トピック

山形・庄内地方を電動アシスト自転車で観光するツアーに参加してみた。酒田フレンチやご当地ラーメンなどグルメも満喫

最高70km/hの本格カートも体験

フラットで見晴らしのよい庄内平野を電動アシスト自転車でサイクリング

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、「ニューノーマル」と呼ばれる新しい生活様式が求められるようになりました。旅の姿も大きく変わりつつあり、少人数での旅や一人旅を選択する人が増えています。

 そういったなか、新しい旅の形として注目を集めているのが、少人数のサイクリングツアーです。近年のサイクリングブームを背景として、サイクリングを取り入れたツアーが日本各地で人気を集めていますが、コロナ禍の現在、少人数での開催が基本で、密になりにくく、これまでなかなか足を延ばすことのなかった隠れた名所を気軽に回れるということから、これまで以上にサイクリングツアーに注目が集まっているのです。

 そして、そんなニューノーマルに対応した新たなサイクリングツアーが、山形県の庄内地方で2021年4月から実施されるということで、一足早く体験してきました(2020年11月下旬に取材)。

平坦な庄内地方を電動アシスト自転車で走る、初心者でも安心のツアー

 体験したのは、「サイクリング庄内アドベンチャーツーリズム」事業で造成したツアーです。山形県の日本海側に面する地域で、酒田市や庄内町などが位置する庄内地方は、「食の都」と呼ばれるほどの優れた食文化を誇る地域です。また、食だけでなく、観光資源も豊富に存在しています。そこで、この地域ならではの観光資源や食文化、体験コンテンツなどを組み合わせたサイクリングツアーを企画したのだそうです。

 このツアーは、少人数のグループや一人旅の旅行者をターゲットしています。それも、サイクリングのライトユーザーを中心に考えているとのこと。サイクリングツアーはすでに日本各地で実施されていますが、その多くがいわゆる“ガチ”のツアーで、本格的なロードバイクで長距離を走破するといったものとなっています。そのため、サイクリングツアーに興味があっても、サイクリング初心者は体力や脚力などが不安で、なかなか足を踏み出せずにいるはずです。

 しかし、庄内地方は平野が広がり高低差の少ない土地ですから、上り坂に苦しめられる心配がほとんどありませんし、このツアーでは電動アシスト自転車が使われますので、体力や脚力に自信がなくても十分に楽しめるように配慮されています。また、ガイドが参加者の体力に合わせてスピードを調節しますので、ほかの人に付いて行けないといった心配もありません。そういった意味で、サイクリングに興味のある初心者が初めて参加するサイクリングツアーとして、十分な魅力があるのです。

 ところで、ツアーで使われる電動アシスト自転車は、一般的な“ママチャリ”のようなものではなく、スポーツタイプの電動アシスト自転車が利用されます。スポーツタイプとはいっても、サイズは比較的小型なので、小柄な人にも問題なくフィットします。そして、10段変速のギアと電動アシストによって、少ない力で力強く走ってくれますし、長時間のライディングでも疲れにくいのもうれしい点です。

 もちろん、ニューノーマル時代のサイクリングツアーということで、コロナ対策もしっかり考えられています。自転車自体の消毒はもちろん、ツアー開始時の体温測定、ツアー中も常に手を消毒できるように消毒スプレーも用意されます。ツアー中は参加者が一定の距離をあけて走行するとともに、可能な限りマスクの着用も求められます。もともと少人数でのツアーを基本としていることと合わせて、安心して参加できるといっていいでしょう。

サイクリング庄内アドベンチャーツーリズムではTern Bicyclesの「Vektron S10」というスポーツタイプの電動アシスト自転車などを利用
自転車はこまめに消毒
ツアー前には検温を実施
ヘルメットを装着し、マスクを付けてのライディングが基本。消毒液も用意される

庄内町では隠れた名所や食を楽しむツアーを実施

 ではまず、庄内町でのツアーを紹介しましょう。体験したのは「アクティブに楽しむ庄内町満喫コース」で、サイクリングで庄内町の景色を楽しみながら、通常の観光ツアーではなかなか訪れることのない地元の名刹を巡るとともに、東北最大級のカートレース場で本格的なゴーカートを楽しみます。サイクリングでの走行距離は約38kmと、文字通りアクティブな内容となっています。

