ハワイ現地発

【ハワイ現地発】ハワイで寿司なんてムリムリ……!? 実はいいお店、ありますよ

 押し寄せる物価高の波に円安。ハワイ居住者も気軽に寿司屋へ行けないが、ちまたではおまかせ寿司ブームが止まらない。ということは、競争も激しくクオリティも高くなっているわけで、そんななかで在住日本人が太鼓判を押す店がいくつかある。

せっかくならハワイでしか味わえない新鮮魚を堪能したい

 今回は、100ドルのおまかせコースの満足度が高過ぎて2か月先まで予約が埋まっている寿司店、125ドルでおまかせを満喫できる知る人ぞ知るワイキキの超穴場、最後はハワイ沖の天然マグロを10ドル代の弁当スタイルで味わえる行列店の3店を紹介したい。

Sushi Que(鮨久)

サウスキングストリート沿いの小さな間口で裏に駐車場がある
アルコール類は持ち込みができるBYOBスタイル

 ローカルのグルメ通り、サウスキングストリートにあるこじんまりとした寿司店で、米本土での経験も豊富な日本人夫婦2人で営む店。日本各地から取り寄せる旬の魚介をはじめ、世界からの「ベスト」を味わえる。

 最初はだしの利いたスープや一品料理でスタートする。

エビのだしが押し寄せるスープ
まずはあっさりとスタート

 印象的なのは、ピンク色のヒマラヤ岩塩プレートにのせて食べる刺身(タイやタコ、ヒラメなど)。ライムをキュッと絞ってそのままプレートの上で刺身を滑らせると、ほんのり塩味とジューシーなライム、ワサビが香り、最高の食体験を楽しめる。

岩塩のやわらかな塩が新鮮魚の味わいを引き立ててくれる
アメリカ本土から取り寄せたオイスター
サッと炙ったニューカレドニア産のエビ
清潔感のあるケースに並んだフレッシュなネタ

 そのあとは、シンプルななかに捻りを利かせてネタの味わいを最大限に引き出した握りを、テンポよく出してくれる。全16品。

中トロ
タイ
イカ
サバ
エビ
イクラ
マス
ウニ
味噌汁
トロタク
最後を飾った握り。小さめなので次々といける
追加で注文したアナゴ

 今のハワイで100ドルでおまかせ寿司が食べられるのは貴重。しかもアルコール類は持ち込むことができるので、予算もセーブできる。メニューはおまかせのみ、要予約。9人掛けカウンターと少人数用テーブル席のみのため、帰る際に次の予約を入れている客も多い。

締めとしてフルーツも提供
日本でも寿司店を経営していたコガ夫妻

 地元に愛されているこの店は、早めの予約が必要だが、優しいご主人と気さくな奥さんの明るい雰囲気のなかで一品ずつに笑みがあふれる味を心ゆくまで楽しめる。

Sushi OGAME(寿司大亀)

このカーテンのなかにカウンター8席の同店がある

 大将の大亀さんは、ニューヨークなど米本土を経て、1993年からハワイで寿司を握ってきた熟練寿司職人。今年2月、ワイキキにポップアップとして出店したのがこの店。場所はインターナショナルマーケットプレイス1階にあるクヒオアベニューフードホール内。カウンター8席のみのこの店がユニークなのは、日中はカフェとなっていて、木曜から土曜の夜(週3日)だけは寿司店になること。

 初めてでも常連のような気持ちにさせてくれる親しみやすさのある大将が、目の前で丁寧に卵焼きを作る様子は見事なパフォーマンス。

最初は卵焼きでスタート
酢味噌和えなどのさっぱりした小鉢とともに出された卵焼きは甘みのある味わい

 山形県のはえぬき米を使用した赤シャリに新鮮なネタを乗せ、しょうゆをひと塗りした握りが一貫ずつ続く。敷かれたのりの上にご飯とウニ、イクラが乗った一品、もずくなど、飽きることのないおまかせコースを堪能できる。シャリに穴子をぐるっと巻いて目と舌を楽しませ、お腹がはち切れそうになる16品のボリュームを楽しもう。

実際は食べるタイミングに合わせて一貫ずつ出される
口のなかでとろける本マグロ、炙りなど
マグロの甘い脂をもずくでさっぱりと口直し
皮を炙ったノドグロ
たっぷりのイクラをスプーンですくって
ご飯の上にイクラとウニが盛られた贅沢丼
味噌汁
存在感抜群のアナゴ

 この店を紹介してくれたグルメライターいわく、ワイキキで「外国人向け」でなく「本格寿司」をこの金額で食べられる店はほかにない!とのこと。ここも予約必須となる(Yelpからがスムーズという)。

Maguro Brothers Hawaii(マグロブラザーズ・ハワイ)

DFSのビル側の入り口から地下に降りると店舗がある

 最後は、寿司店ではないが予約不要で格別の天然マグロを食べられる店。築地で働いていた日本人の兄弟が営んでいて、ワイキキ店は何度か移転を繰り返し、2023年秋に最もアクセスのいいワイキキショッピングプラザの地下1階にオープンした。店のまわりにはイートインスペースも備えている。

ハワイのマグロの美味しさを味わえる

「ハワイという質がよい環境のなかで育ったメバチマグロは、赤身も中トロも絶品。養殖や冷凍の技術が進んだ今、天然ならではのこの味を知らない方も多いので、ぜひ本物の味を知ってほしい」と言い、毎朝の仕入れ、仕込みをとことん丁寧にする。

テイクアウトでこのクオリティと値段はほかにないと言っても過言ではない

 ここのマグロの刺身を口に入れると、おおげさでなく心から感動する。刺身を盛り付けたサシミプラッター(小:29.95ドル)や、中トロとポケが酢飯に乗ったチラシ・コンボ(19.10ドル)がイチオシ。

 開店前から並んでいるが、その価値は大いにある。どれほど混み合っていても接客が丁寧であることも人気の理由だ。中サイズ(49.95ドル)以上のサシミ・プラッターはオンラインで予約でき、並ばずにピックアップできる。

大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。