JALふるさとアンバサダー/応援隊に聞く地域愛
JAL×JR北海道×旅行会社の3社連携企画。北海道発、地域活性化の取り組みを客室乗務員が紹介
2025年1月21日 06:00
全国各地に拠点を持つJALは、地域活性化の取り組みを継続的に実施してきており(現在は「JALふるさとプロジェクト」)、2020年8月には社内公募で選ばれた客室乗務員が現地に移住して、それぞれの地域での取り組みを推進する「JALふるさとアンバサダー」を発足しているほか、同12月には乗務しながら地域活性化に携わる「JALふるさと応援隊」を任命している。故郷や縁のある地域に対して、客室乗務員として培ってきた知見を活かした商品開発や地域課題の解決などを展開する狙いがある。
今回お話を聞いたのは、北海道で他社との連携企画に携わるJALふるさとアンバサダーの小林恵理子さん。
――取り組みについて教えてください。
HOKKAIDO LOVE! 現在北海道・札幌に移住し活動しておりますJALふるさとアンバサダー北海道担当の小林です。
北海道地区担当のアンバサダーの取り組みの1つ、JR北海道・旅行会社との3社連携企画についてご紹介いたします。
JAL北海道支社は2020年にJR北海道からJAL/JR北海道チャーター&チャーター企画のご提案を受け、旅行会社さまとともに「HOKKAIDO LOVE! ひとめぐり号」の企画を練り、2021年よりツアーを遂行してきました。
これまでに累計17本の貸切列車が運行され、昨年は600名を超えるお客さまにご乗車いただきました。
「HOKKAIDO LOVE! ひとめぐり号」のコンセプトは“ひとつの列車で、ひとめぐり、北海道”ですが、「HOKKAIDO LOVE! ひとめぐり号」が通過する沿線地域の自治体、各地の皆さまが停車駅から乗車し、地域をPRしたり、名産品の販売・イベントを実施して盛り上げてくれています。
駅に停車するたびにお出迎えしてくれる地域のボランティアの方々や「ゆるきゃら」のおもてなしに、お客さまはとても感銘を受けて駅や車内は笑い声や笑顔であふれます。
保育園や幼稚園児などの小さな子供たちが歌を歌って歓迎してくれたり、地元の高校生による吹奏楽演奏、若者による太鼓の演奏など本当にさまざまな形でひとめぐり号のお客さまをもてなしてくださいました。
列車の乗り継ぎ時間などを気にすることなく広い北海道を効率よく「めぐる」には貸切列車はとても快適でお勧めですが、単に北海道を周遊するだけでなく、地域の人とのつながりや絆を深めることで「北海道の人と人とのつながり、絆がひとめぐり」する特別な体験ができるのが「HOKKAIDO LOVE! ひとめぐり号」の魅力の1つとなっています。
――この取り組みにはどのように関わっているのでしょうか。
「HOKKAIDO LOVE! ひとめぐり号」では北海道に在住している「JALふるさとアンバサダー」と北海道に縁のある「JALふるさと応援隊」が“おもてなし”という彩りを添えて特別な体験をご提供しています。
駅ホームでの客室乗務員によるお出迎え・お見送り・ごあいさつはもちろんのこと、列車内でも航空機内を感じるような特別な車内アナウンス、自治体の方々からお預かりしたふるさとメッセージのご紹介、地元を紹介するノベルティの配布のお手伝いなどを行なっています。
また、JALふるさとアンバサダーとJR北海道の車掌さんの共同企画のクイズも好評で、景品をお渡しする際に車両ごとに順位を決めるじゃんけん大会もとても盛り上がります。
私たち、客室乗務員は体力勝負の仕事ですのでフライトの際は簡単な準備体操をしてからフライトに臨んでいます。列車内で長時間過ごされるお客さまのために応援隊、アンバサダーと一緒に身体を動かして「血の巡り」を促し、リフレッシュしていただくイベント「オリジナル体操」も人気です。「来年も元気に参加できるように足腰を鍛えて体力つけないとね!」とお客さまは笑顔で話してくれました。