 ツアーは、JR余目駅前の「庄内町新産業創造館クラッセ」前からスタートします。用意された電動アシスト自転車のセッティングに、体温計測と手の消毒、ヘルメットなどの着用を行なったのち、ガイドを先頭にツアーがスタートとなります。

ツアーは、JR余目駅前の「庄内町新産業創造館クラッセ」前からスタートとなる
ガイドを先頭に、参加者の体力に合わせたスピードで進んでいく(写真は自転車に取り付けたGo Proで撮影した映像から切り出したもの)

 まずはじめに向かうのは、商売繁盛の神様として地元で親しまれている、百狐山 光星寺(びゃっこさん こうしょうじ)です。クラッセからは約14kmの距離です。普段からサイクリングを楽しんでいる人なら、この程度の距離は全く気にならないでしょう。しかし、普段あまり自転車に乗ることのない筆者にとってはほとんど未知の距離ということで、最初はかなりびびり気味でした。

 しかし実際にスタートしてみると、電動アシスト自転車は少ない力でぐいぐいと進んでくれるので、10分ぐらい過ぎてもほとんど疲れが気になりませんでしたし、周囲の景色も存分に楽しめるだけの余裕もありました。今回の体験は2020年11月下旬でしたので、一面に広がる田んぼは刈り取られたあとでしたが、頂に雪をかぶる鳥海山までくっきり見渡せて、庄内地方の雄大な景色を余裕を持って楽しめました。季節がよければ、青々とした水田の中を走れるでしょうから、かなり気持ちがいいはずです。

 そして、走ること1時間ほどで光星寺に到着。光星寺は、鳥居の連なる参道が見どころとなっていますが、特に気に入ったのがやや高台の境内から庄内平野を一望できるところです。1時間ほどのサイクリングは、電動アシスト自転車とはいっても多少の疲れはありましたが、その景色を見るだけで疲れが吹っ飛ぶほどで、必見の景色といえます。

 景色を堪能したら、ここでちょっと休憩です。ここで、地元で有名な餅店「川村もち店」のお餅をいただきました。庄内地方ではよくお餅を食べるそうで、そのお餅にはたいてい餡子が入っているそうです。今回は、かぼちゃ餡の入った草餅と、栃の実から作られたとち餅をいただきました。とち餅は初めて食べましたが、独特の風味に懐かしさを感じました。

 30分ほど休憩したら、次は福徳開運・財産授与・良縁成就のお寺として地元で親しまれている萬歳山 冷岩寺(ばんざいさん れいがんじ)へと向かいます。光星寺からの距離は4kmほどで、約15分で到着しました。こちらでは、地元で昔から信仰されている「もろみ地蔵」や、かわいらしい姿の「しあわせ地蔵」など、お地蔵様が見どころとなっています。

広大な庄内平野からは鳥海山もくっきり見渡せ、白鳥の戯れる姿も見られた
1時間ほどで、商売繁盛の神様として地元で親しまれている、百狐山 光星寺に到着
光星寺は、参道に連なる鳥居が見どころ
境内からの庄内平野を見渡す眺望も見逃せない
地元で人気のお餅を食べてちょっと休憩。とち餅など、どれも素朴な味わいだった
こちらが、いただいたお餅を売っている「川村もち店」。地元でも特に有名な餅店とのことだ
次に向かった萬歳山 冷岩寺。福徳開運・財産授与・良縁成就のお寺として地元で親しまれているという
かわいらしい「しあわせ地蔵」など、お地蔵様が見どころ

 このあたりでスタートしてから2時間ほどが経過して、ちょうどお昼時となりました。そこで次はお昼ご飯ということで、地元食材を使った食事が食べられる「道の駅しょうない風車市場」のレストラン「いろどり」へと向かいました。距離は6kmほどで20分ほどかかりました。

 いろどりは、観光客向けではなく、どちらかというと地元の人向けのレストランで、提供されるメニューもガッツリ系の定食やおそばなどが中心です。もちろん、使われている食材は地元産で、地域の食文化に触れられますし、サイクリングで疲れた身体にも、比較的がっつりとしたメニューは合っていると感じます。

