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「CEATEC JAPAN 2016」で展示された未来の旅を感じるテクノロジ(2)

パナソニック、NEC、富士通、シャープの展示を紹介

2016年10月4日~7日 開催

CEATEC JAPAN 2016でのパナソニックブース

 10月4~7日に幕張メッセで「CEATEC JAPAN 2016」が開催されている。前記事に引き続き、CEATEC JAPAN 2016内でのトラベル関連展示をレポートする。

パナソニックは観光地のベストポイントでセルフィー撮影サービス

 家電のイメージが強いパナソニックでも、ブースの多くをデバイスやB to B関連の展示に充てていた。なかで目をひいたのが、NTTコミュニケーションズと共同開発した観光地などのフォトスポット向けサービス「カメラシェアリングサービス『PaN』」。これは、観光地やテーマパークなどで設置されたフォトスポットで撮影し、クラウドからダウンロードできるというサービス。

 スマホでの自撮りと似ているが、ベストポイントに設置されたカメラでベストアングルのショットを撮影してくれるというのがメリット。また、自動でクラウドに貯まるので、一緒に写った友人とのシェアも簡単にできる。もちろん現場ではスマホやカメラが不要で、あとでクラウドからダウンロードできる。今後、観光地などで見かけることが多くなるかも知れない。

カメラシェアリングサービス「PaN」
カメラシェアリングサービス「PaN」の解説パネル
かなり上の方にカメラが設置されていた。自撮りでは無理なアングル
こちらは、大型カメラの例
フォトスポットで撮影中
操作端末の例。撮影後の画像確認中
QRコード読み込みなどで、クラウドの指定URLにアクセスし、撮影時のIDでログインする
写真がダウンロードできる
実際にダウンロードした写真。3Dトリックアートになっている

NECグループはAIを使って顔認証や耳認証

 NECグループでは、AI技術を活用した展示を行なっていた。東京オリンピックを想定し、スタジアムのイベントなどでスムーズな入場を顔認証で行なう技術の実演と、耳穴の形状を反響音で瞬時に認識し、生体認証で個人を特定する技術を展示していた。

 顔認証を使うことで、IDカードの貸し借り、盗難などでのなりすまし、カード偽造を防ぐことができる。耳穴での生体認証は、イヤフォンをしていれば常時個人を特定できるため、観光地などで個人別に異なるサービスを提供する目的でも利用できるだろう。

NECグループのブース
「ウォークスルー顔認証」の解説。NECグループは、東京オリンピックのゴールドパートナー
IDカードをタッチすると瞬時に顔認証が完了する
あらかじめ認証させる顔を登録しておく。これは一度のみ
耳音響認証の解説
耳音響認証のデモ。スマホとつながったイヤフォンで認証する。ログインが簡単になる
ワイヤレスイヤフォンを使えば、もっとスマートに利用できる

さまざまなAI技術を多数展示した富士通

 富士通のブースでは、富士通研究所開発の相手の顔を検知し、クラウドAIを活用して反応や会話をするロボット「ロボピン」に注目が集まっていたが、「都市・交通×ICT~快適で安心な街を実現する~」コーナーで、AIを基盤にした画像解析技術を使った「スマート都市監視ソリューション」などを展示していた。ほかにも、多言語音声認識によるコミュニケーションができる「LiveTalk」や、スマホを使ったプレイスサービスなど、興味深い技術を数多く展示があった。

富士通のブース
富士通研究所開発のロボット「ロボピン」
ロボピンが見ている映像。相手の顔を検知し表情を解析し反応をする

「スマート都市監視ソリューション」は、監視カメラなどの画像情報をAIを使って解析し、リアルタイムに解析することが基盤となっている。スパコン「京」開発の技術も使われているそうだ。人物像、クルマの色や車種、荷物などの特徴が、解析によってマーカー表示されたり、録画から検索表示したりできる。

