若林直樹のトラベルフォトギャラリー

沼津御用邸記念公園の春(静岡県)

 沼津港すぐ近くにある「沼津御用邸記念公園」(静岡県沼津市下香貫2802-1)は1893年(明治26年)に大正天皇が静養されるために建てられた御用邸だ。

 一時期100の部屋があったという。残念ながら大戦で本邸を消失したが、その地には現在は民俗資料館がある。西付属邸や東附属邸などいくつかの建物が当時のままの姿を見せてくれている。

 興味深いのは建物には雨樋がなく、雨が軒先から落ちるところには砂利の溝があるので消音の効果があるようだ。また廊下の窓ガラスなどは当時の手作りのガラス板のため平ではなく波打ち風景は歪んで見える。壊れたときにはドイツの職人にお願いしているようだ。

 昭和天皇もここで静養し学び、そのときに乗られた三輪自転車のレプリカが飾られている。また台所の氷を使った冷蔵庫やビリヤード台などもあり、歴史を感じる。この地は海岸近くにあり、海の生物にご興味を持ち研究家になられたのだろう。

 建物内を見学し終わるとボランティアのガイドさんが庭を案内してくれた。この地ならでの沼津垣は今でも受け継がれて、作り方の教室も開くことがあるらしい。美しい青銅門にまつわることや、水路の利用など興味深い話を聞くことができてとてもよい経験になった。

 アクセスはJR沼津駅からバスで、「御用邸」で下車15分ほどで行ける。クルマなら沼津ICから30分ほどで駐車場もあるので便利だ。話によると入場者数はそれほど多くはないという。静かに散策したり大正昭和の雰囲気を味わうことができるお勧めの場所だ。

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若林直樹(STUDIO海童)

雑誌、広告等の仕事の傍ら、ライフワークとして自然や癒される空間を求めて国内外を旅している。撮影対象はICチップからアフリカ象まで幅広い。デジタルカメラは1995年からコンパクトからプロ機までテストレビューに携わる。自宅ではフェレットをこよなく愛し、現在2匹と暮らしている。いつかフェレットの写真集を出そうと企み中。
Webサイトはhttp://kaido.sub.jp/