ハワイ現地発

【ハワイ現地発】あの著名ステーキハウスを超えるか!? ワイキキの肉激戦区に全米展開の高級ステーキハウスが上陸

 ステーキや焼肉店が集まるワイキキ・クヒオ通りの一角。私は勝手に「ワイキキ肉激戦区」と名付けているが、ここに9月10日、全米で60店舗以上を展開するステーキハウス「The Capital Grille(ザ・キャピタル・グリル)」がオープンした。

 この1年だけでも、日本や韓国の焼肉店、アメリカのステーキハウスが次々と開店したハワイ。最新店となる「ザ・キャピタル・グリル」とはどんなダイニングなのか?

外から覗くと、プリンスクヒオなどハワイの歴史人物の肖像画が目に飛び込んでくる

 場所はワイキキ中心部の高層コンドミニアム「リリア・ワイキキ」の1階。ワイキキ滞在ならもちろん歩いて行ける。駐車場は3時間の無料バレーパーキングが利用できる。

高層コンドミニアム「リリア・ワイキキ」の1階に位置する

 1990年に誕生した「ザ・キャピタル・グリル」。ユニークなのは、その店構えをそれぞれの州に合わせていること。ハワイ店は、赤と木目調の温かみのある重厚な内観で、壁には大きくハワイのアリイ(首長・王族)を描いた肖像画が飾られている。カメハメハ大王、カラカウア王、リリウオカラニ女王といったハワイの歴史人物を賛えるアートが存在感を放っていた。

入店するとバーとワインセラーが現われる
ハワイの王族たちの肖像画が並ぶ内観

 席数は252席。個室も完備され、その名も「キング・カメハメハ・ルーム」「プリンス・クヒオ・ルーム」「キング・カラカウア・ルーム」の3室。12人から24人まで収容可能。ラグジュアリーとハワイの歴史が融合する空間でステーキを味わえる店はほかにはないだろう。

全252席。奥にはカメハメハ大王の肖像画が掲げられた「キング・カメハメハ・ルーム」などの個室がある
テーブル席、ソファ席の向こうにガラスで仕切られた広大なキッチンが備えられ、次々と料理が運ばれる

 シグネチャーカクテル「ザ・ドリ」はウィートリーアメリカンクラフトウォッカに、ハワイ産パイナップルを7日以上漬け込んだ一杯。ソムリエがセレクトした225種類以上のワインが揃い、専用ワインロッカー(真鍮のネームプレート付き)も貸し出している。

最初にほかほかのパンが提供される
シグネチャーカクテル「ザ・ドリ」(19ドル)

 アペタイザーは、ロブスター入りの贅沢なクラブ(カニ)ケーキなど3種を味わった。ハワイの定番カラマリ(イカのフライ)はチェリーペッパーを加えてソテーしてあったり、プロシュートはモッツァレラを包んで焼き上げたり、クラシックな料理にひとひねり利かせてあった。

ロブスターとクラブケーキ(28ドル)。日本でいえばクリームコロッケのような定番料理
モッツァレラとプロシュート(22ドル)、左奥はチェリーペッパーを添えたカラマリのソテー(25ドル)

 続いてフレンチオニオンスープ、ブルーチーズとスモークしたベーコンをシャキシャキのレタスにたらしたサラダがサーブされた。スープはかなり味が濃かった……。

フレンチオニオンスープ(写真はカップ。実際は大サイズで18ドル)
ブルーチーズとスモークドベーコンがのったレタスサラダ(16ドル)

 そしてメインとなるステーキが登場。感想を先に言うとかなり満足度が高かった。18日~24日間、店内でドライエイジングを施し、旨味と軟らかさを引き出した肉を、熟練のシェフが1枚1枚丁寧にカットするという。肉は切り方で味が変わるので、熟成だけでなく、切り分ける工程も重要となる。このクオリティのステーキがワイキキで100ドル以下とは驚いた。

 シェフがお勧めする3つのステーキがあり、まずは15年熟成バルサミコを添えたポルチーニ風味 骨付きリブアイ。ステーキの王様といえばリブアイ。ジューシーな肉と上質な脂がバルサミコによって一層深みを増し、噛み締めると旨みが広がった。

肉も脂もクオリティに申し分ない骨付きリブアイ(95ドル)

 コナコーヒークラスト 骨付きニューヨークストリップは若干焦げ目が強かったが、コナコーヒークラストの苦味と、クリーミーなシャロットバターの香りとともに、凝縮されたビーフの味わいが押し寄せた。ドライエイジングならではの表面の締まりがありながらも軟らかだった。

コナコーヒークラスト 骨付きニューヨークストリップ(81ドル)

 フィレ・ミニヨンも心地よい弾力でナイフが通り、上品な肉の美味しさが伝わってきた。さらにもう一品、シーフードも自信作とのことなので、シーバス(スズキ)をオーダー。表面を焼いた肉厚のスズキは味噌バターで味付けされてステーキのようなボリューム(やや塩が強かった)。サイドディッシュは店の自慢のロブスター入りマカロニ&チーズ、しょうゆを絡めた芽キャベツ、マッシュポテトが運ばれた。

フィレ・ミニヨン、ワイルドマシュルーム、フィグエッセンスを添えて(75ドル)
表面を香ばしく焼いたスズキ、椎茸、アスパラガス、味噌バターとともに(66ドル)

 どれもコクのあるリッチな料理なのでかなり満腹になるが、スイーツ好きならデザートまでたどり着くのが鉄則(個人的にはサイドディッシュを削ってでもデザートを!)。なぜなら、専属パティシエが毎日手作りするオリジナルスイーツが絶品だったから。ブリュレスタイルの「ザ・キャピタル・グリル・チーズケーキ」、ベリーを添えた小麦粉不使用のチョコレートケーキ、自家製ラムキャラメルソースとの相性に脱帽のココナツクリームパイもフォークが止まらない味わいだった。

別腹でいけてしまうザ・キャピタル・グリル・チーズケーキ(16ドル)、奥はチョコレートケーキ(15ドル)
テーブル全員で絶賛。「これをお目当てに訪れたい!」と思ったココナツクリームパイ(16ドル)

 どれもアメリカらしいボリュームの料理だったが、価格帯はハワイの著名ステーキハウスと比較するとややリーズナブル。特にステーキは、リブアイ、フィレ・ニューヨークストリップが二桁の価格で提供されるのは、今のハワイのステーキハウスでは稀有なこと。

 サービスについては、訪れたのがオープン前のトレーニング期間だったこともあり、サーバーによってばらつきがあった。私のテーブルは心がこもったサービスをしてくれ(「少し前まで別のステーキハウスで働いていたんだ!」とはにかんでいた)、楽しい時間を過ごすことができた。ちなみに著名ステーキ店でもサーバーによって差があるのがハワイということも添えておく。

 カラカウア通りの王道ステーキハウスとは違い、ディープなハワイへ一歩踏み込んだ雰囲気が漂うステーキハウス。興味深い店がまた一軒増えた。なお服装はカジュアルはNG。適切なドレスコードで訪れよう。

食べきれなかった料理は持ち帰るのがハワイでは一般的。我らのテーブルも半分持ち帰ることになった……
大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。