップスティック程度、バッテリーは1日もつという。
開発段階では、ボリューム調節機能が付いていたが、余計な動作を省く代わりに「リピート機能」を採用しスムーズな会話のやり取りを実現したという。
また、イリーの翻訳性能について吉田氏は、「一般会話よりも旅行会話にフォーカスしているので、ショッピングや食事など、旅行で行くようなところで使用できるフレーズを多く収録した」と語った。
実用化に向けた取り組みとして、旅行関係の事業者向けのビジネス「ili for Guest」を展開
ログバーは、イリーの実用化に向け、はじめに法人向けサービス「ili for Guest」を2017年6月から開始すると発表した。
主に海外ホテルや旅行を提供する事業者と提携してイリーのレンタルサービスなどを行ない、旅行者の満足度向上や、ホテル側のサービス提供に貢献していくという。
吉田氏は、現在の取り組みとしてハワイを例に挙げ、「ハワイ州観光局では、イリーを公認プロダクトとして認定しており、今後は現地の事業者と協力して、旅行者がイリーを気持ちよく使えるよう環境作りに力を入れていく」と語った。
また日本では、2016年の公開から1年間で各社とイリーを使った取り組みを行なっていることを報告した。全国に150モール、地方の出店が多いイオンモール 営業統括部 インバウンド推進グループの趙氏は、「2度の使用実験で双方向で使用し、スタッフとお客さまの満足度が高かった。今後は『欲しい』サービスを提供し続けたい」と語った。
東京メトロ(東京地下鉄)経営企画本部 企業価値創造本部の小泉氏は、近年の海外旅行者の増加を挙げ、「今後は現状の案内所や駅係員の強化、案内板や車両内ディスプレイの多言語化を進めていく」とし、ログバーも、「オフィシャルパートナとしても、2020年の東京オリンピックに向け、快適に利用できる東京を目指していく」と応えた。
また、レンタルWi-Fiサービスなどを手がけるビジョンの佐野氏は、4月下旬から全国13カ所の空港でイリーのレンタルを開始することを発表した。