JALの歴代制服を着用しておもてなしや記念撮影をする企画も大変好評で、お客さまからは「貴重な制服を着たCAと記念撮影ができてとてもうれしかった。飛行機内と違ってお話しする時間がたくさんあり、フレンドリーで距離感が縮まった。貴重な歴代の制服がサプライズ大! 日本が世界に誇るおもてなしの歴史、重み、CAさんの誇りを感じた」などたくさんのありがたいお声をいただきました。
今年ははじめてインバウンド、台湾からのお客さまも参加くださいました。台湾の乗務員であるJALグローバルアンバサダーが乗車して、車内でのアナウンス、通訳、おもてなしなども担当し、国籍を超えてひとめぐり号や北海道の地域の方々のおもてなしを体感していただきました。
このようにJALならではおもてなしでお客さまの旅の思い出作りやお手伝いは大変好評をいただいており、地域の皆さま、お客さまとの絆を深め、ありがたいことにリピーターのお客さまも増えてきています。
――今後の展開・展望について教えてください。
「HOKKAIDO LOVE! ひとめぐり号」がつないできたJR北海道や旅行会社、地域の皆さまとの絆は、新たな取り組みにもつながっています。
「SL冬の湿原号」をご存じでしょうか? SLや鉄道ファンなら耳にしたことがあるかもしれません。JR北海道が釧路駅~標茶駅間を運行している期間限定のSL特別列車なのですが、毎年、発売とともに指定席券が売り切れてしまうほど人気の列車です。
そんな大人気のSL冬の湿原号ですが、今年は2月27日、3月6日の2日間限定でJR北海道、旅行会社との3社連携、貸切列車としてツアーが設定されています!
ツアーに参加されるお客さまはSL冬の湿原号のお席が確保されますので、のんびり、ゆったりと冬の釧路湿原の風景を楽しむことができます。また、客室乗務員は同行しませんが、「SL冬の湿原号」の行程の前後にオホーツク海の流氷ツアーも楽しむことができ、冬のひがし北海道の魅力を存分に楽しむことができます。
また、SL冬の湿原号の列車内ではJALふるさとアンバサダーやJALふるさと応援隊が釧路湿原や沿線の見どころをアナウンスしたり、おもてなしを担当いたします。
ひとめぐり号で道東コースに参加されたことのある方は、秋の季節とは違った冬の釧路湿原の魅力を発見できることでしょう。
地域の方々やゆるきゃら、そして釧路湿原で出会うエゾシカやタンチョウとの出会いも「北海道ならでは」の心癒される瞬間です。
JAL釧路支店が鶴居村と共同で開発したお菓子など貸切列車ならではの、ちょこっとプレゼントなどもご用意して冬のSL湿原号でお待ちしております
――旅行者に向けてメッセージをお願いします。
JALふるさとアンバサダーがJR北海道と旅行会社さまとの共同で企画した地域を元気にする取り組みの一部をご紹介しました。
「貴重な体験を通して広い北海道をゆったりと旅してみたい」「仕事がひと段落、定年退職したらのんびりと大自然を眺めながら北海道を一周してみたかった」「結婚して子育てがひと段落したのでお母さま孝行のために親子で参加されたという息子さん」「新婚旅行の際に訪れた想い出の温泉宿に訪れるために参加されたという90代と80代のご夫婦」など、ひとめぐり号や列車の旅に参加されるお客さまの人生ドラマはさまざまです。
かけがえないのないお客さまの大切なご旅行の時間をご一緒させていただき、一生の思い出作りのお手伝いをさせていただけていることは貴重な経験ですし、私たちのやりがいにもつながっています。
日本は人口減少による産業の後継者不足、地球温暖化による環境の変化などさまざまな課題に直面していますが、ひとめぐり号でつなぐ地域の方々との絆や駅や車内にあふれる笑顔、空と陸を結ぶ私たちの取り組みが微力ながら北海道・地域を元気にするきっかけとなってくれたならうれしいです。
また仲間である全国各地のJALふるさとアンバサダーとも協力して、今後は同じような空と陸の連携による地域活性化が全国に展開されるよう取り組んでいきたいです。
「こんな取り組みをしているなんて知らなかった!」と言われることが多いので、より一層、世界へ向けて情報の発信力を高めていきたいですね。これからも私たち、JALふるさとアンバサダーとJALふるさと応援隊の活動にご注目いただけたらうれしいです!
したっけ北海道でまっちょるよ~