地元誌編集長の「ハワイ現地発」

【ハワイ現地発】地元編集者がガチで選ぶ「日本の友人だけに教えたい」3軒

 毎年、夏休みのシーズンになると、日本から友人夫婦がハワイにやって来る。恒例になっているのが、滞在中のレストラン選び。彼らの滞在はいつも短く、しかもインフレと円安のダブルパンチ。一食たりとも外したくない、というのが本音だろう。だからこそ、こちらも毎回本気で考える。

 今年友人に教えるつもりの3軒を、一足先にここで明かしてしまおうと思う。

オン・ザ・ビーチで堪能する、看板メニューを超える一皿「ハウツリー」

 世界中の“本物のハワイ好き”セレブリティが、昔から集まるゴールドコーストエリア。この一等地に立つカイマナビーチホテル1階に、海に向かった特等席を持つレストランがある。前身は「ハウツリーラナイ」。2019年のホテル全面リニューアルを経て、翌2020年に「ハウツリー」として生まれ変わった。

思い切った改装後、話題となったカイマナビーチホテルのロビー

 目の前にはカイマナビーチが広がり、心地よい風が抜けていく。このビーチは、ハワイアンモンクシールが出産する場所としても知られていて、運がよければ母子の姿に出会えることもある。

ビーチの前というより「オン・ザ・ビーチ 」のロケーション
ハワイの定番、パイナップル入りのプランテーションアイスティー

 ブランチのシグネチャーといえばエッグベネディクトだけれど、私はHOUSE-CURED SALMON BOARD(31ドル)に出会ってから、これ一択になってしまった。カイムキの人気ベイカリー「ブレッドショップ」のライ麦パンに、自家製のサーモンマリネ、ハーブクリームチーズ、イクラ、野菜が添えられている。常連であるローカルの友人が「これが好きなの」と教えてくれた一皿。噛むほどに旨みが増すライ麦パンと、サーモン、クリームチーズ、ピクルスのバランスが見事。値段は決して安くないし、サーブされた瞬間「少ない?」と思うかもしれないが、ちゃんと満足感がある。2人以上ならシェアがちょうどいい。

HOUSE-CURED SALMON BOARD(31ドル)
丁寧にマリネしたサーモンの味が絶妙

 もう一品挙げるなら、王道のカラマンシーリコッタパンケーキ(24ドル)。ハワイのパンケーキは総じてどっしりしているものが多いなか、これはふわっとした口当たりで、朝から幸せな気分になれる。

ハワイの味ならリコッタパンケーキ(24ドル)。たっぷりシロップをかけていただこう
人気のハウツリーエッグベネディクト(28ドル)とアボカドトースト(24ドル)

 ちなみにこの店には14時~17時、いわゆるハッピーアワーの「パウ・ハナ」タイムがあるのだが、15時半まではドリンクのみを提供する。空腹のまま行って、1時間半をアルコールだけで乗り切った経験者からの忠告として、覚えておいてほしい。冬場は、海に沈んでいく夕日を眺めながら過ごせるので、遅めのハッピーアワーや早めのディナーもオススメ。

ハッピーアワーはビーチ側の席は閉まっている。ワイン(8ドル)、ビール(6ドル)
15時半からオーダーできるハンバーガー(20ドル)、フレンチフライ(8ドル)

 なお、駐車場はあるのだが、食事をしても料金を支払うことになる。ワイキキから歩いて約20分。ビーチ沿いを散歩しながら行くのもいいと思う。

地元が誇る女性シェフによるニュー・アメリカン・キュイジーヌ「FETE(フェット)」

 先日ここを訪れたとき、隣の席に座っていたのは、月に一度はこの店で食事をするという常連の老夫婦だった。目が合ってニコッとすると、「ここがどれだけ居心地よくて、どれだけ美味しいか」を延々と語ってくれた。私が初めてこの店を取材したのが2017年。改めてこの店が、地元にしっかり根を張るダイニングになっていることを実感した。

レンガ造りの街並みのダウンタウン。このビルに人気グルメ店が軒を連ねている
コーナーにあるFETE(フェット)。フランス語で「祝い」の意味があるという

 場所はホノルルのダウンタウン、ホテルストリートとヌウアヌアベニューの角。2016年、15年間ブルックリンで暮らしたチャックとロビン夫妻が店を構えた。オープンから瞬く間に評判となり、予約なしでは入れない人気店になった。