 今回は、季節の野菜天丼を選択してみましたが、地元産の野菜やきのこの天ぷらは優しい味わいで、疲れた身体に染み渡りました。せっかくの旅行ならもっと贅沢な食事がいいと感じるかもしれませんが、地元の普段の食に触れられるという意味では、こういった内容もありと感じました。また、レストランの隣では地元で取れた野菜や名産品などを販売していますので、お土産の購入にも最適でしょう。

お昼ご飯は、地元食材を使った食事が食べられる「道の駅しょうない風車市場」のレストラン「いろどり」で
地元産の野菜の天ぷらがたっぷりのせられた「季節の野菜天丼」。優しい味わいで、疲れた身体に染み渡る美味しさだった
レストランの隣では、地元の野菜や名産品が売られている

 こちらで1時間弱ゆっくりしたら、今回のツアーで最も楽しみにしていたカートレース場へと向かいます。距離は8kmほどで、30分ほどかけて向かいましたが、この道中では発電用の大きな風車や、最上川のほとりを走りますので、これまでの道中とはまた違った庄内平野の魅力が感じられました。

 到着したカートレース場は、最上川の河川敷に位置する「カートソレイユ最上川」です。全長1063m、東北最大のJAF公認国内常設レーシングカートコースで、全日本選手権やシリーズ戦も開催されています。しかもこちらでは、特別なライセンス不要でカートを気軽に楽しめます。借りられるのは1人乗りカート、またはファミリー向けの2人乗りカートで、1人乗りは最高70km/hとスピードも本格的です。筆者も初めての本格的なカート体験でしたが、遊園地のゴーカートとは全く異なる爽快感が味わえました。ツアーの本題である「アクティブに楽しむ」を文字通り味わえる、貴重な体験でした。

 今回のツアーはこちらが最後の目的地で、あとは出発地であるクラッセにもどって終了となりました。全行程は約38km、時間にして5時間弱のツアーでした。

 ちなみにツアー自体はクラッセに戻って終了でしたが、このあとツアーガイドに教えてもらった、クラッセから徒歩10分ほどの温泉施設「町湯」で汗を流しました。源泉掛け流しの温泉施設ですが、地域の人たちだけでなく旅行者も気軽に利用できる施設となっています。また、モダンな建物も魅力的です。こちらでゆっくり温泉に浸かれば、ツアーで疲れた身体も癒されますので、ツアーに合わせて訪れてみるのもよさそうです。

発電用の風車が多く設置された付近も走るが、かなり雄大な雰囲気に圧倒される
今回のツアーで最も楽しみだった「カートソレイユ最上川」に到着
最高70km/hの1人用カートで実際に走ることが可能だ
スピード感、スリルともに満点で、最高に楽しめた
ツアー終了後、クラッセから徒歩10分ほどの温泉施設「町湯」で汗を流した。モダンな雰囲気の温泉施設は、観光客も気軽に立ち寄れる

酒田市で宿泊し、地元の人気フレンチを堪能

 今回の旅程は1泊2日でしたが、宿泊は庄内町ではなく酒田市のホテルを選択しました。利用したホテルは「ホテルリッチ&ガーデン酒田」です。酒田市でもトップクラスの上質なホテルで、地元の食材を使った朝食も人気となっています。また、徒歩すぐの場所には、米どころ酒田のシンボルで、ドラマ「おしん」のロケ地としても有名な「山居倉庫」もありますから、観光にも最適です。今回は、酒田市でもサイクリングのコースを体験する予定でしたので、その点でも便利なホテルといえます。

宿泊は、酒田市の「ホテルリッチ&ガーデン酒田」を選択
部屋は清潔感あふれ居心地がよく、快適に過ごせた
ホテルリッチ&ガーデン酒田からは、酒田で最も有名な観光名所「山居倉庫」に徒歩でアクセスできる

 そして、夕食に選んだのは、地元でも評判のフレンチレストラン「Restaurant Nico」です。酒田には、地元食材を使ったフレンチレストランが多くあり、「酒田フレンチ」とも呼ばれるその料理を求めて、酒田を訪れる観光客も少なくありません。

 その酒田フレンチの基礎を築き、根付かせたのは太田政宏シェフという方ですが、Restaurant Nicoはその太田シェフの息子である太田舟二シェフが営むレストランです。以前から酒田フレンチには興味がありましたし、今回宿泊したホテルからも近いということもあって、立ち寄らせてもらいました。

