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エジプト、「治安、最新の施設・設備」など、エジプト観光の最新情報を説明するセミナー開催

エジプト航空による日本~エジプト直行の定期チャーター便を11月から運航

東京:2016年9月27日 開催

大阪:2016年9月28日 開催

名古屋:2016年9月29日 開催

 エジプト政府観光局は9月27日、東京ステーションホテル(東京・千代田区)で、「エジプト観光最新情報」と題し、エジプトの現在の治安や最新の観光施設・設備を紹介するセミナーを旅行会社向けに開催した。同観光局としては、今秋に日本とエジプトを結ぶ定期チャーター便が就航することを機に、2011年の“アラブの春”を境に激減した日本からの観光客を呼び戻したい考え。セミナーにおいては、エジプトの治安の改善やセキュリティレベルの向上についての説明も行なわれた。同セミナーは9月28日に大阪、9月29日名古屋でも開催された。

 セミナーの冒頭、エジプト観光局の観光参事官 イスマイル・アメール氏が挨拶に立ち、エジプト観光大臣のヤヒア・ラシッド氏の日本に向けた以下のメッセージを紹介した。「日本エジプト間の交流の歴史は150年以上となります。幕府が1862年に派遣した遣欧使節団がエジプトを通過する際、ピラミッドを見物しスフィンクスの前で撮った記念写真は、現存する最古の写真となります。私をはじめ多くのエジプト人は人類歴史上、優れた文明を持つ日本を心から尊敬致します。日本の経済その他すべての分野における著しい発展は現代の模範となるものであります。歴史家は“エジプトは人類発祥の地であり独自のアイデンティティと優れた文明を持ち、その7000年の歴史は中東のみならず世界人類の発展に多大な影響を与えた”と称します。エジプト国は日本の皆さまを心より歓迎申し上げます。この春には日本からのチャーター便で多くの観光客がエジプトにお越しになられました。エジプト政府、エジプト国民はより多くの日本の皆さまのお越しを心よりお待ち申し上げております」。

エジプト観光局の観光参事官 イスマイル・アメール氏
エジプト観光大臣のヤヒア・ラシッド氏の日本に向けたメッセージを紹介
幕府が1862年に派遣した遣欧使節団が、1864年にエジプトを通過する際、ピラミッドを見物しスフィンクスの前で撮ったとされる記念写真。日本とエジプトの交流の歴史の長さを感じさせる1枚だ
JATA 海外旅行推進部副部長 飯田祐二氏

 セミナーの開始にあたっては、JATA(日本旅行業協会)海外旅行推進部副部長の飯田祐二氏が挨拶。「エジプトが観光の宝庫でありながら、なかなか観光客が戻らない現状を憂慮している」としながらも、2016年春に実施されたエジプト直行のチャーター便で一定の成果が出たこと。また、この秋からもエジプト直行のチャーター便が実施されることを光明ととらえ、「多くの観光客がエジプトを訪問することを期待している」とし、JATAとしても安全管理や現地の安全情報の提供など、できる限りのサポートをしていきたい考えを語った。

エジプト観光の多様性、安全性をアピール

 エジプト観光局の観光参事官 イスマイル・アメール氏による最初のプレゼンテーションでは、エジプト観光促進の取り組みと、現在のエジプトの治安に関する説明が行なわれた。

 同氏はまず、日本はエジプトとの交流の歴史が長く、展覧会が頻繁に開催され、書物も多数出版されているなど、世界のなかでもエジプトに対する関心が高い国であるが、それでも「エジプトにはピラミッド以外に有名なものがありますか?」とよく聞かれると、エジプトの観光事情をよく伝えきれていない現状があることを説明。そのため、エジプト観光局では現在、エジプトには古代史や遺跡以外にもビーチやダイビングスポットなど魅力的な観光地が多くあることを広くアピールしていく必要性があると語った。

 その取り組みの一つとして紹介したのが、エジプトを観光の視点から3つのセクションに分けてアピールする試みだ。

 第1セクションは、ナイル川沿いのカイロ、ルクソール、アスワンを含む歴史的建造物を見学できるエリア。

 第2セクションは、シャルム・エル・シェイク、ハルガダを含む紅海沿いのビーチやダイビングスポットが多く存在するエリア。

 第3セクションは、シーワ、ダクラ、カルガなどのオアシスが点在するサファリ砂漠エリア。

 それぞれに特有の楽しみ方ができるが、これらのセクションはまたがって観光することも可能で、エジプトは幅広い楽しみ方ができる国であることを広く伝えていきたいという。

エジプトを観光の視点から、ナイル川沿い、紅海沿い、サファリ砂漠の3つのセクションに分けてアピール
カイロ、ルクソール、アスワンなどを含むナイル川沿いのセクションではギザのピラミッドやルクソール寺院など歴史的建造物が点在する
シャルム・エル・シェイク、ハルガダなどを含む紅海沿いのセクションにはビーチやダイビングスポットが数多く存在する
シーワ、ダクラ、カルガなどのオアシスが点在するサファリ砂漠セクション。砂漠の風景を楽しめるほか、リゾートホテルでナイトライフも満喫できる

 アメール氏からは、現在のエジプトの治安についての報告も行なわれた。同氏によると、現在のエジプトの政情は、新大統領の選出などを経て非常に安定しており、治安がよい。政府が力を入れているため、観光地、空港は当然のことながら、一般道路でもセキュリティが向上しているとのことだ。

