ニュース

熱気に包まれ開催! 沖縄ロックの祭典「ピースフルラブロック・フェスティバル」

2016年7月9日~10日 開催

 7月9日、10日の2日間にわたり沖縄市野外ステージで「ピースフルラブ・ロックフェスティバル」(ピースフル)が開催された。同イベントは、今年で33回を数える一大ロックイベント。1日目には「ORANGE RANGE」や「D-51」、「きいやま商店」など若者に人気のバンドが出演。筆者は2日目を取材した。

 ピースフルラブ・ロックフェスティバルの第1回開催は1983年。1970年代に活躍したオキナワンハードロックバンド「紫」の再結成ライブとして開催された。それから34年。台風で中止となった2015年を除いて毎年開催され、いまでは沖縄の夏の風物詩になっている。

 開場時刻の13時前に到着すると、すでに20名ほどの観客が入場待ちの列を作っていた。年齢層は40~60代がほとんどのように見える。1970年代、1980年代にロックで育った世代だ。というのも、この日の出演者は1970年代に日本のロックシーンを賑わせたオキナワンロックの重鎮がメインなのだ。

 13時。定刻に開場。以前は闘牛場として使われていた野外ステージは、すり鉢状の造りが特徴的だ。このイベントのために特別に組まれる大きなステージは、沖縄のバンドマン誰もが憧れる大舞台。

 一番手には、この日の最年少バンド「南風原ビーバップス」。最年少といえど平均年令43歳。彼らは2014年の同イベントに、オーディションで合格して初出演を果たした。このオーディションの競争率は相当なもので、テープ審査を通過することさえ難しい。実は筆者は彼らと交友があり、一緒にライブしたこともある。そんな彼らが大舞台を楽しんでいる姿はとてもカッコよかった。

トップバッターを務めた「南風原ビーバップス」。彼らのホームタウン南風原町(はえばるちょう)のキャラクター「はえるん」も応援に駆けつけた

 四番手に登場した「かっちゃんバンド」。ボーカルを務めるかっちゃんは、1970年代に「コンディショングリーン」というバンドで活躍したシンガー。破天荒なステージが衝撃的で、当時の日本のロックシーンを沸かせた伝説のバンドだ。

 コンディショングリーン解散後もかっちゃんは自身でライブハウスを経営し、大小限らずさまざまな舞台で歌ってきた。同イベントにおいても、かっちゃんの奇抜な衣装や不意を突いた登場の仕方は名物となっている。

 この日もサルのお面を着けて登場。どっしりと椅子に腰掛けバックバンドの演奏に耳を傾けるが……突然客席スタンドを指差すと、かっちゃんが美女たちにエスコートされて客席後方から登場したのだ。ステージ上のかっちゃんは影武者だった。

 御年70を超え、往年の激しいパフォーマンスは見られないが、このイベントでかっちゃんの姿を見ると、みんな幸せな気分になるのだ。

サルの仮面の下は、かっちゃんかと思いきや……
客席より本物のかっちゃん登場
ピースフルにはなくてはならない存在

 7番目に出演した「JET」もピースフル常連バンドだが、この日は特別な思いでメンバーはステージに立った。兼ねてから病気療養中だったドラマーのコーちゃんが前日に亡くなったのだ。コーちゃんに届けとばかりに、熱のこもったハードロックを聞かせてくれた。

沖縄市ゲート通りのロックバー「JET」を拠点に活動する、その名も「JET」
この日の前日夜に亡くなったメンバーのコーちゃんの遺影がドラムの前に飾られた

 この日はスペシャルゲストとして「シーナ&ロケッツ」が東京より参戦。同バンドも2015年にボーカリストのシーナを亡くしている。ピースフルには8年ぶりの出演だが、3名でこのステージに立つのは初めてだ。

「シーナはいなくなってもシーナ&ロケッツのバンド名はなくさない」と言ったギタリスト鮎川誠の言葉に胸が熱くなった。

ピースフルには8年ぶり3度目の出演となった「シーナ&ロケッツ」。2105年に亡くなったシーナの分まで熱いロックンロールを聞かせた

 トリの「紫」のときには雨もパラついたが、昼間は沖縄らしい真夏の太陽が照りつけ、8時間たっぷりと夏とロックを堪能した。観客もみんな笑顔で踊ったり一緒に歌ったり、ティーンエイジャーに戻ったように楽しんでいた。