ニュース

キャセイパシフィック航空、羽田発CX543便でボーイング 747-400型機“ジャンボ”ラストフライト

ジャンボで乗務した歴代CA制服も勢揃い

2016年10月1日 ラストフライト

 キャセイパシフィック航空は、かねてから案内していたとおり、2016年10月1日の羽田~香港線で同社の“ジャンボ”ことボーイング 747-400型機の商用ラストフライトを行なった。

 同社のボーイング 747-400型機のラストフライトを担ったのは、登録記号「B-HUJの機体。香港発のラストフライトは、9月30日のCX542便(香港16時25分発~羽田21時35分着)で行なわれ、羽田空港に1晩ステイしたのち、10月1日のCX543便(羽田10時35分発~香港14時10分着)を最後に退役する。

 10月2日以降のCX542/543便は、夏スケジュール期間の10月29日までは、ボーイング 777-300ER型機も併用されるが、ボーイング 777-300型機を基本に運航。このボーイング 777-300型機はビジネスクラス42席、エコノミークラス356席の計398席仕様の客室となり、エコノミークラスの座席数が多く、総座席数でもラストフライトとなるボーイング 747-400型機を上まわる。ただし、CX542/543便ではファーストクラスとプレミアムエコノミークラスがなくなるということになる。。

 9月19日付けで日本支社長に就任したばかりのライオネル・クオック氏は、この点について「機材繰りは常に考えており、そのルートにふさわしい機材を導入することが基本。今はこのような(客室仕様の機材を使用する)形を採るが、常に路線に最適な機材を見極めながら考慮していく」とした。

 また、羽田と成田を合わせて10社が運航する東京~香港路線については、「プレミアムなサービス、プロダクトがあるので特にビジネスマンなどに差別化を図れる。香港から先に広がるネットワークもある」といった点で差別化を図る意向だ。

搭乗口では最終便を盛り上げるセレモニーを実施

 キャセイパシフィック航空では、1979年8月に最初のボーイング 747-200型機が商用飛行を開始し、1989年にはボーイング 747-400型機を導入。日本路線では1980年3月にボーイング 747-200型機を、香港~台北~ソウル~東京~台北~香港線へ導入した。

 その商用運航最終便となったCX543便の搭乗口では、多くのファンが集まり、盛大な写真撮影大会の様相。また、この日は事前に告知のあったFacebookキャンペーンで選ばれた10名も、機内見学会や、最終便のセレモニーに参加。特に、ボーイング 747型機が運航した時代に着用された歴代のCA(客室乗務員)制服を着たスタッフとの記念撮影会では、多くの人がカメラを向けて盛り上がった。

キャセイパシフィック航空のボーイング 747型機が運航されていた時代の歴代CA制服
キャセイパシフィック航空 日本支社長 ライオネル・クオック氏

 セレモニーでは、ライオネル・クオック氏が挨拶。「ボーイング 747型機はキャセイパシフィック航空の歴史のなかで、大変重要な役割を果たした。この機種で欧州や北米へ急速にネットワークを拡大し、香港がアジアを代表する国際都市へ発展する礎を作った。キャセイパシフィック航空にご搭乗いただいたお客さまは、最初のボーイング 747型機が導入された1979年は年間およそ250万人だったが、2015年は3400万人を数えるまでに成長を遂げた」と、同社の成長を支えた存在であることを紹介。社長個人としても、海外赴任時のフライトで思い出深い機材だと言う。

 一方で、「愛すべきボーイング 747型機に感謝と別れを告げるとともに、キャセイパシフィック航空は“LIFE WELL TRAVELLED”、充実した旅を皆さまにお約束すべく邁進していく。アジア14カ国出身のCAは、心からのもてなしのサービスを提供し、新型機エアバス A350型機や空港ラウンジをはじめ、最上のプロダクトとサービスへの投資を続けていく」と先を見据えた。

 セレモニーでは、CX543便の機長を務めるジョン・グラハム機長と、シャイワリー・ジットラコーンISM(インフライト・サービス・マネージャ)への花束贈呈が行なわれたほか、クオック氏により1989年に最初のボーイング 747-400型機が香港に納入される際にシアトルへ受領しに行ったエンジニアであり、ボーイング 747-400型機の最終便である10月1日のCX543便を香港へ送り出すための担当エンジニアも務めた、東氏が招かれた。クオック氏は「すでにレジェンドとなっている、明日退職する東の最後のミッションに立ち会うことができた」と感慨を示し、多くのキャセイパシフィック航空スタッフも、東氏との記念撮影に立ち会おうとセレモニーに集まっていた。