レンガ造りで街を見渡せる大きな窓と広いバーカウンターのある店内
連日混み合うため、今では店の外にも席を設けることになった

 シェフのロビン・マイイは、ニューヨークの名店で腕を磨いたのち、故郷ハワイへ戻ってきた。「フェット」開店後には、アメリカ料理界のアカデミー賞ともいわれる「ジェームズ・ビアード財団賞」でベストシェフに輝いている。

 韓国にルーツを持つロビンシェフが手がけるのは「ニュー・アメリカン・キュイジーヌ」。以前、彼女は「コリアン、フレンチ、イタリアン、スペイン、インド、日本……そうしたアイデアを取り入れた料理こそが、多民族国家アメリカの料理なの」と教えてくれた。

 できる限りハワイ産の食材を選び、彩り豊かなオリジナルソースや、ハーブを効かせた盛り付けには、繊細な美意識が宿っている。

地元でファンが多いビアブルワリー「ハナコア」のビールを扱う
センスが光るプレゼンテーション(その日に獲れた魚による一皿)

 肉や魚からスイーツまでどのメニューを頼んでもハズレがないので、毎回違う料理を食べることにしている。今回はサンドイッチとビーツサラダに。

この日のお勧めサラダ、ビーツサラダ(18ドル)
たっぷりのビーツ、地元のグリーン、フライドオニオンがたっぷり
3種類のチーズにほろほろのビーフ入り。ガーリックアイオリソースがアクセントのフレンチオニオンサンドイッチ(18ドル)
スモークしたモッツァレラほか3種類のチーズが入ったフェッテグリルドチーズサンドイッチ(16ドル)。7ドルでフレンチフライを付けられる

 実は最近、この店が入るビルが売却物件として市場に出たと知った。この先どうなるのか、正直なところ少し心配している……。動きをチェックしていこうと思う。

コスパを超えた“おもてなし”がある一軒「アランチーノ・オン・ビーチウォーク」

 ハワイ在住者に「好きな店は?」と聞いても、日本からの旅行者に同じ質問をしても、必ずと言っていいほど名前が挙がるのがここ。日本人オーナーが手がけているだけあって、味にも接客にも安心感がある。

 コロナ後も長らく休止していたランチ営業だが、待望の再開を果たした。オアフ島に3店舗を構えるが、ランチを味わえるのは「アランチーノ・オン・ビーチウォーク」のみ。

にぎわうランチタイムの「アランチーノ・オン・ビーチウォーク」
Webサイトか電話で予約をしておくと安心

 カジュアルでこぢんまりとした店内は、おしゃべりしながら食事を楽しむのにちょうどいい雰囲気。「ランチスペシャル(28ドル)」は、サラダかスープ、そしてパスタ・ピザ・パニーニからメインを一品選べるセットで、フォカッチャも付く。単品ならロブスタースープだけで20ドル、パスタも30ドル超えが当たり前なので、これはかなりお得な設定。在住者はさらに割引きがあり21ドルとなる。

お得だと好評のランチスペシャル(28ドル。地元の人は21ドルになる)。内容は時期によって異なる

 地元の契約農家からできる限り食材を仕入れるというこだわりが、味の評判を支えている。そしてもう一つ、私が毎回「いいな」と感じるのがスタッフの明るくフレンドリーな接客。食事の時間を心から楽しむには、味と同じくらいサービスの質が大切だから。

ランチスペシャルオーダー後、ふっくらしたフォカッチャが運ばれてくる
ロブスターの風味豊かでクリーミーなロブスタービスク(スープ)
エビとタリアテッレのトマトクリームソース仕立て、奥はイカスミパスタ
ハワイ島産牛肉の挽肉によるミートソース タリアテッレ

 ハワイ在住40年の友人イチ押しは「イカスミ」。先日、メニュー上はリゾットのみの提供だったが、頼んでみると快くパスタにアレンジしてくれた。さらにデザートを1つだけ注文して「お腹いっぱいだから2人でシェアしたい」と伝えたところ、きれいに二等分して盛り付けてくれた。そんなさりげない心遣いが、また来たくなる理由になる。Mahalo!

切り分けてサーブされたティラミス(15ドル)。特製のシグネチャーデザートなのでなんとしても食べたかった!
大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。