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「CEATEC JAPAN 2016」で展示された未来の旅を感じるテクノロジ(3)

レノボ・ジャパンやパーツメーカー、そのほかの展示を紹介

2016年10月4日~7日 開催

CEATEC JAPAN 2016に出展するレノボのブース

 10月4~7日に幕張メッセで「CEATEC JAPAN 2016」が開催されている。前記事に引き続き、CEATEC JAPAN 2016内でのトラベル関連展示をレポートする。

「レノボ・ジャパン」ではインバウンド観光向けの実証実験展示

 レノボ・ジャパンのブースは、PCやスマホを活用したさまざまな技術展示。観光関連では、NECレノボ・ジャパングループにて、経済産業省の「おもてなしプラットフォーム(インバウンド消費の拡大に向け、IoTを使った新ビジネス創出と事業者間連携。2020年までに社会実装されることを目標にしている)」の実証実験ブースの出展があった。

 実証実験にはビーコンや指紋認証などが使われている。ビーコンは、特定の場所で電波を発して、その位置など情報を知らせる。その電波エリアでのみ受信可能なため、エリアを限定したサービスなどに使われる。指紋認証は、CEATEC JAPAN 2016に出展している「Liquid Pay」の技術を使っている。Liquid Payでは、決済だけではなく、旅程内の保険加入やレンタカー、免税手続きなど、すべて指紋認証に置き換えることを目標にしている。指紋をスキャンするが保管はせずに、特徴点を数値化したうえで暗号化して活用するという。

観光関連、鎌倉での取り組みコーナー
経済産業省の「おもてなしプラットフォーム」実証に参画
鎌倉で利用するスマホアプリ。「いざマイル」
歩いた距離に応じてマイルが貯まったり、クーポン配布などの機能がある
アプリの画面解説
同様の取り組みは渋谷でも行なわれる。ビーコンを使って特定エリアでサービスを行なう
利用されるビーコン
渋谷・原宿エリアのビーコン
ビーコンを受信してクーポン配布などのサービスを行なう
CEATEC JAPAN 2016に出展する「Liquid Pay」の指紋認証システムの例。Liquid Payブースにて撮影
NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)ブースでの「おもてなしプラットフォーム」の生体認証サービスの解説パネル

鉄道向けケーブルを展示した「タイコ・エレクトロニクス・ジャパン」と「日本航空電子工業」

 タイコ・エレクトロニクス・ジャパンは、スイスに本社があるTE Connectivityの日本法人。コネクタやセンサ製品などを扱うメーカー。ブース前面の特設ステージで「TE VRハンググライダー」を実演し、注目を集めていた。もちろんハンググライダーのケーブルやセンサなどのパーツには同社の製品が使われている。ブース内では鉄道や航空関連のパーツ展示があった。

タイコ・エレクトロニクス・ジャパンのブース
VRハンググライダーの体験
鉄道向けパーツのコーナー
鉄道用M12コネクタ。イーサネット、4ピン、Dコード仕様。もちろん防水
MIMO対応の698~600MHz対応屋根上アンテナ。オプションでGPSも付けられる
2G/3G/4GとGPS、無線LANのMIMOに対応するアンテナ
路面電車などLRT向けLTE通信アンテナ。MIMO対応で背が低いのが特徴
非接触コネクタのデモ。手前に接触してないコネクタがある。スイッチを押すと電車の模型が動く
航空機向けのパーツ。主に戦闘機向け
EV向けの充電用プラグとインレット

 コネクタやスイッチを扱う日本航空電子工業ブースにも鉄道向けのケーブルが展示されていた。

日本航空電子工業ブース
鉄道車両関連コーナー
鉄道車両の床下機器用の丸形コネクタ。もちろん防水でワンタッチ嵌合
鉄道車両の床上機器用の汎用角形コネクタ
日本航空電子工業は多様なコネクタを扱っている

多言語翻訳ソリューションを展示する「QR Translator」

 QR Translatorは、スマホなどを使ってQRコードからアクセスして多言語翻訳ページを表示させるWebサービス。

 パンフレットやポスターに取得したQRコードを印刷しておけば多言語対応できるので、わざわざ複数言語版を用意する費用が省ける。用意した翻訳文を登録できることはもちろん、ケースに応じて機械翻訳も利用でき、そのどちらを表示するかは最適化されている。

 非営利団体であればトライアル版を無償で利用でき、もっとも安価なプランなら1コードあたり年間6000円から。QRコードを読み取る無償アプリ「QR Translator」も配布している。

QR Translatorのブース
QR Translatorの解説パネル
さまざまな実例を展示。伏見稲荷神社の例
QRコードからアクセスした画面例
メニューから別言語の中国語に切り替えたところ
言語選択の画面
多言語対応でのアンケート調査も行なっている

やはりAI、AR、IoTをベースに進化することを予感させる

 そのほか、目に付いたブースを紹介する。産業技術総合研究所 人工知能技術コンソーシアムでは、対話型サイネージを使いさまざまなデータを収集するサービス接点対話端末「POSEIDON」や、ビッグデータから見込み客を分析するパッケージソフト「Target Finder」を実演していた。Target Finderは、分析に「PLSA(確率的潜在意味解析)」という手法を使い、「誰が(ID)」「何を(品名)」「どれくらい(数量)」という3要素から、嗜好の異なるユーザーにもお勧めの商品を提案できる。

産業技術総合研究所 人工知能技術コンソーシアムのブース
サービス接点対話端末「POSEIDON」。非接触ICカードを利用し、対話型サイネージを使いさまざまなデータを収集する
各人を区別するために非接触ICカードを利用する
ビッグデータから見込み客を分析するパッケージソフト「Target Finder」
分析に「PLSA(確率的潜在意味解析)」という手法を使いクラスター分析
こちらは音声認識のデモ。将来的に他の技術と連携させる

 IoTエリア内に出展したウェアラブルコンピュータ研究開発機構ブースでは、さまざまな用途のスマートグラスを展示していた。そのなかに、日本最古の遊園地「浅草はなやしき」で歴史案内に利用されるグラスが展示されていた。

ウェアラブルコンピュータ研究開発機構のブースでは、各種スマートグラスを展示
タッチパッド付きの「Telepathy Walker」という日本製グラス。「浅草はなやしき」で使われたモデル
「浅草はなやしき」で歴史案内を体験できるサービスの解説。無料で利用できる

 写真化学のブースでは、スマホのARアプリ用SDK「NAVIMICHAEL」を展示していた。既存の地図系アプリから呼び出してAR(拡張現実)機能を追加できるSDKツール。手軽にARを追加できるので、観光地で使われるさまざまなアプリに利用されるのではないかと思う。

写真化学のAR SDK「NAVIMICHAEL」の解説
アプリを実際に動作させているところ。シンプルで分かりやすいUI。上部に表示されているのは、近くにあるお勧めショップ