 いただいたのは、8500円のコースです。提供されるメニューは、全て地元山形産の食材を利用しているそうです。それも地元産のエビ、ガサエビを使ったスープのように、ほかの地域ではあまり見られない地元食材を使ったメニューもあって、これぞまさしく酒田フレンチといった内容です。

 特に印象に残ったのが、シェフのスペシャリテでもある、黒バイ貝のコロッケです。地元産のパセリやハーブなどをあしらったコロッケは、まるで芸術作品かのような美しさです。そして、ナイフを入れると細かく切りそろえた黒バイ貝が、たっぷりのソースとともに現われます。見た目にはこってりとしているようですが、黒バイ貝のうま味がしっかり引き出されていますし、パセリのソースを絡めるとまた違った味わいに変化して、とても繊細な美味しさです。

 このほかにも、地元産のカニや豚肉、牛肉などを使った贅沢な内容のコースは、満足度が非常に高く、8500円という値段は破格と感じました。それとともに、酒田フレンチのレベルの高さにも驚かされました。

 今回いただいた8500円のコースだけでなく、3000円や5000円などリーズナブルなコースもありますので、気軽に楽しみたい場合でも安心です。そして、季節によってコースの内容は変わるそうなので、また違う季節にぜひとも訪れたいと思います。

ディナーで訪れた、酒田フレンチの名店「Restaurant Nico」
地元の食材にこだわった料理を提供。なかでもスペシャリテの「黒バイ貝のコロッケ」は、芸術的な盛り付けと、黒バイ貝のうま味がしっかり引き出されたコロッケの深い味わいに驚かされた

酒田市では自転車でアートを巡るコースを用意

 2日目は酒田市を巡りました。体験したのは「アートの街を巡るサイクリングコースin酒田」です。

 こちらは庄内町のツアーとは異なり、ガイドは付かずに、酒田市で用意されているレンタサイクルなどを使って自由に観光地を巡るというものになっていますが、お勧めのコースもモデルコースとして提案しています。今回は、そのモデルコースを体験しました。

 モデルコースは、酒田市内の美術館を巡る、アートに触れるコースです。そして、合間には海鮮を楽しんだり、カフェに立ち寄ったりと、自由に酒田を満喫できるものとなっています。

 訪れた美術館は、酒田市美術館と本間美術館です。酒田市美術館は、酒田市内から最上川を渡った先の小高い丘に位置しています。周囲の自然を活かした美術館の建物は、それ自体が芸術作品かのような美しさです。定期的に開催される企画展示に加えて、常設展示では、地元出身の芸術家作品が楽しめます。また、美しい庭を見渡しながらスイーツや軽食を楽しめるカフェもお勧めです。

 本間美術館では、江戸時代に豪商として栄えた本間家の収蔵品を中心に、日本だけでなく海外の美術品を多数コレクションしています。そういったコレクションを鑑賞するのもいいですが、いちばんの見どころは日本庭園の「鶴舞園」と、庄内藩藩主の酒井侯の休憩所として建てられた「清遠閣」です。春の花の季節から深緑、紅葉と季節によって姿を変える鶴舞園と、その姿を見ながら抹茶をいただける清遠閣では、時を忘れてゆったりと過ごせました。

 また、酒田の伝統工芸「傘福」を展示する「山王くらぶ」もなかなか圧巻でした。傘福は、江戸時代後期から、家族の幸せや子どもの成長を願って作った飾りを傘に吊したもので、日本三大つるし飾りに数えられているそうです。赤い和傘にかわいい雛飾りなどを吊した傘福はとても迫力がありますし、見栄えも素晴らしいので、アートスポットとしてはもちろん、写真スポットとしても魅力的に感じました。その傘福を毎年展示している山王くらぶですが、建物は1895年に建築された料亭で、現在では国の登録有形文化財に登録されていますので、建物自体も見どころとなっています。

モダンな佇まいながら周囲の自然を活かした作りの酒田市美術館
アートを楽しんだ後は、庭を眺めながらスイーツをいただくのもお勧めだ
本間美術館では、日本庭園の「鶴舞園」と、庄内藩藩主の酒井侯の休憩所として建てられた「清遠閣」も見どころだ
清遠閣で庭を眺めながらいただく抹茶も外せない。時を忘れてゆったり過ごせる
1895年に建築された料亭「山王くらぶ」。現在では国の登録有形文化財に登録されている
山王くらぶでは、日本三大つるし飾りに数えられている酒田の伝統工芸「傘福」が展示されている