この日の機長であるジョン・グラハム機長と(中央)と、シャイワリー・ジットラコーンISM(インフライト・サービス・マネージャ)
この日のCX543便の乗務員が集合
最初のボーイング 747-400型機の受領にシアトルへ行ったという整備士の東氏。退職前日にボーイング 747-400型機を最後のフライトへ送り出した

キャセイパシフィック航空・ボーイング 747-400型機の最終仕様機

 そのキャセイパシフィック航空のボーイング 747-400型機の最終仕様機は、ファーストクラス9席、ビジネスクラス46席、プレミアムエコノミークラス26席、エコノミークラス278席の計359席を装備。アッパーデッキ(2階)はすべてビジネスクラスで占められ、通路側に足を向けるヘリンボーン配置で22席を備えている。ちなみに、同社機材でもボーイング 777-300ER型機以降は頭を通路側に向けるヘリンボーン配置となっており、この点でも同機はユニークな客室となっている。

 メインデッキ(1階)は前方から、ファーストクラス9席、1-2-1の4アブレストが6列のビジネスクラス24席、2-4-2の8アブレストが3列+2席のプレミアムエコノミークラス26席、3-4-3の10アブレストのエコノミークラス278席というレイアウト。

 エコノミークラスを含めて全席にシートモニターを備えるなど、客室こそ昨今のトレンドに沿っているが、ギャレーの上部にアッパーデッキへ上がるための階段のせり出しがあるなど、ジャンボらしい特徴も。機内を案内してくれたCAも何度か頭をぶつけたことがあるそうだ。

-400型機の特徴となっているウィングレット
後方から
エンジンはロールスロイス「RB211-524」
ノーズギア
後方から見たメインギア
ボーイング 747-400型機はノーズ、メインともに同じサイズのタイヤを使っている
内側のメインギアは多少ながら回転するようになっており、外側のメインギアにはない横向きのアクチュエータを搭載している
ラストフライト前のメインギアのタイヤの1つ。ヒビが見えるが整備士によれば問題はなく、溝も十分でまだまだ使えるタイヤとのこと。リトレッド回数は「4」となっていた
キャセイパシフィック航空のボーイング 747-400型機内
ファーストクラス最前方座席
ファーストクラスの座席。2-2配列だが、最後方にいわゆる「艦長席」風の1席があるので計9席
ビジネスクラスの座席。足を通路側に向けるスタイルのヘリンボーン配置で、CAによれば「窓の外を見にくい」という意見をよく聞いたそうだ。以降のボーイング 777-300ER型機やエアバス A350-900型機では、頭を通路側に向ける配置となっている。
アッパーデッキはすべてビジネスクラス。LEDを使ったライティングパターンの切り替えも可能
別の照明パターン
プレミアムエコノミークラス
エコノミークラス
CAが休息するクルーバンク(クルーレスト)。機体後方に設けられ、8スペースを備える
ラバトリー
アッパーデッキとメインデッキをつなぐ階段。内側はギャレーにもせり出している
機体のシリアル番号などが書かれた銘板。キャセイパシフィック航空の本社は香港国際空港近くにあるが、ここには旧所在地が書かれている
コックピット

 セレモニーや機内でのCAの説明からも、この最終便はキャセイパシフィック航空スタッフにとっても感慨深いもののようで、その出発に際しては地上スタッフもランプエリアへ集まり、思い思いの記念撮影をする場面も見られた。そして、354名の乗客を乗せたCX543便は、定刻どおり10時35分にプッシュバックを開始。地上のスタッフが手を振って見送るなか、滑走路へ向かってタキシング。11時02分に05滑走路から香港へ向けてのラストフライトに飛び立っていった。

ラストフライトのボーイング 747-400型機に乗り込む乗客
ファイナルコールが始まり出発のときが近づく
ゲートクローズ後に地上スタッフも続々とランプエリアへ。ボーイング 747-400型機をバックに記念撮影していた
プッシュバックが始まり、スタッフが手を振る
プッシュバックが進み、飛行機もスタッフも誘導路へ
トーイングカーが切り離され、出発準備完了
音の変化でエンジンの推力が上がったことが分かる。そしてタキシングスタート
ランプエリアの端に並んだスタッフがみんなで手を振って見送った