首相の声明で治安とセキュリティ対策が強化

SPTツアーズ代表取締役 ヤーセル・ムスタファ氏

 続いて、今春、日本とエジプトを結ぶ定期チャーター便を就航させたSPTツアーズ代表取締役のヤーセル・ムスタファ氏が登壇。現在のエジプトの治安と今秋から来春にかけて就航させる日本~エジプト間の定期チャーター便についての説明が行なわれた。

 治安については、エジプトのイスマイル・シリーフ首相が2015年の1月、エジプトの観光客を守るために、「エジプト国内の各観光地での治安や警備強化」「エジプトの各都市の空港でのセキュリティ向上と安全を保障する取り組み」「安心してリゾートを楽しめるための強化対策を実施」などの声明を出し、積極的に取り組んでいることを紹介。実際に、各観光地では警察、場所によっては特殊部隊も配備されるなど警備のレベルが格段に向上。空港の立ち入りが厳しく制限され、観光地やホテルなどでも荷物検査やIDカードのチェックが行なわれているなど、セキュリティ対策が徹底されていることがスライド写真を交えながら説明した。

 また、エジプトといえば、広場にデモ隊が集結している映像を思い出してしまう人も多いかもしれないが、現在、エジプトではデモは法律で厳しく制限されており、デモに遭遇することはまずないということも説明した。

エジプトのイスマイル・シリーフ首相から日本人の観光客へ向けられたメッセージ。観光客を守るための6つの声明が記されている
観光地によっては特殊部隊が警備を行なっていることも
観光地に入る際にも手荷物検査が徹底して行なわれる
ツアー会社が内務省に依頼すれば、ツアーに観光警察を同行させることもできるという
砂漠地帯ではラクダに乗った警察官が警備を行なっている

エジプト・日本友好の翼、再び

 続いて、今秋から来春にかけて就航させる日本~エジプト間の定期チャーター便についての説明が行なわれた。「エジプト・日本友好の翼」と題された日本~エジプト間の定期チャーター便は、2015年にプロジェクトが発足し、2016年の4月と5月に4便を運航。今秋からの運航は2期目となる。

 2016年11月20日から2017年4月30日までの間、週に1回の25便が予定されており、往路は関空発/成田発~ルクソール(着)のルートを、復路はカイロ発~関空着/羽田着のルートを運航する。

 ムスタファ氏によれば、第1期のチャーター便(4便)では800名弱の日本人旅行者が参加。おおむね好評であったものの、用意した飛行機が古かったため設備面や食事面で行き届かない面もあったという。

 今回はその反省を活かし、エジプト航空の最新機であるボーイング 777-300型機(ビジネスクラス49席、エコノミークラス297席)を用意するなど、顧客の快適性を追求したプランニングを行なっていくという。また、現地でのオプショナルツアーについても拡充、幅広い要望に応える準備があるという。

 プレゼンの締めくくりでムスタファ氏は、今回のチャーター便について「ぜひたくさんの人にご利用いただきたい。そしてできれば今後も継続させていきたい」と語り、さらにこのチャーター便の成功を機に2013年から途絶えているエジプト航空の日本~エジプトの定期便が復活することにも期待を寄せた。

エジプト航空の日本総代理店であるレジェンドリーグスの川﨑恵一氏

 ムスタファ氏のこの言葉を受けるようにしてエジプト航空の日本総代理店であるレジェンドリーグス 本部長 川﨑恵一氏が登壇。エジプトへの日本人観光客が減少している現状で今すぐの復活が難しいとしながらも、将来的に日本人の観光客が戻ればエジプト航空による日本~エジプトの定期便の復活は十分あり得ると宣言。

 安倍首相がエジプトに訪問した際、イスマイル・シリーフ首相が直行便の復活を約束したエピソードを紹介し、決して現実味のない話ではないことを強調した。

「エジプト・日本友好の翼」と題された日本~エジプト間の定期チャーター便が今秋就航する
第2期となる今回は、2016年11月20日から2017年4月30日まで週に1回のフライトで25便が予定されている

官民挙げてエジプト観光を再度盛り上げたい

 セミナー後半には、エジプトのツアー会社であるBAHI TRAVEL AGENCY、Marawan Travel、SKY BIRD TRAVEL、travco、Wing Tours & Nile Cruisesの5社が自社の紹介を行なうとともに、日本人観光客への取り組みや、各社ならではのサービスをアピール。エジプトの新しい見どころ、エジプトの最新治安事情などを紹介した。

 セミナーの最後には、エジプト観光局の観光参事官 イスマイル・アメール氏が再度登壇。今は「2011年以降減少している日本のお客さまをエジプトに呼び戻す最高の機会」であるとし、エジプト観光局としては労力を惜しまず観光業界に協力し、日本におけるエジプト観光の機運を盛り上げていきたいと語った。

エジプトのツアー会社が自社の紹介やエジプトの見どころなどをアピール。SKY BIRD TRAVELは、パン焼き体験、ファルーカ(帆かけ船)乗船、市場見学などを紹介するとともに、現地の食べ物なども紹介
SKY BIRD TRAVELは、観光地各所でセキュリティチェックが厳しくなっており、観光警察も各所の配置されているなど、現在の治安が格段によくなっていることなども紹介した