 実演では、パーキングアナリシスソリューションを使って、駐車したミニカーを動かして駐車場の空き状態や異常を検知させていた。この場合、監視カメラの解像度さえ足りていれば利用できるので、柔軟な設置ができることや、センサー部分以外の異常にも対応できる。単なる監視にとどまらず、AIを使った解析で今後の混雑状況予測もできるので、駐車場や観光地などの特定日の混雑を予測するという使い方も考えられる。

スマート都市監視ソリューションはAI、HPCのクラウドやGPU、データ解析を組み合わせている
映像からリアルタイムで人とクルマを分類しているデモ
車の特徴や車種までを判別しているデモ
パーキングアナリシスソリューションのデモ。ミニカーを動かすと
カメラの映像から検知して、空きスロットが切り替わる
パーキングアナリシスソリューションの操作画面。混雑の予想も表示されている
人物の特徴を入力して、該当人物に近い人を検索する操作画面
スマート都市監視ソリューションの応用例

 多言語音声認識によるコミュニケーション「LiveTalk」は、音声を入力すると、リアルタイムで翻訳をして画面表示される技術。その際、同一ネットワーク内に設定したデバイスに多言語での翻訳結果を同時に表示させるというデモを行なっていた。観光地やイベントでのリアルタイム翻訳などに活用できる。

多言語音声認識によるコミュニケーション「LiveTalk」のブース
日本語の音声で入力し、英語に翻訳している
同時に中国(繁体字)、スペイン、ドイツ、イタリア、フランスの各国語に翻訳
さらに中国(簡体字)、オランダ、ポルトガル、韓国、ロシア語に翻訳

 ほかにも、スマホを使い特定の場所でビーコンを感知させ、その場所でのみサービスを受けてもらうプレイスサービスや、手のひら静脈認証を使ったカードレス決済のデモなども行なわれていた。地域のイベント案内や観光ポイントをまわるナビなどの利用法が考えられる。

複数のスマホアプリを自動で切り替えるプレイスサービスのブース
複数のスマホアプリを自動で切り替えるプレイスサービスの解説
プレイスサービスのアプリ例。画面中央のお楽しみイベントがグレイアウトしている
特定の場所に来ると、色が付きボタンが利用可能になる
大型ビジョンを想定してスマホを振った量に応じて反応するゲームをしているところ。特定場所のみで遊べる
手のひら静脈認証決済のブース。店舗を模している
タブレットを使った決済レジ。右が静脈認証用の機器
手のひら静脈認証を使ったカードレス決済の解説

モバイルロボット「RoBoHoN」で“おもてなし”を提案をするシャープ

 シャープのブースでは、5月から販売が始まった、LTE/3Gモバイル通信機能を持つ小型モバイルロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」を中心に展示。10月からは法人導入に向けて「お仕事パック」の導入も開始した。

「お仕事パック」は「受付・接客(案内や質問に回答)」「プレゼン(設定した内容を説明する)」「遠隔(送信メッセージの受信を確認)」の3アプリから構成される。2016年度中にも対応する「お仕事パック」での、英語と中国語の音声認識と発話のデモが行なわれていた。

シャープのブース
RoBoHoNのデモコーナー
観光案内のデモ。左から日本語、中国語、英語の応対をする
受付・接客のデモ
RoBoHoNの着せ替えも展示

 また、シャープのブースとは別の場所で、「CITY CHARGE」というソーラー充電スタンドを展示していた。屋外の太陽光発電でバッテリに蓄電した電力を使い、スマホなどを充電できるスタンド。蓄電池は満充電からならスマホ60台分の充電ができる。休憩所の横に設置され、試すことができる。

シャープの「CITY CHARGE」ソーラー充電スタンド。一番上の黒い屋根は住宅用単結晶太陽光発電パネル「BLACKSOLAR」
充電は4口。ボックス内で充電する
端子はiOSのLightningと30ピンDock、AndroidのMicro USB、携帯電話用のFOMA、CDMAとマルチに用意
ソーラー充電スタンドの解説
周囲は休憩所になっていて、休憩中に充電を試すことができる
LEDライトがあり、街頭としても機能する