ハワイ現地発

【ハワイ現地発】ワイキキの肉激戦区に新たな焼肉店が登場

 2025年が始まり、最新グルメスポット情報が続々と舞い込んできている。私が勝手に「ワイキキ肉激戦区」と名付けたエリアには、焼肉店「韓の台所」が登場した。

場所はクヒオ通りに建てられたコンドミニアム「リリアワイキキ」1階

 日本に店舗がある焼肉店で、2021年にカカアコに海外初出店して以降、あっという間に人気店となった。ハワイには韓国の焼肉店は多いが、A5ランクの宮崎牛や和州牛を提供する焼肉店は貴重だったからかもしれない。「和州牛」は、日本三大和牛の但馬牛と、アメリカで最高品質とされるブラックアンガスビーフを掛け合わせていいとこ取りをした肉で、牛肉の旨みが詰まっているのが魅力とされている。

宮崎牛(128ドル/240g)と和州牛(84ドル/240g)のシェフズカット

 そんな彼らが新店舗を開いたのが、ワイキキ中心部から少しだけ東寄りのクヒオ通り。この一帯にはステーキや鉄板焼きの店などが点在している。ここに焼肉店ができたのだから最強の肉ゾーンになった(と思う)。

 アメリカの英雄たちの肖像画が掲げられた店内はラグジュアリーな空間で、奥は仕切りのある席なので個室感覚で落ち着いて食事ができる

ジェームズ・ディーンやマリリン・モンローなどの肖像画が飾られた店内
奥の席は仕切りがあり、プライベート空間でより一層落ち着いた雰囲気に

 シグネチャーコースメニューは、サラダ・キムチ・ユッケ・部位や味付けの異なる肉5皿・牛肉握り・デザートがつく。和州牛コース(85ドル)、宮崎&和州牛コース(120ドル)、宮崎牛コース(150ドル)があり、お勧めは食べ比べができる宮崎&和州牛コース。単品やサラダやビビンバなどのアラカルトも充実している。

 メニューはカカアコ店と同じだが、ワイキキ店限定でハッピーアワーがある。週末も含め、15時から18時までで、メニューは肉一皿8ドルから。

ハッピーアワーは和州牛をお得に試すことができるメニューが並ぶ(バーエリアとテーブル席でメニューが異なる)
フルーツをふんだんに使ったトロピカルなカクテルやスパークリングワインなどアルコール類も種類豊富

 この店の魅力は宮崎和牛と和州牛の食べ比べを楽しめること。美しいサシが入った宮崎牛は甘い脂とともに和牛独特の味わいを堪能できる。一方で、和州牛は前述のとおり、アメリカが誇るジューシーな牛肉の旨みを感じることができる。

脂と赤みのコントラストが美しい宮崎牛のリブロールはとろける美味しさ
柔らかくて噛み締めると牛肉の旨みがジワッと押し寄せる和州牛リブロール

 さりげなく口に運んだ自家製キムチは、濃厚で辛みと深みのバランスが絶妙だった。「キムチが苦手」という知人も「これは美味しい!」と食べていた。

サラダやキムチなどのサイドメニューのクオリティも高い
酸味が少なく濃厚な味わいを感じるキムチは自家製

 柔らかくて肉の甘みがシャリを包み込む和州牛の握り、宮崎牛と和州牛のテンダーロイン、シェフズカット、山芋にくぐらせて食べる宮崎和牛の炙り、宮崎リブアイロール、和州牛の希少な外側スカート部位、スパイシーな味付け和州牛、牛タン……。アラフィフ&アラ還世代4人のわれわれのテーブルの注文量はすさまじかったが、クオリティの高いものは飽きることなく胃袋にスムーズに入っていくものだと実感した。

シャリの上に柔らかくて大きな和州牛が乗った握り
赤ワインと醤油の特製ダレに何度も付けては焼いたシェフズカット
一瞬だけ網で炙って山芋を絡めて食べる宮崎和牛は全員大絶賛だった
アメリカ人は牛タンを食べないと思っていたが、大好物だと言っていた
多種多様な肉の部位を飽きることがなくいつまでも食べ続けた
お願いすれば、サーバーが絶妙なタイミングで焼き上げてくれる

 食事に加えて、印象に残ったのがサービスの質の高さだった。担当してくれたのは韓国の方。否定ではなく文化なのだが、ハワイのレストランでは(高級な店であっても)、客とサーバーが長~く話し込んで食空間を楽しませてくれる一方で、追加のオーダーをしたり、お会計を頼みたいときに限って、サーバーと目が合わずに待ちぼうけ、という店も結構ある。がしかし、この店はどれほど混んでいても、担当のテーブルに気を配り、誰かがトイレに行こうと立ち上がるとさっと道を開けるなど(日本では当然?)、細かい心配りが素晴らしかった。……という話を先日、ローカルの友人にしたところ「来週行くことにした!」と言っていた。きっと満足すると思う。

この店の肉は赤ワインによく合った
デザートは抹茶アイスクリームでさっぱりと

肉好きにお勧めの2店舗

 ちなみに、この界隈には、老舗名店の「ハイズステーキ」や「田中オブトーキョー」のほか、「TRファイヤーグリル」「ストリップステーキ」などがある。最後に肉好きな方へオススメの2店を紹介しておこう。

 ステーキ専門店ではないがお得に上質のステーキを食べるなら「TRファイヤーグリル・ワイキキ」。ここのスモークド・ブラックアンガスビーフのリブアイステーキは品質と焼き加減が絶妙で、54ドルというワイキキにしてはリーズナブルな価格。閉店してしまった「トニーローマ」の自家製BBQソースのクラシック・ベイビーバックリブも、ハーフサイズで34ドルで味わえる(フライドポテトとコールスロー付き)。

シェフがテーブルでフタを開けると煙が出てくるパフォーマンスで提供されるリブアイステーキ
ほろっと柔らかいクラシック・ベイビーバックリブ。甘塩っぱい自家製BBQもたまらない

 そしてもう1店舗はインターナショナルマーケットプレイス内の「ストリップステーキ」。16時から18時までの限定でパウハナ・テイスティングというコースがある。サラダかスープ、肉か魚、デザートの3品で79ドルなのだが、カリスマシェフ マイケル・ミーナ監修によるステーキを味わえる。今度ハッピーアワーの紹介をするときに詳しく書く予定だが、アダルトハッピーミールという「ベントー」もあり、豚バラを挟んだバオバン、脂が乗ったマグロ肉の天ぷら、ステーキタルタルバイトという3種の肉に枝豆と、日本酒が付いて29ドルというメニューもある。この一品で十分。

パウハナ・テイスティングコースのニューヨークストリップ。肉の旨みを閉じ込めるように焼かれている
豚バラ・アヒベリー(マグロの脂が乗った部位)・一口ステーキが入ったアダルトハッピーミール(日本酒付き)

 ハワイで外さない肉料理を楽しむなら、インターナショナルマーケットプレイスから向こう側(山側)エリアを散策しよう。

大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。