 ところで、このコースは各自が自由に巡れるものとなっています。モデルコースを順に巡るのもいいですが、途中で見つけたカフェやスイーツを飛び込みで楽しむといったことも可能です。今回も、美術館を巡る途中に見つけたジェラート店「Baby Chu Chu」に立ち寄りました。店主によると、身体に優しいジェラートをモットーに、無添加にこだわったジェラートを提供しているとのこと。実際のジェラートは、素材の味がかなりストレートに味わえましたし、優しい甘さと相まって絶品の美味しさでした。店先には自転車を駐めるスペースがあり、店内にはベンチがあり、そちらでジェラートをいただけますので、疲れを癒しつつスイーツを楽しみたい場合にお勧めです。

 ランチを自由に選べるのも、自由にコースを巡れる醍醐味のひとつです。昨日いただいたフレンチもいいですし、海鮮の店も多くあります。また、ご当地ラーメン「酒田のラーメン」も見逃せない存在です。ただ今回は海鮮を食べたかったので、酒田港近くの「みなと市場」へと向かいました。こちらは観光市場で、新鮮な魚介類が売られているのはもちろん、海鮮を中心とした食堂も多いので、海鮮を食べたい場合にも最適の場所といえます。今回は、みなと市場の中でも特にお勧めされた「まぐろ専門店小松」でまぐろ丼をいただきましたが、ボリューム満点で大満足でした。

酒田の人気ジェラート店「Baby Chu Chu」。サイクリング途中にふと見つけて立ち寄った
身体に優しい無添加ジェラートは、優しい甘さと素材そのものの味わいが絶品だった
ランチは酒田港近くの「みなと市場」で
「まぐろ専門店小松」でまぐろ丼。ボリューム満点で大満足だった

 そして、最後に訪れたのが、地元でせんべいなどのお菓子を製造している「酒田米菓」の工場です。酒田米菓は、地元を中心に東北地方で人気の薄焼きせんべい「オランダせんべい」が有名ですが、酒田市内の工場には、予約不要、無料で工場見学が行なえる「オランダせんべいFACTORY」という施設が用意されているのです。現在はコロナ禍のため試食などが中止となっていますが、普段ならせんべいやお団子の試食もできるそうです。また、工場内にはカフェもあり、そちらではお団子を食べたり、せんべいの手作り体験も楽しめます。

 以前にオランダせんべいの存在を知って、その美味しさにハマってしまい、酒田市の工場では見学ができて試食もある、ということを聞いていたので、どうしても行ってみたかったのです。残念ながら試食はできませんでしたが、それ抜きでも工場見学は十分に楽しめました。特に子供と一緒に酒田を訪れるなら、ぜひとも足を運んでもらいたいと思います。

「オランダせんべい」で有名な酒田米菓の工場。こちらには工場見学施設「オランダせんべいFACTORY」があり、製造工程などを見学できる
併設されているカフェでは、お土産を買ったり、せんべいの手作り体験が楽しめる
「オランダせんべい」のパッケージに登場する「オランダちゃん」がそこかしこに

サイクリング初心者に特にお勧め

 今回、2日にわたって庄内地方のサイクリングツアーを体験してきましたが、いずれも通常の旅とは違う楽しみをめいっぱい味わえました。筆者は普段それほど自転車に乗りませんし、長距離サイクリングも全く体験がありませんでしたので、最初は不安もありました。また、初日は40km近くを走りましたので、ツアーが終わったときには疲労感があったのも事実です。

 とはいっても、もうこれ以上は動けない、というようなつらさは一切なく、どちらかというと心地よい疲労感でした。これは。電動アシスト自転車が使われていることや、行程がほぼ平坦だったからでしょう。事実、もっと距離が長くても大丈夫そう、という印象もありました。

 おそらく、サイクリングに慣れている人からすると、物足りないと感じるかもしれません。ただ、初心者にとっては、恐れることなく安心して参加できるはずです。そのうえで、庄内地方の雄大な景色や地元の食、隠れた名所などを楽しめるのですから、とても魅力的なツアーといっていいでしょう。コロナ対策も万全ですし、サイクリングに興味のある初心者が、まずはじめに参加するサイクリングツアーとして、お勧めしたいと思います。